畜産物の需給動向

 6 鶏卵 


▼消 費
15年度の推定出回り量は、261万6千トン(▲1.2%)と前年をわずかに下回る
図7 鶏卵の推定出回り量
 鶏卵の推定出回り量は、家庭内で消費されるテーブルエッグが主に国内産の生鮮品(殻付き卵)で占められていることから、生産量の動向とほぼ一致した動きを示している。11年度以降、ほぼ横ばいで推移しており、15年度は、2,615,932トン(▲1.2%)と前年度をわずかに下回った(図7、P.121)。
資料:財務省「貿易統計」
   農林水産省「鶏卵流通統計」
図8 鶏卵の家計消費量(1人当たり)
 1人当たりの家計消費量は、世界的にみても高い水準にあり、11年度以降は、賞味期限など表示の実施などから1人当り年に10kg程度とほぼ横ばいで推移している。13年度以降は景気低迷、日付表示の不正、鳥インフルエンザの発生などの影響で10,157g/人(▲1.3%)とわずかに減少している。 (図8、P.66)。
資料:総務省「家計調査報告」
図9 ドレッシング類原料卵消費量
 鶏卵消費のうち、約5割が加工原料卵および外食などにおいて消費されている。加工仕向け卵のうち、マヨネーズなどドレッシング類の原料として消費される鶏卵の消費量は、家庭における調理方法や外食メニューの多様化などを背景に、年々増加傾向で推移してきた。しかし、13年度を境にドレッシング類の種類の多様化、し好の変化などから減少し、15年度は、66,277トン(▲11.5%)とかなり大きく減少した。(図9)。
資料:農林水産省食品流通局食品産業振興課

卸売価格低迷する

 16年1月、鶏卵市場の初市は、近年最安値の85円(東京・全農・M)からのスタートとなった。

 補てん基準価格は、鶏卵の生産条件および需給状況、その他の経済事情などを勘案して決定されるが、15年度の鶏卵の標準取引価格は、生産過剰、需要の低迷などによりかつてない低水準で推移し、年度当初決定した補てん基準価格の168円を、実質1年を通して下回ることとなった。このため、造成した基金も財源が枯渇し、16年1月から3月には補てんに支障を来す事態となった。

 また、年度末には、国内外で鳥インフルエンザ発生による鶏卵の買い控え、さらには、日付表示の偽装など追い打ちをかける事態が発生し、消費は一時停滞、卸売価格をさらに低迷させることとなった。