ALIC/駐在員トピックス
平成17年(2005年)10月分
◎ ブラジルで口蹄疫発生〜その5〜 【ブエノスアイレス駐在員事務所 平成17年10月27日発】 ◎ 欧州司法裁判所、欧州委員会によるフェタの原産地呼称保護の登録を支持する判決 【ブリュッセル駐在員事務所 平成17年10月27日発】 ◎ 豪州、鳥や種卵の輸入に際し、今後、出荷時に鳥インフルエンザなどの検査が必要に 【シドニー駐在員事務所 平成17年10月26日発】 ◎ 豪州のフィードロット飼養頭数は9.8%減の79万2千頭に 【シドニー駐在員事務所 平成17年10月26日発】 ◎ 欧州委員会、畜産副産物に関する規則の改正を提案する報告書を公表 【ブリュッセル駐在員事務所 平成17年10月26日発】 ◎ ブラジルで口蹄疫発生〜その4〜 【ブエノスアイレス駐在員事務所 平成17年10月21日発】 ◎ EU、鳥インフルエンザに対するさらなる予防対策に合意 【ブリュッセル駐在員事務所 平成17年10月21日発】 ◎ NZの乳製品輸出、2005年度第1四半期は数量、額ともに増加 【シドニー駐在員事務所 平成17年10月20日発】 ◎ 豪州食肉加工業者のランキングを公表、上位5位で全体の約5割のシェア 【シドニー駐在員事務所 平成17年10月20日発】 ◎ ブラジル、新たにMS州の3農場で口蹄疫発生を確認 【ブエノスアイレス駐在員事務所 平成17年10月18日発】 ◎ コロンビアで鳥インフルエンザ発生の疑い 【ブエノスアイレス駐在員事務所 平成17年10月13日発】 ◎ EU、ルーマニア産家きん肉などの輸入を一時停止 【ブリュッセル駐在員事務所 平成17年10月13日発】 ◎ EU、トルコでの鳥インフルエンザウイルスをN5H1型と特定 【ブリュッセル駐在員事務所 平成17年10月13日発】 ◎ ブラジルのマットグロッソドスル州で口蹄疫発生〜その2〜 【ブエノスアイレス駐在員事務所 平成17年10月11日発】 ◎ ブラジルのマットグロッソドスル州で口蹄疫発生 【ブエノスアイレス駐在員事務所 平成17年10月10日発】 ◎ EU、Tボーンステーキ解禁に向け前進 【ブリュッセル駐在員事務所 平成17年10月5日発】
◎ ブラジルで口蹄疫発生〜その5〜【ブエノスアイレス駐在員事務所 平成17年10月27日発】 10月26日付けブラジル農務省(MAPA)コミュニケによれば、マットグロッソドスル(MS)州エルドラド 郡のフロレスタ・バランカ農場において口蹄疫発生を確認した。これによりエルドラド郡で3件、ムンドノーボ 郡で1件、ジャポラン郡で7件の合計11件の発生が確認されたことになる。 また同日の別のコミュニケで、輸入禁止措置を講じた国は45カ国(下表参照)に達したとも報じている。 なお、パラナ(PR)州での口蹄疫発生が疑われていることは10月21日付けで既に報じたが、MAPAは翌22 日に「MS州から品評会に参加するために運ばれた牛が関連している可能性が高く、25日には国家農牧試験場 (Lanagro)の検査結果が発表される見通しである」としていたが、現地報道によれば検査結果は確定しておら ず、発表は来週になるようである。
マットグロッソドスル州の口蹄疫により輸入制限
(MS:マットグロッソドスル、SP:サンパウロ、SC:サンタカタリナ、RS:リオグランデドスル)
国・ブロック | 制限対象のエリア | 施行日 | 製品のタイプ | 対象製品の生産日付 |
南アフリカ | 全国 | 2005年10月11日 | 口蹄疫感受性動物およびその製品 | − |
アルゼンチン | MS州(エルドラルド、イグアテミ、イタキライ、ジャポラン、ムンド・ノーボ各郡) | 2005年10月11日 | 口蹄疫感受性動物の生体、食肉、食肉製品、新鮮な副製品 | − |
ボリビア | MS州 | 2005年10月11日 | 反芻動物由来製品および副製品、生体豚、反芻動物および豚の精子または受精卵、冷蔵生鮮肉、内臓、なめしていない皮 | − |
チリ | 全国 | 2005年10月14日 | 牛肉 | − |
シンガポール | MS州 | 2005年10月13日 | 生鮮牛肉および豚肉 | 2005年9月12日 |
コロンビア | 全国 | 2005年10月20日 | 牛、羊、豚、その他口蹄疫感受性動物 | − |
キューバ | 全国 | 2005年10月12日 | 骨なし熟成豚肉(牛肉は輸入していない) | − |
エジプト | MS州 | 2005年10月12日 | 骨なし冷凍牛肉およびすべての牛製品および副製品 | 2005年10月12日 |
