「でん粉」ができるまで
最終更新日:2012年10月4日
「でん粉」は、ほとんどの植物に存在することから、原料の種類も多いのですが、代表的な種類と原料は、コーンスターチ(とうもろこし)、ばれいしょでん粉(ジャガイモ)、かんしょでん粉(サツマイモ)、タピオカでん粉(キャッサバ。タイ産が多い)、サゴでん粉(サゴ椰子。マレーシア産が多い)などです。
でん粉の原料となるでん粉粒は、植物の細胞内に蓄積されています。でん粉の製造とは、すなわち、細胞壁を破壊して中のでん粉粒を取り出し、集めることです。同じ種類のでん粉粒は、大体同じ程度の大きさで、しかも他の成分に比べて比重が大きいため、製造にはこの性質を利用します。
また、ジャガイモは不純物が少なく、でん粉粒も大きいためサツマイモより容易にでん粉を製造することができます。なお、でん粉の原料に占める含有率は、サツマイモの場合は16〜21%、ジャガイモでは12%程度といわれています。
製造の工程は、工場規模に関係なく、原料の洗浄、磨砕、分離、精製、脱水、乾燥というのがおおまかな流れです。従来は、重力を利用してでん粉を沈殿させて分離・精製していましたが、近年では遠心分離機を導入して、工程を急速化・連続化しています。参考まで、従来方式の製造方法を紹介します。
いも類でん粉の製造工程
(1)〜(2) 原料いもを水でよく洗って土砂を除きます。
(3) 磨砕機によって細かく砕きます。この作業によりいもの細胞内にあるでん粉粒が露出して、水で洗い出されます。
(4) 分離器に送り、でん粉粒を含む「でん粉乳」と、繊維質に富む「でん粉粕」とに分けます。ここでは攪拌し、ほぐしては篩(ふる)い分けることを繰り返し行います。そして、最後まで篩(ふるい)の目を通らなかったものは、「でん粉粕」として取り除きます。
(5) 篩(ふるい)の目を通ったでん粉粒は、すり込み沈殿池に送られます。この池ででん粉乳を静置してでん粉を沈殿させます。下層に沈んだでん粉(粗でん粉)は、かなり不純物を含んでいるため、これを精製します。
(6) 溶解槽に水と粗でん粉を入れ、充分に混合させて均一のでん粉乳にします。
(7) でん粉乳を寄込(よせこみ)沈殿池に導き、再び沈殿させます。30〜50時間静置すると、最下層に土砂が混じったでん粉層、その上にでん粉層、最上部に土肉(どにく)層が沈殿します。この土肉層をかき取り、でん粉層を運び出します。
(8) 運び出したでん粉層は、自然乾燥して水分18%程度にします。こうして乾燥した塊状のでん粉を未粉(みふん)とよび、これを粉砕したものが製品となります。
参考文献:
「食品の加工と貯蔵 第2版」(桜井芳人、藤巻正生、加藤博通 著、光生館)1998年
「世界大百科事典 第19巻」(平凡社)2000年

いも類でん粉の製造工程
出典:「食品の加工と貯蔵 第2版」(桜井芳人、藤巻正生、加藤博通 著、光生館)1998年
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