畜産物の需給動向

 3 豚肉 


▼輸 入
14年度の輸入量は、74万7千トン(5.9%)とかなりの程度増加
 豚肉の輸入量は、安価で保存性の高い輸入冷凍品の増加(551.251トン、対前年比9.7%)によりかなりの程度増加傾向にある。13年度はEUで口蹄疫が発生、このため北米からの代替え供給により輸入量が急増した。また前年度に続き、14年8月以降緊急措置が発動され、基準輸入価格が引き上げられたものの、13年9月に国内で発生したBSEの影響による牛肉の代替え需要から、14年度の輸入量は、13年度をかなりの程度上回る74万7千トンとなった。(図6、P.89)。
 また、12年3月には韓国での口蹄疫の発生により、韓国産豚肉の輸入が禁止され、13年2月にはEUで、14年5月には韓国で再発生したこと等により、台湾、韓国、英国からの輸入禁止措置、あるいはわが国が清浄国として扱っている国からの輸入の一時停止措置がとられた(図7、P.90)。
 14年度は、第1四半期までの豚肉等の輸入量が同期の発動基準数量を超えたことから、昨年に引き続き、5回目の緊急措置が発動された。 昨年と同様8月1日の発動のため7月中の駆け込み輸入により7月は急激な増加になった。
 基準価輸入価格は、部分肉ベースで546.53円から681.08円となったにも関わらず相対的に各国からの輸入が増え対前年度を74.74トン(5.9%)上回った(図8、P.90〜94)。



米国産
 米国産は、特定部位を大量に入手しやすいことや冷蔵での輸入が可能なこと等から近年、冷蔵品を中心に増加していたが、14年度は、特に韓国や台湾からの輸入の減少およびBSEの代替えにより冷凍品が大幅に増加した。
 冷蔵品は132,199トン(▲3.1%)でシェア68%、冷凍品は114,876トン(8.1%)でシェア21%。合計では247,304トン(1.8%)でシェア33.1%(図9、P.90)。
デンマーク産

 デンマーク産は、台湾産が輸入禁止となった9年度以降、加工仕向用冷凍品の最大輸入先国となった。14年度は、8月からの関税緊急措置発動にもかかわらず牛肉の代替需要により、冷凍品は221,105トン(2.4%)でシェア40%、合計では221,439トン(2.4%)でシェア30%となった(図10、P.90)。

カナダ産

 カナダ産は、冷蔵品、冷凍品ともに増加を続けており、今後ますます重要な輸入先国になると考えられている。14年度はEUおよび牛肉の代替需要から大幅に増加し、冷蔵品が41,221トン(▲7.6%)でシェア21%、冷凍品は127,022トン(13.1%)でシェア23%、合計では168,360トン(22.5%)でシェア22.5%となった(図11、P.90)。

調製品

 豚肉調製品(豚の肉またはくず肉のみから成るものを除く。)やソーセージ類は、豚肉に緊急措置が発動され基準輸入価格が引き上げられた場合でも、定率関税で輸入することができるため、増加傾向で推移してきた。14年度は、もも調製品以外の調製品がわずかに増加したため全体は増加した(図12)。