畜産物の需給動向

 3 豚肉 


▼小売価格
16年度は、輸入品が引き続き低下
 「ロース」の1 6年度の小売価格は、国産品は2 3 5円/ 1 0 0 g(2 . 6%)、輸入品は1 6 8円/ 1 0 0 g (▲1 . 2%)となった。1 5年度以降は、ロースの荷余り感から輸入品の価格は2年連続して低下した。(図23、P.181)

 また、「もも」については、1 6年度は国産品1 6 2円/ 1 0 0 g(0 %)、輸入品については、1 2 8 円/1 0 0 g(2 . 4 %)となった。国産品は、この5 年間でほぼ横ばいを続けているのに対し、輸入品は値を上げている(図24、P.181)。

図23 豚肉の小売価格(ロース)
図24 豚肉の小売価格(もも)


資料:農畜産業振興機構調べ
 注:消費税は含まない。
資料:農畜産業振興機構調べ
 注:消費税は含まない。

 

豚肉の緊急関税措置が4年連続発動
 海外からの安価な豚肉の大量輸入による豚肉の国内需給の混乱を防止することを目的に、豚肉の輸入に対しては、@輸入品の価格が低いときには、基準価格輸入価格を下回る部分を関税として徴収して国内養豚農家を保護する一方、A価格が高いときには、低率な従価税を適用することにより、関税負担を軽減し、消費者の利益を図る、という仕組みが制度化(豚肉の差額関税制度)されており、国内の需給および価格の安定に寄与している。

 また、輸入量が急増し、発動基準を超えた場合、豚肉の関税の緊急措置発動され、基準輸入価格が部分肉ベースで5 4 6 . 5 3円から6 8 1 . 0 8円に引き上げられる。1 3年度から1 5年度は、第1四半期の輸入数量が過去3年度同期の平均輸入量の1 1 9%を超え、年度の残り期間(8月から翌年3 月まで)について基準輸入価格を譲許水準に戻す措置がとられたが、1 6年度についても発動基準数量の2 5 7 , 0 0 4トンを約6万トン上回る3 1 6 , 7 5 5トンが輸入され、4年連続の関税の緊急措置が発動された。

 これにより、毎年7月には駆け込み輸入で輸入量が急激に増え、翌8月には、輸入量は縮小するといったパターンが繰り返された。