畜産物の需給動向

 4 鶏肉 


▼小売価格
16年度のもも肉小売価格(東京)は、前年度をわずかに下回る
図21 鶏肉の小売価格
 鶏肉の小売価格(もも肉・東京)は、1 3年度は9月以降のB S E発生による代替需要と年度後半の偽装表示問題による国内産需要の高まりにより、年度後半大幅に値上がりした。1 4年度もB S Eに対する代替需要は無くなったものの国産志向に支えられ、卸売価格は年度後半値下がりしたにもかかわらず小売価格は高い水準を維持した。1 5年度に入ってからは前年同期とほぼ同水準で推移していたが1 6年1月の国内での鳥インフルエンザ発生以降は低下傾向にあり、1 6年度は1 2 2円/1 0 0 g(▲1 . 6%)と前年度をわずかに下回った(図21、P.185)。
資料:総務省「小売物価統計調査報告」

 

生鮮品に代わり、鶏肉調製品輸入が大幅に伸びる

 海外における鳥インフルエンザ発生により、1 6 年1月にタイからの鶏肉の輸入停止措置が採られたため、1 6年度の鶏肉輸入量は前年度比1 5 . 1%減の3 6万5千トンへ大幅に減少した。また、輸入相手先も、ブラジルが輸入量の9割を占める一極集中化が起っている。

 一方、食生活の多様化を背景として外食や中食などの業務用としてから揚げ、チキンナゲット、炭火焼き鳥などに加熱、味付けした鶏肉調製品の需要が高まっている。鳥インフルエンザやニューカッスル病などの家きん疾病が発生している国からでも、衛生処理条件などが合致すれば、わが国の農林水産大臣が指定する加工場で過熱処理された鶏肉調製品の輸入が可能となっており、1 6年度は2 7万2千トンと5年前の1 1年度(1 1万9千トン) の2倍以上に実績を伸ばしている。

 特に、タイ産の鶏肉調製品のシェアは、1 1年度の3 4 . 5%(4万1千トン)から1 6年度には4 4 . 8% (1 2万2千トン)へ躍進している。2 0 0 4年にタイから輸出された鶏肉調製品は前年比2 3 . 0%増の1 9万3 千トンであったが、1 7年3月にバンコクで開催されたセミナーの中で、タイブロイラー加工輸出協会のアナント会長は、1 7年の鶏肉調製品の輸出は前年の約1 . 5倍の3 0万トンが見込まれると語っている。また、1 7年7月にはタイの一部で鳥インフルエンザが再発したことから、生鮮品の日本への再輸出はさらに困難となった。従って、1 7年も第一の輸出市場である日本への鶏肉調製品の輸出志向はさらに高まると思われる。