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EUのでん粉事情について

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最終更新日:2010年3月6日

でん粉情報

[2008年7月]

【国内外の需給動向】
調査情報部 調査課

 EUでは、ばれいしょでん粉、コーンスターチ、小麦でん粉が生産されており、でん粉生産量362万トンのうち、ばれいしょでん粉が148万トンで52.5%と過半数を占めていることが特徴的である。また、わが国では、EUから2006年には3万8,748トンのばれいしょでん粉を輸入していたが、輸入単価の高騰などから2007年は前年比24.2%の9,369トンと大幅に減少している(財務省貿易統計)。
  このようなEUのでん粉産業について、英国の調査会社LMC社からの報告を基に、需給状況および関連する政策を取りまとめたので紹介する。


1.でん粉誘導体の需給バランス―タピオカでん粉以外はEU域内需要をほぼカバーできる生産―


(1)天然(非化工)でん粉
  EUではコーンスターチだけでなく、ばれいしょでん粉と小麦でん粉の生産量も多いことが特徴である。ばれいしょでん粉には生産割当数量が決められているのに対して、小麦でん粉およびコーンスターチは、生産割当制度がないため、生産量は市場の状況に左右される傾向が強い。
  タピオカでん粉については、他のでん粉に比べて数量的に少ないものの純輸入国となっており、70%以上がアジアから輸入している。
  一方、ばれいしょでん粉は輸出量が最も多く、輸出量が輸入量を大きく上回っている。輸出先では、ヨーロッパへの輸出が最も多く過半数を占め、約3分の1がアジア向け、約1割が北米向けである。輸出補助金(輸出払戻金、export refund)による支援を強みに、特に東アジアの食品産業と製紙産業に販路を確保してきたが、タピオカでん粉との競合が激しくなってきている。


表1 天然でん粉の生産量の推移 (単位:トン、市販ベース)
出典:LMC 社

表2 天然でん粉の消費量の推移 (単位:トン、市販ベース)
出典:LMC 社

表3 天然でん粉の輸入量の推移 (単位:トン、市販ベース)
出典:LMC 社
注:輸入量にはEU 域内貿易分を含む。

表4 天然でん粉の輸出量の推移 (単位:トン、市販ベース)
出典:LMC 社
注:輸出量にはEU 域内貿易分を含む。

(2)化工でん粉
  化工でん粉は、化学的または物理的に加工したでん粉で、製紙、食品およびその関連産業において、糊、膠着剤および増粘剤などとして使われる。
  EUにおいても多くの化工でん粉を生産しているが、その大部分はばれいしょでん粉を原料にしている。製紙産業用のカチオンでん粉や両性でん粉、食品産業用の多様な架橋でん粉や糊化でん粉など、高度な技術により加工したものもあり、域内で生産されている製品の種類は多岐に渡る。
  EUは、域内貿易を含めると世界最大の化工でん粉の輸出国であり、域外ではアジア向けが最も多く全体の約1割を占める。


表5 化工でん粉の生産量の推移 (単位:トン、市販ベース)
出典:LMC 社

表6 化工でん粉の消費量の推移 (単位:トン、市販ベース)
出典:LMC 社

表7 化工でん粉の輸入量の推移 (単位:トン、市販ベース)
出典:LMC 社
注:輸入量にはEU 域内貿易分を含む。

表8 化工でん粉の輸出量の推移 (単位:トン、市販ベース)
出典:LMC 社
注:輸出量にはEU 域内貿易分を含む。

(3)糖化製品
  EUでは製糖業者が、異性化糖は砂糖と競合するとして生産割当の導入を強く働きかけたため、砂糖制度において異性化糖に生産割当が設けられていることから、異性化糖の生産が盛んではない。生産割当は国別に配分されており、工場の規模も間接的に生産割当によって制限されることになる。
  欧州委員会は、現在行われている砂糖の制度改革期間に異性化糖の割当数量を段階的かつ均等に合計30万トン増やし、この増加分を生産国に配分するとしている。大規模な工場の建設が認められると、スケールメリットにより競争力を持つこともできるが、現状では砂糖の介入価格の引き下げに伴い異性化糖の販売価格が大幅に引き下がる可能性もあるため、経済的に見合うかどうかの再検討を余儀なくされている。中には、採算が合わないとして生産割当を返上する動きも出ている。
  異性化糖には生産割当があるため、EUではグルコース・グルコースシロップの生産量が多く、異性化糖を大きく上回っていることが特徴的である。これらのグルコース・グルコースシロップは主に域内の飲食業界で使用される。
  糖化製品の輸出量については、製品の多くが液体であり輸送コストがかさむため、アジア向けのグルコース・グルコースシロップとソルビトールおよび南米向けのソルビトールの輸出を除くと、域外への輸出は極めて少ない。