インドネシア | 全国 | 2005年10月14日 | ブラジルに由来する動物、動物加工製品およびその派生品(動物種は明らかにされていない)、大豆ミル、原料、機材、機械、医薬品 | 2005年10月14日 |
イスラエル | 全国 | 2005年10月10日 | 食肉および内臓 | 2005年9月27日 |
モザンビーク | MS州、PR州、SP州 | 2005年10月17日 | 有蹄類(牛、山羊、豚、羊、自然有蹄動物)、その製品および副製品。 対象外:事前に煮沸した缶詰製品および骨なし製品、粉乳(HTST、UHT)、ヨーグルト、鶏とその製品および副製品。 | − |
ナミビア | 全国 | 2005年10月13日 | 食肉 | − |
ノルウエー (暫定情報) 10月26日 | MS州、PR州、SP州 | − | 牛肉 | 2005年9月30日 |
パラグアイ | MS州 | 2005年10月12日 | 口蹄疫感受性動物 | − |
ペルー | 全国 | 2005年10月14日 (180日間。短縮または延長の可能性あり) | 反芻動物および豚の生体、それらの精子および受精卵、その他口蹄疫感受性動物、生鮮肉、冷蔵肉、冷凍肉、生鮮内臓、生皮、なめしていない革、洗浄していない又は油を取り除いていないウール、繁殖力が残っている生物製品、牧草、切断した牧草、その他口蹄疫ウイルスを伝搬する可能性のある製品 | − |
ルーマニア | MS州、PR州、SP州 | 2005年10月25日 | 牛肉 | − |
ロシア | MS州 | 2005年10月11日 | 家畜、あらゆるタイプの食肉、牛乳乳製品およびその半加工品、牛に利用するまたは飼料に関連する製品、と畜場で使用する機材 | 2005年9月6日 |
スイス | MS州、PR州、SP州 | 2005年10月13日 | 偶蹄類の生体およびその製品(食肉、食肉をベースとする製品、生鮮内臓、家畜副製品) | 2005年9月30日 |
ウクライナ | MS州、PR州 | 2005年10月12日 | 食肉 | − |
EU | MS州、PR州、SP州 | 2005年10月12日 | 牛肉 | 2005年9月30日 |
ウルグアイ | 全国 | 2005年10月11日 | 牛肉および豚肉 | − |
注: MAPAは、相手国からの通報を基に表を作成していると思われるため、最新の状況を反映していない部分
も見られるので、注意されたい。
例えばアルゼンチン農畜産品衛生事業団(SENASA)は、10/24プレスリリースで、MS州の他に、SP州、
SC州、RS州由来で口蹄疫感受性動物とその由来製品の輸入を停止したと発表している。
◎ 欧州司法裁判所、欧州委員会によるフェタの原産地呼称保護の登録を支持する判決 【ブリュッセル駐在員事務所 平成17年10月27日発】 欧州司法裁判所は10月25日、欧州委員会によるギリシャのチーズ「フェタ(FETA)」の原産地呼称保護 (PDO)への登録について、デンマークおよびドイツが同裁判所に提訴していた件(海外駐在員情報第673号 参照)に関して、同委員会の登録が合法との判決を下した。 「フェタ」が一般的な名称に当たるかどうかが争点となったが、判決では、「フェタ」という名称で各国・ 地域で長年生産されてきた実態があるものの、生産および消費の大部分がギリシャにおけるもの(EUの85%) であること、ギリシャにおいては「フェタ」が地理的な名称で一般的な名称ではないと認識されている一方で、 ほかの国では、これがギリシャと関係する名称と認識されているとして一般的な名称に当たらないとした。 これにより、「フェタ」という名称でチーズ生産を行っていたギリシャ以外の加盟国の生産者は2007年10月 までに名称を変更するか、生産を中止する必要がある。上へ
◎ 豪州、鳥や種卵の輸入に際し、今後、出荷時に鳥インフルエンザなどの検査が必要に 【シドニー駐在員事務所 平成17年10月26日発】 豪州連邦政府マクゴーラン農相は10月26日、今後、輸入されるすべての生きた鳥や種卵について、豪州へ 出荷される時に、鳥インフルエンザの抗体やウイルス両方の検査で陰性が確認されることが必要となると発 表した。 この処置については、先週カナダから輸入された鳩の一部から検疫当局の検査により鳥インフルエンザの 抗体の陽性反応などが出たことや、昨今の世界的な鳥インフルエンザの広がりから、豪州のバイオセキュリ ティ当局が、暫定的な手段としての導入を薦めていたものである。なお、豪州到着後の検疫段階での検査も 引き続き行う。 現在、豪州へ輸入可能な生きた鳥は、鳩(pigeon)とペット用の鳥に限られており、輸出できる国も、鳩 については、米国やカナダ、イギリス、フランス、ペット用の鳥については、ニュージーランドに制限され ている。上へ
