I 経済概況

  1. 国内経済概況  

輸出の大幅な減少と雇用問題から景気は大幅に減速

図1 実質国民総支出(GDP)の推移(前年比)
図2 為替レートの推移(対米ドル)

図3 物価指数の推移(平成17年=100)

 中国経済の急激な経済発展や米国の旺盛な消費等を背景として輸出産業に支えられて緩やかな回復が継続し、実質GDP(国内総生産)成長率は、18年が2.0%、19年が2.3%とプラス成長であった。しかし20年は、原油・穀物価格の高騰やリーマン・ブラザースの破たんを契機としたサブプライムローン問題による米国等の消費の急激な落ち込み、為替レートの急激な円高ドル安へのシフトによる輸出産業の大幅な減産、それにともなう雇用環境の大幅な悪化等により、民間最終消費支出は+0.5%となったものの、民間住宅が−6.9%、民間企業設備が−3.7%と大幅に減少し、20年実質GDP成長率は一転して−0.7%のマイナス成長となった。

 また、20年の消費者物価指数(総合)は、1.4%の上昇となり平成9年(1.8%)以来の上昇幅となった。これは、BRICs等の旺盛な需要、投機資金流入等による原油価格高騰により8月に過去最高の149.0%上昇を記録した石油製品(プロパンガス、灯油、ガソリン)が14.1%上昇したこと、穀物を原料としたバイオエタノール等の生産促進による食料とエネルギー資源の競合、豪州での干ばつなど気象変動による穀物や油糧種子などによる農産物・食料の国際価格高騰により、穀類、菓子類、調理食品、外食などを含む食料の指数も2.6%と上昇したこと等による(図1、2、3、参考資料P5)。