畜産物の需給動向

 5 牛乳・乳製品 


▼乳製品
脱脂粉乳
15年度の推定期末在庫量は9万3千トンと大幅増加、大口需要者価格は前年並み

図14 脱脂粉乳の生産量・輸入量

 11年度から13年度には需給が安定的に推移したことから、カレントアクセス分の輸入にとどまった。14、15年度には需給が緩和し、在庫も積み増したことからカレントアクセスの輸入は行われず、15年度の生産量は184,372トン(3.1%)となった(図14、P.112)。
資料:農林水産省「牛乳乳製品統計」
 注:輸入量は機構輸入分のみ
図15 脱脂粉乳の推定期末在庫量
 15年度の推定出回り量は172,400トン(▲0.7%)、推定期末在庫は製菓・製パン、乳飲料関係などの脱脂粉乳を使用した商品需要の落ち込みなどから93,200トンと前年度末より12,400トン(15.4%)とかなりの程度増加した(図15、P.112)。
資料:農林水産省生産局畜産部牛乳乳製品課調べ
図16 脱脂粉乳の大口需要者価格
 大口需要者価格は、10年度以降輸入品の放出、生産量の増加などからひっ迫感が緩和され、価格はゆるやかに下降した。15年度には、平均で13,529円/25kg(▲0.5%)と前年並みであった(図16、P.117)。
資料:農林水産省生産局調べ
注:消費税を含む。
図17 脱脂粉乳の流通ルート(平成14年度推計)
 14年度における脱脂粉乳(当機構売渡しの輸入脱脂粉乳を含む)の推定供給量173,600トンのうち、乳業メーカーの社内消費仕向けが36.9%、社外販売が63.1%となっている。社外販売量109,500トンのうち需要者に直接販売されるのは、14,500トン(社外販売量の8.4%)である(図17)。
資料:農畜産業振興機構調べ
バター
15年度の推定期末在庫量は12.9%増加、大口需要者価格は前年並み
図18 バター、クリームの生産量
 バターの生産量は、7年度以降飲用向け需要が伸び悩み、11年度までは微増傾向で推移してきたが、12年度には6月の食中毒事故以降、生乳の飲用向け需要の増加により前年をかなり大きく下回った。13年度には、生乳の飲用向けの増加が一巡したことに加え、在庫量が減少したことで回復した。14年度には、牛乳の消費が好調に推移したことから再び減少した。15年度には81,508トン(2.4%)とわずかに増加した。

 クリームは、15年度は90,044トン(5.7%)となった(図18、P.111)。

資料:農林水産省「牛乳乳製品統計」
図19 バターの推定期末在庫量
 11年度は業務用需要の減退などから、推定出回り量が生産量を下回り、推定期末在庫量は増加に転じたが、12年度は3年ぶりに推定出回り量が生産量を上回った。13年度はハイファットクリームチーズの関税分類の変更に伴いバターの需要量が増加し、14年度は牛乳の消費が好調で加工向けが減少したこと、また同時に生産される脱脂粉乳の在庫量が増加を抑制したことにより減少したが、15年度の推定期末在庫量はカレントアクセス分の在庫保持などにより26,800トンと前年度末より3,100トン(12.9%)増加した(図19、P.112)。
資料:農林水産省生産局畜産部牛乳乳製品課調べ
図20 バターの大口需要者価格
 大口需要者価格は、10年度以降、在庫の増加などから低下傾向となった。13年度以降には在庫の減少から増加傾向となった。15年度の平均価格は960円/kg(0.9%)となった(図20、P.117)。
資料:農林水産省生産局調べ
 注:消費税を含む
図21 バターの流通ルート(平成14年度推計)
 14年度におけるバターの推定供給量89,800トンのうち、乳業メーカーの社内消費仕向けが18.9%、社外販売が81.1%となっている。社外販売量72,800トンのうち需要者に直接販売されるのは、3,300トン(社外販売量の3.7%)にすぎず、主に大手乳業系列販社、乳製品卸などを含む一次卸が68,600トン(同76.4%)を占め、二次卸を経由するのは25,600トン(同28.5%)となっている(図21)。
資料:農畜産業振興機構調べ
チーズ
15年度は生産量、輸入量、総消費量ともにやや減少。
 チーズ(ナチュラルチーズとプロセスチーズ)の1人当たり年間消費量は約2.0kg(15年、速報)と欧米に比べて格段に少ないものの2kg台に達した。全体の消費量については7年度に20万トン台に乗り、その後も増加傾向で堅調に推移してきたが、14年度には(▲3.0%)とやや減少したが、15年度には255,889トン(2.6%)と増加した(図22、P.113)。

 プロセスチーズの消費量は、安定した伸びを示してきたが、14年度にはわずかに増加し、15年度には119,403トン(0.6%)と微増した。直接消費用ナチュラルチーズ(プロセスチーズ原料用以外のものを指し、業務用その他原料用を含む)は136,486トン(4.4%)と増加した。

 国産ナチュラルチーズの生産量は、15年度には34,899トン(▲13.3%)と前年度を下回った。このうち直接消費用は、11年度までは増加傾向であったが、12年度以降減少し、15年度は13,766トン(2.4%)と3年ぶりに増加した。プロセスチーズ原料用は、おおむね2万トン前後で推移しており、15年度は21,133トン(▲6.3%)と減少した(図23、P.113)。

 ナチュラルチーズ全体の輸入量は増加傾向で推移しており、15年度には195,751トン(3.5%)とやや増加した。うち直接消費用は122,720トン(4.6%)、プロセスチーズ原料用は73,031トン(1.7%)となっている(図24、P.113)。

 その結果、総消費量における国産の割合は14.7%と前年度を0.9ポイント下回った(図22、P.113)。

 

図22 チーズの総消費量と国産割合
図23 ナチュラルチーズの生産量・輸入量


資料:農林水産省生産局畜産部牛乳乳製品課 資料:農林水産省生産局畜産部牛乳乳製品課

図24 15年度のチーズ総消費量の内訳


 
資料:農林水産省生産局畜産部牛乳乳製品課  


アイスクリーム
15年度生産量は増加、輸入量は減少

図25 アイスクリームの生産量と輸入量

 生産量は11年度に5年ぶりに前年度を上回ったが、競合商品の多様化、消費者の甘味離れに加え景気低迷の影響などを背景に12年度にはかなり大きく減少、13年度にはかなりの程度増加したが、14年度にはやや減少し、15年度には103,924kl(1.5%)と増加した。

 輸入量については、15年度には20,243kl(▲5.4%)と減少した(図25、P.111、115)。

資料:農林水産省「牛乳乳製品統計」、財務省「貿易統計」
 注:輸入量は、1t=1.455klで換算