畜産物の需給動向

 7 飼料 


▼飼料用とうもろこしの輸入
16年度は1,152万トン(▲8.3%)、輸入価格は高水準
輸入量
図8 トウモロコシの輸入量
資料:財務省「貿易統計」


 配合飼料の主原料となる飼料穀物(トウモロコシ、こうりゃん、大麦、小麦など)は、そのほとんどを海外に依存している。トウモロコシは輸入量全体の約7割を占め、そのほとんどを米国から輸入している。

 トウモロコシの輸入量は、1 3年度、1 4年度と増加傾向で推移していたが、1 5年度には前年度並みとなり、1 6年度は8 . 3ポイント下回る1 , 1 5 2万トンとなった。

 国別にみると、米国産が前年度を5 . 8ポイント下回る1 , 1 0 1万トン、中国産は前年度を1 6 . 6ポイント下回る4 9万トンといずれも減少した(図8、P.207)。


豚由来肉骨粉、豚、鶏用飼料への利用を再開へ
 内閣府食品安全委員会は1 6年6月2 4日、豚由来たんぱく質等の飼料利用について、食品健康影響評価の結果を下記の通り公表した。

(1)豚及び家きんが自然状態においてB S Eに感染し、B S Eを伝達するという科学的根拠はない。従って、豚及び家きんに由来する肉骨粉、蒸製骨粉及び加水分解たん白質を豚及び家きん用の飼料として利用することによる、ヒトへの直接的な食品健康影響については無視できると考えられる。

(2)豚及び家きん由来肉骨粉、蒸製骨粉及び加水分解たんぱく質を豚、家きんの飼料に利用するに当たっては、交差汚染を防止するための適切な管理が実施できる施設にのみ認められるべきである、また、交差汚染を科学的にチェックするために、十分な感度・精度を有する技術の開発により一層努力し、今後、安全性を検証する仕組みを構築するべきである。

 これを受けて、農林水産省は、Aの管理方法について農業資材審議会飼料分科会に諮問し、1 6年9月1 0日に答申があったことから、平成1 7年2月2 8日に「飼料及び飼料添加物の成分規格等に関する省令」の一部を改正した。

 これにより、豚由来肉骨粉等について、牛等用飼料の製造工程と完全に分離された工程で製造されることを農林水産大臣が確認し、その工程で製造された豚肉骨粉及び豚・鶏混合肉骨粉は、豚、鶏用の飼料に用いてよいこととなり、平成1 7年4 月1日に施行された。


輸入価格

図9 とうもろこしの価格と為替相場

 とうもろこしの国際価格(シカゴ相場)は、7 年から8年にかけて上昇し、その後5年連続して米国産が豊作になったことから軟調に推移していたが、1 4年度は、米国の主産地における夏の干ばつなどによる作柄悪化により上昇転じ、9月には一時2 8 0セント/ブッシェルまで上昇した。1 5年度は米国の生産地の天候が良好であったことから、7月には2 0 5セント/ブッシェルまで下落したものの、米国農務省の需給報告により、世界の在庫水準が低水準となると見込まれたことなどにより上昇傾向で推移した。

 1 6年度には、4月上旬3 3 0セント/ブッシェルに上昇したものの、その後、米国における良好な生育により、史上最高の生産量が見込まれたことから大幅に下落した。(図9、P.207)。

資料:東京三菱銀行、財務省「貿易統計」、日本経済新聞(シカゴ相場、先物、期近価格)
 注:とうもろこし1ブッシェル(約36リットル)は約25.4kg