畜産物の需給動向

 2 牛肉 


▼国産枝肉卸売価格
14年度の卸売価格は、安定基準価格を上回り、928円/kg(27.6%、東京・省令)
省令規格

 枝肉卸売価格(東京市場)は、10年度には、輸入量の増加、景気後退による消費不振等から低下し、右肩下がりで推移した。11年度には、引き続き低下基調で始まったが、6月を底に値頃感から国産品の下位等級に需要が強まったことから上向きに推移し、12年度には年間を通じて安定上位価格を上回って推移した。しかし、13年度には国内初のBSEが確認された9月までは堅調に推移していたものの、10月以降、消費者の牛肉離れから安定基準価格を下回り、年度末にかけて大幅に前年を下回った。14年度には、一転して価格が回復基調となったものの、平均では928円/kg(27.6%)とBSE発生前(12年)の8割程度にとどまっている(図18、P.79)。

和 牛
 和牛(去勢)の卸売価格は、10、11年度には、家計消費の減退にもかかわらず、前年並みに推移した。12年度は、引き続き不況感から需要は弱いものの、と畜頭数の少なさからほぼ前年並みとなった。13年度はBSEが確認された9月までは弱含みで推移していたが、10月以降は前年同月を大幅に下回って推移した。14年度に入り価格は大きく回復したが、年度平均でA5は2,192円/kg(0.5%)、A4は1,771円(10.7%)とBSE前(12年度)の水準にまで回復していない。その一方で、A3は1,523円(23.3%)、A2は1,232円(32.2%)とともに大幅に前年を上回っただけでなく、BSE前(12年度)の水準をも上回った。(図19、P.79)。
乳 牛

 品質的に輸入牛肉と競合する乳牛の卸売価格は、輸入品の増加等から、10年度には大きく低下してきたが、11年度の後半から12年度にかけて国産品の下位等級の需要が強まった。13年度8月までは、B3は強含みの展開だったが、9月以降はBSEの影響で急激に前年同月を下回り、年度末まで大幅に下回った。14年度に入り価格は急速に回復し、一時的にBSE前の水準を上回ったものの、年度平均でB3は731円(210.7%)、B2は528円(192.7%)と、ともに前年を大幅に上回ったものの、BSE前(12年度)の水準の8割以下にとどまっている。(図20、P.79)。

交雑種

 交雑種の卸売価格は、生産が急拡大する中、和牛の中級品を追う形で上昇したが、10年度には低下に転じた。11年度後半から12年度には、国産品の下位等級の需要が強まったことなどから再び上昇し、13年度8月までほぼ前年同月を上回って推移した。9月以降にはBSEの影響で、前年同月を下回り、さらに年度末にかけて大幅な減少となった。14年度に入り、価格は大幅に回復したが、年度平均では、F1去勢B3は1,082円/kg(46.0%)、B2は844円/kg(73.7%)と、BSE前(12年度)の水準の9割以下の水準にとどまっている(図21、P.79)。