表9 糖化製品の生産量の推移 (単位:トン、市販ベース)
出典:LMC 社

表10 糖化製品の消費量の推移 (単位:トン、市販ベース)
出典:LMC 社

表11 糖化製品の輸入量の推移 (単位:トン、市販ベース)
出典:LMC 社
注:輸入量にはEU 域内貿易分を含む。

表12 糖化製品の輸出量の推移 (単位:トン、市販ベース)
出典:LMC 社
注:輸出量にはEU 域内貿易分を含む。

表13 2006年のEU の地域別輸入量 (単位:トン、市販ベース)
出典:LMC 社

表14 2006年のEU の地域別輸出量 (単位:トン、市販ベース)
出典:LMC 社

2.EUのでん粉制度―共通農業政策に応じた制度―


(1)各種でん粉に共通した政策
  EUでは、穀物の共通市場制度(Common Market Organization-CMO)により、主要な穀物の域内価格を国際市場価格を大幅に上回る水準に引き上げてきた。このため、穀物の加工業者やさらにその製品を使用するユーザーにとっては、使用する原料穀物およびその加工品にかかるコストが高いという事態になっている。
  でん粉製品は紙製品や有機化学品などにも多く使われているが、多くの工業製品は貿易交渉により約束した水準に抑えなければならず、輸入関税は低く設定されている。このため、高い国内産でん粉を使用した製品は、低い輸入関税で域内に入ってくる製品と競争しなければならない。このため、CMO政策によって、域内の穀物加工業者が原料費高と輸入加工製品との競争激化の板ばさみになるとし、EUではCMO政策がでん粉産業の原材料費に及ぼす影響を相殺するための対策をとっている。この対策は、でん粉製品への輸入関税とでん粉製造業者への生産払戻金(production refund)および輸出補助金からなる。

(1)でん粉製品の輸入関税
  天然でん粉と糖化製品は、EUでは基礎産品(basic product、基本的に農産品)に分類されており、域内生産を保護する目的で、EU域外からの輸入には高い関税が課せられている。一方、エステル化でん粉およびエーテル化でん粉は、工業品に分類されており、関税も比較的低く設定されている。他の化工でん粉は、関税の税率9.0%に加えて重量税が課せられるため、天然でん粉に近い関税になっている。
  天然でん粉のうちタピオカでん粉には、関税割当制度が導入されており、タイ産の1万トンおよびタイ産以外の1万トンが割当数量に設定されており、関税割当による輸入には1トン当たり66ユーロ(11,000円)の関税が適用される。割当数量を超えて輸入する場合には、通常通り1トン当たり166ユーロ(27,600円)が課せられる。


表15 でん粉製品の輸入関税(第三国からの輸入)
出典:EU 委員会、Online customs tariff database

(2)生産払戻金
  生産払戻金は、でん粉の最終ユーザーで「認可品(approved product)」を製造する者に給付される。この支払いの対象となるのは、域外からの輸入品からの関税がほとんど、あるいは全く適用されない製品であり、紙製品や有機化学薬品などが該当する。払戻金を給付することで、これら認可品を製造する域内のでん粉ユーザーに、域内産原料を用いたでん粉と、国際市場での原料を用いたでん粉の価格差を補償している。
  生産払戻金額は穀物管理委員会によって毎月、設定されるが、原料価格に大きな変動があり、影響が少なくない場合には、1ヵ月未満でも変更できるとされている。算定に当たっては、制度の開始当時、とうもろこしがEUで最も一般的なでん粉の原料であったため、とうもろこしの価格のみが用いられている。算定方法の詳細については、以下のとおりである。


生産払戻金の算定方法

(1) 下記の価格の差額を求める。

(a) 域内におけるとうもろこしの市場価格
・域内のとうもろこし価格が介入価格よりも高く、介入価格の155%(可変関税適用後の輸入穀物の価格水準)を超えない場合は、介入価格に実際の域内とうもろこしの平均価格と介入価格の差額の半額を加算した金額。
・域内のとうもろこしの価格が介入価格の155%を超える場合には、介入価格に介入価格の27.5%を加算した金額。

