畜産物の需給動向

 5 牛乳・乳製品 


▼飲用牛乳等生産量
14年度の牛乳の生産は398万kl(3.7%)とやや増加、乳飲料はやや減少、はっ酵乳はかなり大きく増加
 飲用牛乳(牛乳および加工乳)は、10年度、11年度はおおむね天候要因や茶系飲料等との競合等により減少傾向であったが、12年度はわずかに減少した。6月末に発生した加工乳等による食中毒事故の影響により牛乳はわずかに増加、加工乳はかなり減少した。13年度は食中毒事故の影響による牛乳への消費増加が一巡したことや、秋口の天候不順等によりやや減少し、14年度は4,435,138kl(0.7%)とやや上回った。このうち牛乳は表示の見直し等により3,982,031kl(3.7%)とやや増加し、加工乳は牛乳使用割合の表示が義務付けられた(13年7月11日から)ことにより、特徴が出しずらくなり453,107kl(▲19.4%)と大幅に減少した。
 ヨーグルト等のはっ酵乳は、活発な商品開発や消費者の健康志向等を背景に、昭和60年以来、生産量が堅調に推移してきたが、12年度は15年ぶりに前年度を5.1%下回った。13年度は(2.1%)再び上回り、14年度はプロバイオティックスの効用等もあり797,498kl(14.2%)と前年度を大きく上回った。
 乳飲料(牛乳等にカルシウム、しょ糖、コーヒー等を加えた飲料)は、消費者の健康志向、栄養強化タイプを中心としたメーカーの積極的な商品開発等を背景に8年度以降急激に伸びてきたが、加工乳と同様に食中毒事故の影響で、12年度は前年度をやや下回り、13年度は消費を回復してわずかに上回ったが、14年度は消費者の生乳志向に押され1,176,912kl(▲4.0%)とやや下回った。
 乳酸菌飲料は、14年度は184,603kl(5.7%)と2年連続で前年度を上回った(図12、13、P.106)。


ヨーグルト販売量、大幅に増加
 ヨーグルトの効用等に関するテレビ番組が各局で放送されたのをきっかけに、ヨーグルトの販売量は急上昇した。健康志向の消費者が年々増えてきたことと、ヨーグルトの「機能性」「プロバイオティクス」効果に着目した乳業各社による新商品の開発・販売により、14年度累計のはっ酵乳生産量は797,498klと前年同月比を14.2%と大幅に上回った(2003.3)。
 
生乳生産6年ぶり増加

 14年度の全国の生乳生産量は8,381千トンと6年ぶりに前年同期比を0.8%上回った。酪農家の減少、乳牛飼養頭数の減少が続き、生産基盤の弱体化が危惧されているなかで、朗報である。北海道は3,797千トンと3.5%上回り、都府県は4,584千トンと1.3%下回った(2003.3)。

 

脱脂粉乳の在庫、過去最高水準

 14年3月末の期末在庫は、80,800トンと前年同期比を7.7%上回り過去最高水準となった。飲用乳向けの生乳需要がひっ迫し、脱脂粉乳への生産量が減少したことではあるが、この過剰在庫は加工乳等への需要量の大幅な減少が大きな要因となっている。14年度の牛乳生産量は3,982千トンと前年同期比3.7%増であるのに対して、加工乳生産量は453千トンと19.4%大幅に減少している(2003.3)。
 
バターの輸入・売渡し11年ぶりに実施
 当事業団は、15年5月8日に13年度カレントアクセス分として、バター3,484.1トンの売渡入札を行ない、5月中に全量売り渡した。これは平成3年以来11年ぶりの実施となる。カレントアクセス分はホエイ枠を除いて、全量脱脂粉乳で実行してきたが、脱脂粉乳の需要減退による在庫増加と、ハイファットクリームチーズの輸入規制等による乳脂肪需要の増加により、バターを輸入した(2003.5)。