畜産物の需給動向

 3 豚肉 


▼小売価格
15年度の小売価格、輸入品はわずかに低下
 「豚肉のロース」の小売価格は、国産品、輸入品とも、ほとんど変化しておらず、15年度は、国産品は236円/100g(1.3%)、輸入品は170円/100g(▲0.6%)とほぼ前年なみとなった。特に、15年度は、牛丼の代替品として豚丼メニューが登場し、バラの需要が増加し、ロースの荷動きは停滞した。(図23、P.99)

 また、国産もも肉も、15年度は国産品は162円/100gと前年並み、輸入もも肉については、125円/100gととわずかに値を下げた。特に、国産もも肉はこの5年間でほぼ横ばいを続けているのに対し、14年度以降、輸入もも肉はテーブルミートとしての価値を確立し、値を戻した(図24、P.99)。

図23 豚肉の小売価格(ロース)
図24 豚肉の小売価格(もも)


資料:農畜産業振興機構調べ
 注:消費税は含まない。
資料:農畜産業振興機構調べ
 注:消費税は含まない。

 

豚コレラ散発する!!
 豚コレラは、豚コレラウイルスによって発熱、下痢などを引き起こす豚の急性、熱性、全身性の感染症(免疫がない場合は100%死亡)である。飼養豚に、免疫を付加するためには、一般的に肥育豚では30〜60日齢で1回、繁殖母豚では親豚になるまでの間に3回、生ワクチンを接種しなければならない。平成5年以降国内での発生はない。

 しかし、ワクチン接種率が下がれば再発する可能性があることなどから、わが国では、平成8年度から「豚コレラ撲滅対策」(ワクチンを用いない防疫体制)を整備してきたところである。ワクチン接種中止の利点は、(1)ワクチン接種の費用の軽減できる、(2)接種地域からの豚肉等の輸入制限できることである。

 対策は、ワクチン接種徹底による清浄化と検査による清浄確認(第一段階)、都道府県ごとの接種中止(第二段階)、全国的なワクチン接種(第三段階)からなる。そして現在、原則全国的にワクチン接種を中止し、ワクチン接種国・地域からの豚肉等の輸入を制限する第三段階に入っているところである。

 一方、万一の発生時には「家畜伝染病予防法」に従って発生農場の飼養豚について殺処分が行われ、発生状況によっては周辺農場などの豚についてもとう汰が必要になることから、平成10年度には生産者による互助制度「家畜防疫互助制度」を設け、その損失を負担し合う体制も整備されている。

 15年度末、豚コレラを疑う事例が鹿児島県で発生し、検査の結果、未承認ワクチン由来のウイルスと確認されるという事例があり、その後も同県で散見された。