(b) とうもろこしの平均輸入価格(CIFロッテルダム)


(2) 1トンのコーンスターチを生産するには、1.6トンのとうもろこしが必要になるとの前提で、この差額に係数1.6を乗じる。この方法で算定された金額を基準の生産払戻金額とする。


(3) (2)で算定した基本的な生産払戻金額に、認可品の製造に用いられているでん粉製品ごとに定められている係数を乗じて求められた額を給付額とする。

 生産払戻金の算定にはとうもろこしの価格しか用いられていないが、小麦でん粉やばれいしょでん粉を使用した場合も対象となっている。当初はばれいしょでん粉はコーンスターチと同様に扱われていたが、ばれいしょでん粉には後述のように他の支援策もあることから生産払戻金の給付額がコーンスターチや小麦でん粉に比べて多いとされた。そのため、2004年の改正により、でん粉用じゃがいもの価額を制度・規則によって定められた価格に応じて判断することとし、欧州委員会が必要と判断した時には、コーンスターチとは異なる払戻金給付額を適用することとした。ばれいしょでん粉については、払戻金の算定時に用いるとうもろこしの域内価格の最高限度額が介入価格の115%とされており、通常の127.5%よりも低く設定されている。
  また、米でん粉は、2004年の改正時に制度の対象から除外された。


(3)輸出補助金
  輸出補助金は、でん粉製品を輸出する際に原料のFOB価格を、米国から輸出されるでん粉製品の原料FOB価格と同じ水準に引き下げることにより、EU域内のでん粉製品を使用するユーザーが国際市場で製品を販売する際の不利益を補っている。
  生産払戻金制度はでん粉製品のみを対象としているが、輸出補助金制度は農産品に幅広く適用されている。輸出補助金の対象となる製品は、基礎農産品を対象とし、アムステルダム条約(EUの基本条約の改正を行う条約、1994年発効)第32条3の付属書に示されている「付属書I産品」と、「付属書T産品」をさらに加工したもので対象として定められている「非付属書T産品」に分けられる。「付属書T産品」には、天然でん粉、グルコース、マルトデキストリン、カラメル、結晶果糖が含まれている。
  輸出補助金の給付額は、下記の算定方法によりでん粉の生産に用いる原材料によって変わってくるが、ばれいしょでん粉の場合には、コーンスターチと同一とみなすこととしており、1トン当たりの払戻金給付額もコーンスターチの場合と同じである。小麦でん粉の場合には、異なる算定方法が用いられており、(1)においては、EU産小麦のFOB価格と米国での小麦のFOB価格の差額が使われる。また、(2)では、製品の製造に必要な小麦の量を示す係数(小麦でん粉は2.0など)を用いる。
  「非付属書T産品」については、コーンスターチの基本的な輸出補助金に、それぞれ定められた係数を乗じるか、該当する係数がない場合には、天然でん粉の含有率に相当するとして事前に合意された率を乗じて輸出補助金額を算定する。
  輸出補助金の支払い時には、生産払戻金の対象である場合には原則として生産払戻金との差額が支払われていた。しかし、2000年の改正により、生産払戻金の対象であるもののうちエステル化・エーテル化でん粉以外については、輸出補助金の対象から除外された。


輸出補助金(コーンスターチを使用したもの)の算定方法

(1) 下記の価格の差額を求める。

(a) EU のとうもろこしのFOB 価格。
(b) 米国のとうもろこしのFOB 価格。

(2) 製品の製造に必要なとうもろこしの量を示す係数(例えば、コーンスターチは1.60、結晶果糖は2.09など)をこの差額に乗じる。

(2)ばれいしょでん粉に関する政策
  とうもろこしおよび小麦は、先述の輸出補助金とともに、介入買入れによる価格支持や農家への直接支払いなどを含むEUの共通農業政策(CAP)の対象となっている。
  ばれいしょについては、生食用のばれいしょはCAPの対象となっていないが、でん粉に加工されるばれいしょは、同じくでん粉に加工されるとうもろこしや小麦と競合するものとして公平性を保つ観点から、特別措置としてCAPに準じて扱われている。
  CAPでは、でん粉含量が17%のばれいしょを標準品としており、この場合1トンのでん粉を製造するのに5トンのばれいしょが必要であるとされている。価格は、1トンのでん粉を製造するのに必要なばれいしょ当たりで定められており、また、でん粉含量に応じて1トンのでん粉の製造に必要なばれいしょの量も示さており、支払われる価格はでん粉含量に応じて変動する。なお、でん粉含量が13%を下回る場合には、制度の対象からは除外される。


