海外編

 III オセアニア【豪州】 

1. 一般経済の概況

豪州経済は、1 9 9 0年に入り、個人消費や住宅建設の増加などの内需の拡大を背景に実質国内総生産(G D P)成長率は比較的高い水準で推移していたが、2 0 0 0/0 1年度に導入したG S T(物品サービス税)の影響により、シドニーオリンピック終了後の2 0 0 0年末、一時的にマイナス成長を記録した。しかし、再び個人消費や住宅建設などの内需が回復し、また、第一次産品を中心とした輸出の増加も手伝って経済は回復に向かい、その後は順調に推移している。2 0 0 3/0 4 年度の実質G D P成長率は4 . 1%と世界的な景気低迷の中で安定した成長を達成し、実質G D Pも7,891億7千万豪ドルと前年度を上回った。

また、2 0 0 3 / 0 4年度の平均失業率は、安定した経済活動を反映し、前年度から0 . 6ポイント改善して5 . 9%となった。平均失業率は、1 9 9 4/9 5年度以降、継続的に1ケタ台を維持している。

一方、貿易収支については、主要通貨に対して豪ドル高で推移する為替動向やおう盛な国内需要、また、干ばつの影響を引きずる農産物輸出の減少などが重なり、2 0 0 3/0 4年度は3年連続となる238億ドルの記録的な赤字となった。

なお、日本は、輸出入を合わせた貿易総額で米国を上回り、豪州にとって引き続き最大の貿易相手国となっているが、最近は、中国との貿易の伸びが著しくなっている。

2. 農・畜産業の概況

豪州の農業(林業、水産業を除く)は、G D P で全体の約3 . 3%(2 0 0 3/0 4年度)、就業人口で全体の約3 . 4%(同)を占めるに過ぎず、産業全体に占める割合は必ずしも高くない。しかし、2 0 0 3/0 4年度の全商業輸出額に占める農産物の割合は2 3 . 9%と、鉱物資源(4 7 . 4%)に次ぐ位置を占めており、農業は、極めて重要な輸出産業となっている。

豪州では、国土面積の約6割に相当する約4 億6千万ヘクタールが農業可能地となっているが、そのうちの約9割は牛や羊の放牧のみに利用可能な自然草地である。2 0 0 3年3月末現在の農場数は、前年より1 0 . 7%増加して約1 3万3千となった。農場数は9 7年まで減少傾向で推移していたが、1農場当たりの農業粗収入の向上に伴い増加傾向で推移している。また、経営面では、肉牛、羊、酪農などの専業経営のみならず穀物などとの兼業も多いことから、農業従事者全体の約8割が何らかの形で畜産経営に携わっているとみられている。

近年、上昇を続けていた農業粗生産額は、2 0 0 2/0 3年度の干ばつによる影響により大きな落ち込みをみせたが、2 0 0 3/0 4年度は天候に恵まれたこともあり穀物生産が好調だったことから、前年度比1 2%増の約3 5 6億豪ドルと、再び、増加基調に転じた。

2 0 0 3/0 4年度の畜産物粗生産額は前年度比6 . 1%減の約1 6 5億ドル、一方、穀物など畜産以外の農産物の粗生産額は前年度比3 4 . 5%増の約1 9 1億ドルと大きく明暗が分かれた。畜産物粗生産額は農業全体の半数以上を占めていたが、前年度からの干ばつの影響から2 0 0 3/0 4年度は、全体の約46%にまで落ち込むこととなった。

畜産物のうち、肉牛・牛肉は約6 7億豪ドル(3 . 7%増)、牛乳・乳製品は約2 8億豪ドル(7 . 8% 減)となった。

前年度に2ケタの落ち込みとなった農産物総輸出額(F O B)は、2 0 0 3/0 4年度に入り穀物を中心に好転がみられたことから、前年度比3 . 6% 減の約261億豪ドルまで回復した。

