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とうもろこしおよびキャッサバの需給見通し

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最終更新日:2010年3月6日

でん粉情報

[2009年2月]

【国内外の需給動向[海外]】

調査情報部 調査課



 近年、とうもろこしおよびキャッサバ価格は上昇傾向にあったが、2008年半ばを境に一転して下落している。米国の金融不安に端を発した世界的な経済危機と穀物生産の世界的な増加などがその背景にあるが、さらに原油価格の下落により、近年顕著であったバイオ燃料需要の伸びは減速する可能性も生じている。

 このようなとうもろこしおよびキャッサバの需給見通しについて、2008年11月に公表されたFAOのFood Outlookなどを参考に取りまとめた。


1.とうもろこし

(1) 2008年のとうもろこし生産 〜北米以外での増産により記録的な生産量に〜
  2008年のとうもろこしの生産量は、2007年の干ばつの後、ヨーロッパにおいて生産量が大幅に回復したことから、前年比2%増の7億9,800万トンになる見込みである。

 米国では、天候が冷涼で降雨も多かったことから、とうもろこしの生育が遅れ、収穫作業の開始も遅れたが、収穫までの天候が良好であり、この遅れが収量を回復させることになった。このため、生産量は当初の予想を大きく上回るものの、過去最高の水準であった前年を6.7%下回る3億990万トンになるとみられる。これに対し、南米、アフリカ、アジアにおける生産量は前年を上回ると見られる。その理由として南米では作付面積の増加に加えて天候に恵まれたこと、アフリカでは南アフリカをはじめとする主要国での生産が増加したこと、アジアでは主要国である中国での生産が増加したことが挙げられる。このように、最大の生産国である米国での減産にもかかわらず、その他の地域での増産により、世界全体では記録的な生産量になると見込まれる。


表1 主要国のとうもろこし需給
(単位:百万トン)
  注:2007年、2007/08年度は推定値。2008年、2008/09年度は予測値。年度は7〜6月
出典:FAO、Food Outlook

(2) 2008/09年度のとうもろこし需要 〜エタノール向け需要は引き続き拡大〜
  2008/09年度(7〜6月)のとうもろこしの輸出量は特に米国、インドからの輸出が減少し、前年度から13.7%減の8,700万トンになる見込みである。

 また、輸入量については穀物生産が回復したことから、前年度から15.5%減の8,700万トンになる見通しである。特に、前年度は飼料用小麦の不足によりとうもろこしの輸入量が増加していたヨーロッパでは、小麦生産が回復しており、とうもろこし輸入量は通常の水準に戻るとみられることから、前年度の1,640万トンから77.4%減の370万トンにまで減少するとしている。その他の地域では、ほぼ前年度と変わらないが、韓国では飼料用として小麦を代用したために輸入が減少するほか、キューバでも国際価格の高騰を背景に減少するとしている。アフリカは、唯一、増加が見込まれる地域となっているが、エジプトとケニアでの増加が大部分を占めるとされている。

 2008/09年度の消費量は、前年度から3.1%増の8億170万トンになる見込みである。特に工業向けでは、エタノール向け需要が、すでに拡大が見られた前年度からさらに32.9%増の1億100万トンにまで大幅に増加するとみられており、消費量の増加の主な要因となっている。その他の用途では、飼料向けでは、とうもろこしをはじめとする穀物価格は2008年6月をピークに急落しているが、それまでの高騰を背景に需要が縮小するとみられている。さらに、生産量が増加した小麦やDDGが飼料用に仕向けられることや、北米やアジアでの景気の後退の影響を受けることも、飼料向けでの需要の減少につながるとしている。一方、食用向け需要では、生産の増加が予想されているアフリカや中米の途上国で、増加分が食用に向けられることから増加するとみられる。

図1 米国の用途別とうもろこし需要の推移
  注:2007/08年度は推定値、2008/09年度は予測値
出典:FAO、Food Outlook

図2 とうもろこし輸出価格の推移
(US no.2yellow、Gulf)
出典:FAO、Food Outlook

2.キャッサバ

(1) 2008年のキャッサバ生産 〜記録的な生産量に〜
  2008年のキャッサバ生産は、バイオ燃料への穀物などの利用により、食料とエネルギーとの競合が懸念されたことを背景に増加しており、記録的な生産量であった前年をさらに4.5%上回る2億3,845万トンになると予想されている。