(1)生産割当制度
  CAPでは、穀物の生産者には直接支払いの受給要件として、小規模生産者を除き、耕作地の一部を休耕することが義務付けられている。でん粉用のばれいしょ生産者には、休耕は義務付けられていないが、その代わりに、ばれいしょでん粉の生産割当により生産量が制限されている。生産割当内のばれいしょでん粉は、特別奨励金(special premium)の対象となり、ばれいしょ生産者にも最低価格が保証され、直接支払いの対象となる。
  生産割当数量はEU加盟国別に割り当てられており、2006/07年度には14カ国に合計194万8,800トンが割り当てられている。各国は、自国の割当数量をばれいしょでん粉工場に割り振り、さらに、これらの工場が個々の農家と年間契約を結ぶことで、でん粉の生産量を管理している。
  この割当制度では、翌年の割当数量から余剰生産分を差し引くことを条件に、各加盟国はその年の割当数量を5%まで超過して生産することができる。しかし、割当数量の5%以上を超えて生産した場合には、5%を超えた分は輸出補助金を受けることなく、ばれいしょでん粉の状態で輸出しなければならない。


表16 1995/96年度(7月〜6月)〜2006/07年度におけるばれいしょでん粉の生産割当数量の推移
(単位:1,000トン)
出典:LMC 社

(2)でん粉用ばれいしょ製造業者を対象とした特別奨励金制度
  ばれいしょでん粉の製造は、生産割当による制限があるため規模拡大が難しいこと、ばれいしょの長期保存が難しいことから工場の稼働期間が短いこと、コーンスターチや小麦でん粉のように副産物による利益が期待できないことなどを理由に、他の原料からのでん粉製造に比べて不利であると考えられている。そのため、この不利益を補うため、ばれいしょでん粉の製造業者に対して特別奨励金が補助されており、でん粉含有率17%のばれいしょの場合、でん粉1トン当たり22.25ユーロ(3,694円)、ばれいしょ1トン当たり4.45ユーロ(739円)が支払われている。


(3)でん粉用ばれいしょ生産者を対象とした最低価格の設定
  でん粉用ばれいしょには最低価格が設定されており、生産割当数量内のでん粉製造用のばれいしょは最低価格以上で生産者から買い取ることとされている。
  でん粉用ばれいしょの最低価格は、穀物の介入価格を基準に設定されており、穀物の介入価格に10%上乗せした穀物価格を算出し、この価格にコーンスターチのでん粉換算係数1.60を乗じてでん粉に換算される。でん粉用ばれいしょの最低価格は、現在、でん粉1トンの製造に必要なばれいしょ当たり178.31ユーロ(29,600円)で、標準品のでん粉含有率17%のばれいしょでは、ばれいしょ1トン当たり35.66ユーロ(5,920円)である。

(4)でん粉用ばれいしょ生産者への直接支払
  従来、でん粉用ばれいしょの直接支払単価は、穀物の直接支払単価の基準になる価格を参考にして定められており、割当数量内で生産したでん粉用ばれいしょの量に応じて支払われていた。
  CAP改革により、農家に対する直接支払いを各作物の作付面積や家畜頭数といった生産要素から切り離し(デカップリング)、過去の直接支払い実績をベースとした単一支払い制度(Single Payment Scheme:SPS)が一部導入された。でん粉用ばれいしょの従来の直接支払の40%が単一支払制度に移行した。このため、現在の直接支払単価は、でん粉1トンを製造するのに必要なばれいしょ当たり66.32ユーロ(11,010円)、ばれいしょ1トン当たり13.26ユーロ(2,200円)となっている。


3.近年のでん粉産業の動向 ―原料価格が急激に上昇する中での市場競争力―

(1)原料作物の動向―とうもろこしを上回り上昇する小麦価格―
  EUのでん粉産業は、2007年には図1のように原料であるとうもろこし、小麦の価格が急激に上昇し、国際競争力が低下している。