このうち、畜産物輸出額は、前年度比9 . 3%減の約1 2 6億ドルとなった。その内訳は、肉牛・牛肉が約4 1億豪ドル(4 . 9%減)、羊・羊肉が約1 3 億豪ドル( 6 . 1 %減)、羊毛が約2 8億豪ドル(2 1 . 3 %減)、牛乳・乳製品が約2 2 億豪ドル(8.4%減)と、いずれも減少した。

2 0 0 3/0 4年度の畜産物輸出額は、農産物総輸出額全体の4 8 . 3%となり、畜産物粗生産額の農業粗生産額に占める割合と同様、過半数を割る結果となっている。

3. 畜産の動向

(1)酪農・乳業

豪州の酪農は、放牧を主体とする経営が大部分であるため、酪農生産が盛んなビクトリア州を中心に、気象条件に恵まれ、牧草生育に有利な地域に集中している。

また、生産される生乳の約8割が加工向けであり、さらに、製造される乳製品も約8割が輸出向けという輸出依存型産業である。

従って、生乳生産量は気象条件や牧草の生育状況などによって大きく変動するとともに、酪農経営は乳製品の国際市況および為替の変動の影響を受けやすいという特徴を有している。

@主要な政策

豪州では、かつて、加工原料乳に対する価格補てん政策(連邦制度)と飲用向け生乳に対する最低価格保証政策(各州の制度)が実施されていたが、2 0 0 0年7月1日をもって両制度がともに撤廃となり、生乳の販売流通は完全に自由化された。このほか、2 0 0 3年7月には酪農団体の再編が行われ、豪州酪農庁(A D C)と他の研究機関が統合して新たにデイリー・オーストラリア(D A)が発足し、販売促進や研究開発、マーケット情報提供などを一括して行っている。これらの事業財源の多くは、生乳の販売時に課される生産者課徴金(強制徴収)によるものである。

A生乳の生産動向

乳用経産牛の飼養頭数は、1 9 5 7年の3 4 5万1千頭をピークに減少してきたが、1 9 9 2年に入り、好調な酪農市況を反映して増加に転じ、その後はおおむね増加基調で推移していた。しかし、2 0 0 2年に入り干ばつの影響で飼養環境が悪化してきたことなどから、飼養頭数は減少に転じている。2 0 0 4年6月末の乳用経産牛飼養頭数は前年同期比1 . 0%減の2 0 3万頭となった。また、同時点の酪農家戸数も初めて1万戸台を割る9 , 6 1 1 戸となった。一方、1戸当たりの経産牛飼養頭数は、酪農家の大規模化が進んできたことから2百頭を超えた。

生乳生産量は、1 9 9 0年代に入り、ガット・ウルグアイラウンド合意に伴う乳製品輸出の拡大への期待を背景に、増加傾向で推移してきた。

2 0 0 3/0 4年度の生乳生産量は、前年度の干ばつの影響で経産牛飼養頭数の回復が遅れたことなどから引き続き停滞し、前年度比2 . 5%減の1,007万キロリットルとなった。

豪州では、放牧に適した乳牛へと品種改良が進められたこともあり、日本や米国などと比較して経産牛1頭当たり乳量はそれほど多くない。しかし、近年は、遺伝的改良や飼養管理技術の改善などにより着実に増加している。2 0 0 3/0 4 年度の経産牛1頭当たり乳量は、前年度の干ばつの影響を引きずる形となり、前年度比1 . 5%減の4 , 9 6 3リットルと5千リットルを割る結果となった。

また、生乳生産量に占める加工向けのシェアは、乳製品輸出の拡大に伴って徐々に上昇する傾向にあったが、2 0 0 3/0 4年度は生乳生産量の減少に伴い前年度より0 . 9ポイント減の8 0 . 5%となった。