 穀物の価格が高騰したことから、キャッサバ生産国のうち特に途上国を中心に、穀物に代わる作物として生産が増加した。特にアフリカでは政府が小麦粉にタピオカフラワーを混合する政策やキャッサバ加工の標準化などにより食料作物として支持していることから、重要性が高まっており、単収の増加や病気への抵抗性の強化にも取り組まれている。アフリカでの最大の生産国であるナイジェリアでは、前年比7.1%増の4,900万トンになるほか、ガーナでは同6.7%増の1,030万トンと初めて1,000万トンを超えるとみられている。

 また、アジアでも生産は伸びており、主要生産国であるタイでは前年比15.0%増の2,915万トンになるとしている。タイ政府は2008年初めに、5年間で収量を3割以上増加させる計画を示した。これまで、同国では、世界のキャッサバ需要の増加に対応するために生産量を増加させてきたが、現在はエタノール原料としての需要を見込んで、さとうきびから転作される傾向にある。しかし、2008年後半以降、世界的な穀物価格の下落に伴い、エタノール向け、飼料向けともに需要が弱まっており、同国では余剰への懸念から政府の介入を求める動きになっている。

 中国では、エタノール原料としての需要の増加に伴って大規模な投資が行われており、前年比3.4%増の450万トンと記録的な生産量になると予想されている。同国では、穀物を原料とする新設のエタノール工場の操業が延期されたことから、キャッサバやかんしょがエタノール原料としてより注目されることになった。

 アジアの他の国においては、ベトナム、フィリピン、インドネシアで、エタノールのガソリンへの混合の義務化などのバイオ燃料政策により、キャッサバ作付面積の割り当てなどの生産の増加が推進されている。また、ラオスでも、中国でのエタノール生産向けや韓国でのでん粉生産向け需要に対応するために、生産が増加する動きにある。


表2 主要国のキャッサバ生産量
(単位:千トン)
  注:2008年は予測値
出典:FAO、Food Outlook
    FAO、FAOSTAT

(2) 2008年のキャッサバ需要 〜穀物の代替としての需要が増加〜

 穀物価格が長期間にわたって高値であったことから、キャッサバ生産国では食料としての需要が拡大し、特にサブ・サハラ・アフリカ(サハラ砂漠以南アフリカ)で顕著であった。この地域では、キャッサバの生芋も加工品も食料として消費され、生産量の増加も大きいことから、2008年の1人当たり消費量は106.4キログラムと前年の103.5キログラムを上回るとみられている。また、この地域では、需要の増加を反映して、都市部や生産地から離れた地域を中心に国内でのキャッサバ価格が高騰することになった。ナイジェリアやモザンビークでは、輸入穀物よりも国産のタピオカフラワーの消費を促進するために、小麦粉にタピオカフラワーを10%混ぜることが検討されている。

 飼料向けでは、アジアにおいて特に中国で穀物生産が回復したことにより需要が減少するとしている。ヨーロッパでも、域内での穀物生産が好調であることから、タイからのタピオカペレットの輸入ペースは減速傾向にあるが、2006年を大幅に上回る昨年とにな同程度の需要るとみられている。

 バイオ燃料向けにおいても需要は増加するとみられているが、キャッサバ価格が高かったことが需要の増加の抑制要因として働いた。

 中国では、2008年のエタノール生産量は450万トンと記録的な生産になるとされていたが、そのうち100万トン程度がキャッサバを原料として生産されるとみられていた。一般的なエタノール生産では、キャッサバ1トン(でん粉含有率30%のもの)から280リットル(222キログラム)の96%エタノールを生産できることから、450万トンのキャッサバが必要となる。しかし、中国の主要なエタノール工場では、国内でのキャッサバ生産が需要に追いつかず原料キャッサバが不足したうえ、近隣のタイやベトナムにおけるキャッサバ価格が高く利益を望めないことから、生産能力の拡大が中断されている。