出典:LMC 社
図1とうもろこしおよび小麦価格の推移

  とうもろこしと小麦の価格の推移を見ると、これまで同程度かとうもろこしの方がやや高い水準で推移してきたが、現在、小麦の価格がとうもろこしを大きく上回っており、これまでにない局面を迎えている。この原料価格の高騰は、主に米国でのバイオエタノール生産の拡大に伴いとうもろこしをはじめとする穀物需要が増加したことに加え、2007年のEU域内での小麦生産が不作であったことなどによる。
  EUにおいてもエタノール政策として各加盟国の消費量を2010年までに運輸燃料全体の5.75%(エネルギー換算で)にし、さらに2020年までにこの値を10%に増やすことを目指している。欧州委員会は現在、自らの目標値の75%程度を2010年までに達成できるとみている。この中で、EUでは大半のエタノール(推算でおよそ60%)を小麦から生産することになると見られ、2011年までにエタノール生産量が128億リットル前後に達すると、2,000万トン以上の小麦(または他の穀物)がエタノールの生産に使われる可能性がある。現在の小麦生産量が増加しない限り、小麦の域内価格は上昇し、小麦を原料としたでん粉生産における競争力が低下することになるだろう。
  EUでは砂糖制度の改革が行われているが、2008/09年度より砂糖の介入価格が引き下げられることにより、市場では異性化糖やグルコースシロップなどでん粉から製造される甘味料の価格に対しても引き下げが求められると考えられる。砂糖の生産割当数量が削減されていることから、砂糖の価格は介入価格よりは高い1トン当たり450ユーロ(74,700円:1ユーロ=166円)程度になると推測されているが、糖化製品製造業者から見ると極めて低い水準といえる。でん粉および糖化製品の価格は図2、3のように原料価格を反映して変動してきたが、価格の引き下げを求められた場合に、原料価格の上昇分をどのように負担するかがでん粉製造業者にとっては課題となる。


出典:LMC 社 出典:LMC 社
図2 EU におけるでん粉の価格の推移
図3 EU における糖化製品の価格の推移

表17 EU における砂糖およびてん菜の価格の推移 (単位:ユーロ/トン)
出典:LMC 社

(2)でん粉制度の見直しについて―穀物高騰により輸出補助金および生産者払戻金は、現在支払われず―
  現在、欧州委員会は、CAPの中間検証作業「ヘルスチェック」により、でん粉に関する支援についても見直しを進めている。穀物や砂糖での最近の改革を見ると、でん粉についても大きく変更および削減がされる可能性がある。ばれいしょでん粉に関しては、とうもろこしや小麦などの穀物との政策上の均衡について再検討されると見られる。
  特に、農家への直接払いについては、単一支払制度への移行は避けられない動きであり、既に単一支払制度に移行した従来の直接支払における40%分に加えて、さらに単一支払制度に移行することになるだろう。とうもろこしの介入価格が廃止される動きにあるため、コーンスターチの生産払戻金やでん粉用ばれいしょの最低価格を設定する理由がなくなることになる。また、現在、EU域内での穀物の価格は介入価格を大幅に上回っており、しばらくはこの状態が続くとみられる。このような中、でん粉に関する支援についても従来の必要性が薄れているものもあるだろう。
  また、輸出補助金の撤廃や輸入関税の従価税方式への移行は、WTO農業交渉において提案されており、交渉の結果次第ではでん粉産業も例外なく影響を受けることになる。
  EU域内においても原料作物の価格は大きく上昇しているが、世界市場においてもとうもろこし価格が高騰している。このため、生産払戻金は2007年から、ばれいしょでん粉およびコーンスターチの輸出補助金は2008年に入ってから、ともに支払われない状況となっている。現在、世界的にでん粉の価格は上昇しており、EUのでん粉産業はこれらの補助金がなくても世界市場において競争可能な状態にあるとも考えられる。
  EUのでん粉に関する制度は変更される可能性を大いに含んでいる中で、EUでの需給動向は、ばれいしょでん粉を輸入している日本のでん粉需給への影響も大きい。実際に制度が変更された場合に、域内でのでん粉産業を現在の規模で維持できるだけの国際競争力があるかどうかが注目されるところである。


出典:LMC 社 出典:LMC 社
図4 コーンスターチの基準の生産払戻金額の推移
図5 コーンスターチおよびばれいしょでん粉の輸出補助金の推移




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