生乳生産量を州別に見ると、ビクトリア州が全体の6 4%を占めて他州を大きく引き離しており、豪州最大の酪農地域であることを示している。

一方、飲用乳の処理量は、シドニーなど大消費地を擁するニューサウスウェールズ州が最も多く、ビクトリア州、クイーンズランド州と続いている。

このように、生乳生産に占める飲用向けの割合が州によって大きく異なっているため、各州の平均生産者乳価に差を生じている。

B牛乳・乳製品の需給動向

主要乳製品の生産量は、乳製品の国際需要の拡大を反映して、増加傾向にあったが、2 0 0 3/ 0 4年度は、前年度の干ばつの影響により引き続き生乳生産量が減少したことから、一部品目を除き前年度の生産量を下回った。品目別に見るとチーズは5 . 3%増の3 9万トン、脱脂粉乳は7 . 2% 減の2 0万2千トン、全粉乳は3 . 6%減の1 8万7千トン、バター(バターオイルを含む)は9 . 1%減の1 4万9千トンとなった。一方、近年、ホエイパウダーやカゼインなどの需要増を反映し、これら品目の生産が増加している。

2 0 0 3/0 4年度の主要乳製品の輸出量は、生産量の減少から前年度に比べ1 0 . 3%減少し、チーズ以外の品目で前年度の輸出量を下回った。

2 0 0 3/0 4年度の乳製品生産量に占める輸出量の割合は、脱脂粉乳は9 2 . 4%、全粉乳は9 2 . 7%、バター(バターオイルは含む)は5 0 . 5%、チーズは5 4 . 3%と、すべての品目で輸出量が生産量の過半を占めており、輸出依存度が極めて高いことが読み取れる。

乳製品の輸出先は、日本、東南アジアを含めたアジア地域の合計が、輸出額ベースで全体の66.9%と、圧倒的なシェアを占めた。

特に粉乳類は、還元乳などの需要が多い東南アジア地域向けの輸出割合が高く、脱脂粉乳、全粉乳ともに輸出量全体の約8割がアジア諸国に輸出されている。

豪州国内における飲用乳の1人当たり消費量は、1 9 9 0年代中ごろから減少傾向で推移してきたが、2 0 0 3/0 4年度はわずかながら増加に転じ、前年度比0 . 6%増の9 8 . 0リットルとなった。一方、増加基調で推移してきたチーズの1人当たり消費量は、2 . 5%減の1 1 . 7キログラムと減少に転じ、バターの消費量は前年度とほぼ変わらず3 . 5キログラムにとどまった。

C乳価の動向

1 9 9 9/2 0 0 0年度までの生産者乳価は、飲用乳価と加工原料乳価の差が2倍以上に拡大していたが、2 0 0 0年6月末をもって飲用向け生乳に対する最低価格維持制度が廃止されたため、それ以降、飲用向けの乳価が大幅に低下した。2 0 0 3/0 4年度の乳価は、乳製品市況は上向いたものの、豪ドル高の影響で前年度比3 . 0%増の1 リットル当たり2 7 . 9豪セントと小幅な伸びになった。

(2)肉牛・牛肉産業

豪州の肉牛生産は、酪農生産と同様、牧草(放牧)に依存した生産構造となっており、また、牛肉生産量の6割以上を輸出に向ける輸出依存型産業となっている。

肉牛は、乳牛に比べると粗放的な飼養管理が可能であり、また、利用可能な草地の範囲が広いことに加え、熱帯・乾燥地域などの自然条件が厳しい地域でもこれに適応する品種を選択的に導入することによって飼養が可能であることから、内陸部の極端な乾燥地帯を除き、ほぼ豪州全土でさまざまな品種による肉牛生産が行われている。

@主要な政策

肉牛や牛肉の需給を管理する制度政策は特になく、生産者は国内外のマーケット動向を勘案しつつ経営を行っている。また、家畜検疫検査局(A Q I S)などの政府機関が防疫政策を、豪州食肉家畜生産者事業団(M L A)などの業界団体が販売促進、研究開発、マーケット情報の提供などを行っているが、これらの事業財源の多くは、生体の販売時に課される生産者課徴金(強制徴収)によるものである。