 タイにおいても、エタノール工場の生産能力は2008年に1日当たり50万リットル増加するとしており、国内でのエタノール向け需要は増加するとみられていた。しかし、同国においても中国と同様に、キャッサバ価格が高値であることが、エタノール向け需要の抑制要因となっている。キャッサバ価格が1トン当たり1,500バーツ(44USドル)を超えない価格であることが必要であるとしているが、2008年のキャッサバ価格はおおむねこの価格を上回った。また、タイは2006年にはタピオカチップおよびペレット輸出の90%以上を中国に仕向けていたが、中国国内でのキャッサバ生産の増加と飼料向け需要の減退により、2008年の中国向けの輸出量は前年比67.0%減の103万トンにまで減少するとされる。このため、チップおよびペレットの輸出量は前年比40.0%減の289万トンに減少するとみられている。

 その他の国では、インドネシアにおいても、ガソリンへの5%エタノールの混合を2009年の初めには義務化することを目指し、キャッサバを原料とするエタノール生産を増加に取り組んでいる。また、フィジーやラオス、パプアニューギニアにおいてもエタノール工場の建設が進められているほか、南米のコロンビアおよびアフリカのナイジェリアやウガンダにおいても商業ベースでの生産に向けての予備調査が行われている。


表3 タイの国別タピオカ製品輸出量
(単位:千トン)
  注:数量はチップおよびペレット換算
出典:FAO、Food Outlook

(3) キャッサバおよびタピオカ製品価格 〜2008年半ば以降は一転して下落〜

 タイにおけるキャッサバおよびタピオカ製品価格は、2008年初めまでは上昇傾向にあり、作付面積の拡大の要因の一つにもなった。しかし、2008年半ば以降は一転して下落することとなった。

 特にタピオカフラワーおよびでん粉価格では、穀物相場が下落したことを背景に、アジア各国においてコーンスターチを利用する可能性が高まったことから大幅に下落した。2008年9月の価格は1トン当たり298USドルで、最も高値であった2008年3月から3割程度下落している。

 タピオカチップおよびペレット価格は、中国やEUでの飼料の供給が回復したことにより価格が下落した。2008年前半までは、とうもろこしなどの飼料穀物が不足していたため、タピオカチップやペレットに大豆かすなどのタンパク質を多く含むものをブレンドして穀物や小麦の代わりに利用されたが、2008年の穀物生産が回復したために需要が減少した。さらに、原油価格が下落したことにより、アジアにおいてエタノール原料としての需要が減少したことが、価格の下落に拍車をかけることになった。2008年9月のタピオカチップ価格は1トン当たり174USドルで、高値であった5月から1割程度の下落となっている。


表4 タイのキャッサバおよびタピオカ製品価格
(単位:US ドル/トン、%)
出典:FAO、Food Outlook
図3 タイのキャッサバおよびタピオカ製品価格の推移
出典:FAO、Food Outlook

(4) 2009年の需給見通し 〜穀物価格や原油価格が変動要因か〜

 キャッサバ生産は、政策や民間による投資などを背景に作付面積が拡大すると予想されるが、一方で、穀物や燃料の国際価格の下落が拡大を妨げる要因になるとも考えられる。

 キャッサバ製品の需要は、競合する穀物の生産状況や価格に大きく影響されるが、天候と経済危機の要因を除くと、穀物生産は世界的に回復するとみられている。また、現在の経済危機も、特にタピオカフラワーやエタノールなど、タピオカ製品の需要に影響を与える可能性がある。

 さらに、アジア地域、特に中国でのキャッサバを原料とするエタノール生産の動向は、収益性によるところが大きい。タイからの原料キャッサバの輸入が大幅に減少した2008年に比べると、フレート(海上運賃)が下がっていることから輸入が拡大する余地はあるとみられる。一方、原油価格が下落していることから、エタノール需要が伸び悩むことも予想されており、エタノール向け需要は現時点では不透明な状況となっている。




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