畜産物の需給動向

 6 鶏卵 


▼卸売価格
16年度は、205円/kg(47.5%)と大幅に上昇
図9 鶏卵の卸売価格(東京・M)とひなのえ付け羽数

 鶏卵は自給率が約9 5 %と高いため、鶏卵の卸売価格は生産量の変動が大きく影響する傾向にある。鶏卵の卸売価格(東京・Mサイズ)の動きを見ると、昭和5 5年度、6 0年度、平成2年度、8年度、1 1年度とほぼ5年周期でピークを迎えている。1つのピークを過ぎると約2年で谷になり、その後約3年間で再びピークになる。この周期的変動には、ひなえ付け羽数が大きく影響している。高卵価に刺激され、え付け羽数が増加することによって、生産量が増加し、卵価の低落を招いている(図9)。

 1 6年度は、鳥インフルエンザの影響でえ付け羽数が対前年度比2 . 0%減少し、卸売価格は供給不足が影響して2 0 5円(4 7 . 5%)と前年度に比べ大幅に上昇した。(図9、P.204)

 生産者団体は、安定的な卵価を維持するための基金を設け、基準取引価格を下回った場合に補てん金が支払われる(鶏卵価格安定対策事業) を実施している。各年度の卸売価格と鶏卵価格安定対策事業による補てんは以下のとおり。1 3年度は、ほとんどの月で卸売価格が低迷した。鶏卵価格安定対策事業による補てんは、1 3年4〜10月および14年1、3月の9回行われた。

資料:農林水産省「鶏ひなふ化羽数」
   「鶏卵市場流通統計」(8年12月まで)
   農林水産省「鶏卵流通統計」(9年1月以降)

 

図10 鶏卵の卸売価格(東京・M)

 1 4年度は、1 4年1 2月までは前年を上回って推移したものの、1 5年1月は冬場の需要期にもかかわらず1 4 1円と低迷した。鶏卵価格安定対策事業による補てんは、1 4年4〜8月、1 5年1、3 月の7回行われた。

 1 5年度は、卸売価格が大幅に下落した影響で、すべての月において補てん基準価格を下回り、鶏卵価格安定対策事業による補てんが1 0回行われた。そのため、年度後半には交付金の財源が枯かつする事態にまで陥った。

 1 6年度は、鳥インフルエンザの発生や夏の猛暑などによる鶏卵生産量の減少が影響して、冬場の需要などを満たしきれなかったことから、卵価は年度後半にかけて高騰した。そのため、鶏卵価格安定対策事業による補てんは、年度途中に基準取引価格の引き上げ(1 4 2円から1 5 9円へ改定)があったにもかかわらず、1 6年7月の1回のみにとどまった。(P.204)

資料:農林水産省「鶏卵市場流通統計」(8年12月まで)
   農林水産省「鶏卵流通統計」(9年1月以降)
 注:9年1月以降は消費税を含まない。