A牛の飼養動向

豪州における牛飼養頭数(乳牛を含む)の推移を中・長期的に見ると、1 9 6 0年代後半から1 9 7 0年代半ばにかけて、世界的な牛肉需要の増大を背景に急速に増加し、1 9 7 6年には過去最高の3 , 3 4 3万頭を記録した。その後、第二次オイルショック(1 9 7 9年)などによる世界的な牛肉需要の減退や肉牛経営の悪化、大干ばつの発生(1 9 8 2年)などによってと畜頭数が急増し、1 9 8 4 年には2 , 2 1 6万頭とピーク時である1 9 7 6年の飼養頭数に比べ約3分の2まで減少したが、それ以降は緩やかな増加に転じた。

1 9 9 6年以降は、干ばつなどの影響による増減はみられたものの、全体として2 , 6 0 0〜2 , 7 0 0万頭台でほぼ安定的に推移した。しかし、再び発生した2 0 0 2/0 3年度の干ばつの影響により2 0 0 4年6月末の牛飼養頭数は、前年比0 . 9%減の2 , 6 4 2万頭となった。

肉用牛の飼養頭数を州別に見ると、クイーンズランド州(シェア4 4 . 5%)、ニューサウスウエールズ州(同2 3 . 0%)、ビクトリア州(同1 0 . 5%) の東部3州で全体の8割近くを占めている。また、近年は東南アジア向け生体牛輸出の拡大を背景に、クィンズランド州北部や北部準州(同7.1%)の伸びが著しい。

B牛肉の需給動向

2 0 0 3/0 4年度の牛と畜頭数(子牛を含む)は、干ばつによる前年度の早期出荷から一転し、生産農家の牛群再構築による出荷抑制を受けて、前年同期比4.9%減の878万頭となった。

一方、枝肉生産量は、早期出荷が一段落したことから1頭当たりの枝肉重量も増加したため、と畜頭数の減少幅ほどの落ち込みは見られず、前年度比1.9%減(203万トン)にとどまった。

また、牛肉輸出は、牛肉生産が減少する中で、米国や日本を中心に輸出が伸びたものの、東南アジア向け需要の低下や豪ドル高などの影響によりその他地域への輸出が減少したことから、全体としては前年度比4 . 7%減の8 6万トン(船積み重量ベース)となった。

2 0 0 3/0 4年度の国別輸出量(船積み重量ベース)の割合は、米国向けが前年度比3 . 2ポイント増の4 2 . 0%、日本向けが同7 . 8ポイント増の3 8 . 5%となった。米国向け輸出増加の要因としては、米ドルに対し豪ドル高で推移する為替相場をしり目に、好調な米国経済を反映したおう盛な食肉需要が挙げられる。一方、日本向けは、B S Eの影響で減少した消費の回復と併せ、米国産牛肉の輸入停止に伴う豪州産牛肉への需要が増してきたことによる。

生体牛の輸出については、1 9 9 0年代中頃からインドネシア、フィリピンなど東南アジア向けの肥育素牛を中心に急増した。生体牛の輸出は、9 7年のアジア経済危機の影響により一時的に減少したものの、その後の順調な経済復興や中東諸国など新規市場の開拓もあって、再び増加基調に転じている。2 0 0 3/0 4年度は、飼養頭数減少の影響を受けて前年度比3 2 . 2%減の6 8万3千頭と大幅な落ち込みとなった。

2 0 0 3/0 4年度の豪州の1人当たりの牛肉消費量は、前年度比1 . 6%増の3 7 . 7キログラムと小幅ながらも増加した。食肉の中では牛肉の消費量が最も多く、次いで鶏肉(3 4 . 7キログラム)、豚肉(2 2 . 6キログラム)、羊肉(1 2 . 8キログラム) の順となっている。近年、健康志向を反映して鶏肉の消費量の伸びが著しい。

C肉牛価格の動向

肉牛の販売価格は、1 9 9 6〜9 7年にかけて、英国などにおけるB S E報道やアジア経済危機などによる世界的な牛肉需要減退の影響を受けて低迷した。その後は需要が回復した反面、供給がタイトであったことから、肉牛販売価格は回復基調に転じ、2 0 0 1年9月には過去最高を記録する高値となった。

2 0 0 3/0 4年度は、前年度から干ばつが緩和してきたことから、生産者は急激に減少した牛群の再構築に向かったためと畜頭数が減少し、肉牛販売価格は再び上昇に転じている。

干ばつ後の酪農家意識調査結果を発表

デイリー・オーストラリア(D A)は2 0 0 4年6 月2 1日、全国の酪農家を対象とした調査(抽出調査)結果を発表した。この調査は、2 0 0 2年から0 3 年にかけて発生した1 0 0年に一度といわれた大干ばつにより、大きな影響を被った酪農家の酪農経営に関する現状認識と将来の見通しについて把握するために行われたものである。

これによると、多くの酪農家は依然として干ばつの影響による重大な試練に直面しており、資金繰りなどの面で苦しんでいるとしている。また、将来の見通しとして、投資に慎重となり天候や乳価の動向によっては生乳生産量が増加するものの離農率は減少せず、将来を悲観的に見ている者の割合が高いと報告している。D Aではこの調査結果について「いいニュースばかりではないが、酪農家の現状が明らかになり、酪農家が将来の酪農経営について何らかの判断を下すのに役立つものとなった」と評価し、「酪農家の経営改善のために酪農家自身が努力できることを業界全体で支援していくことが課題だ」と述べている。調査の概要は次のとおり。

○ 酪農家の現状認識−全体の8 0%が干ばつの被害を認識−

D Aによると、干ばつの影響により豪州全体の生乳生産量は2 0 0 1/0 2年度に比べ約1 1%減少し、地域によっては減少割合が1 8%に達した。乳牛の飼養頭数も約8%減少している。

調査結果では、全体の8 0%の酪農家が干ばつの影響を受けたと答え、そのうち5 5%の酪農家が干ばつ前の生乳生産量に戻っていないとしている。さらに、干ばつの影響を受けた酪農家のうち4 8%は経営回復には至っておらず、4 5%は部分的にしか回復していないと答えている。干ばつの影響で負債が大幅に増加した酪農家は全体の4 0%に上り、わずかに増加したと答えた酪農家も2 3%に及ぶとしており、干ばつが、豪州全体の生乳生産、酪農経営に深刻な影響を及ぼしていることがうかがえる。

○ 酪農家の将来見通し−4 6%が悲観的、今後3 年間で15%が廃業も視野に−

2 0 0 4/0 5年度(7月〜6月)の生乳生産量についてD Aでは、気象状況はほとんどの地域で良好と予測され、また、豪ドル高が是正されてきていることや乳製品の国際市場価格が短・中期的に好調に推移するとの見通しから、豪州全体の生乳生産量は前年度に比べ2%の増加を見込んでいる。

調査結果では、予測どおり2 0 0 4/0 5年度の気象状況が良好に推移するとした場合、全体の5 9% の酪農家が生乳生産量を増やすとしており、そのうち約3 0%が生乳生産を1 0%以上増やすと計画している。

また、今後3年間の見通しとして、好天が続き乳価の変動がなければ、全体の4 2%の酪農家は生乳生産量を増やし、3年間で乳価が1リットル当たり2〜3%上昇すれば、さらに2 1%の酪農家が生産を増やすと答えている。

一方、酪農の継続については、今後3年間で全体の約1 5%の酪農家が経営を中止または廃止すると答え、約1 0%の酪農家はやめる可能性もあると答えている。さらに、調査時点では、将来を悲観的に考えている酪農家が全体の4 6%、楽観的に考えている酪農家が3 4%、どちらともいえないと答えた酪農家が2 0%となるなど、酪農をめぐる見通しは厳しいものとなっている。

○ 酪農産業が一体となった支援が必要

今回の調査結果についてD Aでは、@酪農産業は干ばつの影響から完全に立ち直るまでには長い時間を要する、A問題を解決するためには、産業界が多くの酪農家が直面している状況を理解することが重要、B酪農家の現在の最大の懸念材料は乳価、などと総括しており、これら課題への対応として、酪農産業が一体となって酪農家支援への取り組みを行うことが必要であると結論付けている。