◎ 豪州のフィードロット飼養頭数は9.8%減の79万2千頭に 【シドニー駐在員事務所 平成17年10月26日発】 豪州フィードロット協会(ALFA)は10月25日、豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)との共同調査 による四半期ごとの全国フィードロット飼養頭数調査結果を発表した。これによると、2005年9月末時点 の総飼養頭数は、79万2千頭と前回調査(2005年6月末)と比べて9.8%減少した。一方、前回6月末の 調査で初めて100万頭台に達したフィードロット収容可能頭数は、順調に拡大を続け109万8千頭を記録し た。この結果、フィードロットの稼働率は72%となり、前回調査から13ポイントの低下となった。フィー ドロット飼養頭数減少の要因についてALFAでは、豪州国内で高騰を続ける肉牛価格や、米国産牛肉の 輸入再開問題に関連した韓国向け飼養頭数の減少などを挙げている。なお、日本向け飼養頭数は、前回調 査比1%増の49万8千頭であった。上へ
◎ 欧州委員会、畜産副産物に関する規則の改正を提案する報告書を公表【ブリュッセル駐在員事務所 平成17年10月26日発】 欧州委員会は10月24日、畜産副産物に関する規則(「畜産の情報海外編」2003年9月号特別レポート 「EUにおける畜産副産物をめぐる情勢と規則の概要について」参照)の各加盟国の実施状況や、本規則 の改正が必要な事項を盛り込んだ報告書を公表した。本来、本規則の適用(2003年5月)後、一年以内 の提出が求められていたが、新規加盟国の状況とEU食品獣医局(FVO)の検査が2004〜2005年に実施さ れたことなどからこの時期の公表となった。 本規則は、健康に悪影響のある畜産副産物がフードチェーンに入ることを防ぐこととし、畜産副産物 のカテゴリー分けとカテゴリーごとの収集・処分方法などを規定したものである。今回の報告書では、 各加盟国の実施状況についておおむね満足のいくものとしている。 しかしながら、現行規則において、例えば、明らかにリスクの低いもの(たとえば化粧品原料)を規 則の対象から外す、またはより低いカテゴリーに分類するなどの見直しや、他の規則との重複部分の整 理などが必要としている。 今後、欧州委員会は、本報告書について、関係者からの意見聴取、影響評価の実施、専門家を交えた 変更提案の議論を行う予定である。そして、2006年末または2007年初めまでには欧州理事会および欧州 議会に規則の改正案を提案する予定としている。上へ
◎ ブラジルで口蹄疫発生〜その4〜 【ブエノスアイレス駐在員事務所 平成17年10月21日発】 10月21日ブラジル農務省(MAPA)が発表したところによると、マットグロッソドスル(MS) 州において、新たに以下の5農場で口蹄疫発生が確認された。 ・ジャポラン郡:4農場(ボア・ビスタ、グアタンブ、205PAサバナ、サンベネデット) ・ムンドノーボ郡:1農場(ガジン) 今までエルドラド郡、ジャポラン郡での発生だったが、新たにムンドノーボ郡で発生したこと になる。 なおMAPAは上記の公表後、 ブラジル南部のパラナ(PR)州農務局から同州ロアンダ、アマ ポラン、マリンガおよびグランデス・リオス郡の家畜に、口蹄疫の疑いが発生したとの通報を受取 ったことを発表した。 国内的には収束の方向に向かっていると思われていたようであるが、今後どのようになっていく のか注目される。上へ
◎ EU、鳥インフルエンザに対するさらなる予防対策に合意 【ブリュッセル駐在員事務所 平成17年10月21日発】 EUのフードチェーン・家畜衛生常設委員会は10月20日、鳥インフルエンザの脅威を減少させ るための予防対策に合意した。概要は以下のとおり。 1.リスクのある地域での追加措置 加盟国は、10月19日の委員会決定に基づき、リスクのある地域を特定することとなっているが、 今回の同委員会の合意により、鳥インフルエンザの特にリスクの高いとしたエリアでは、家きん の屋外での飼養を規制する。この規制では、家きん向けの飼料と飲み水に野鳥が接触しないこと を確実にするべきであるとしている。また、現在の提案では、おとり用の鳥の使用も制限してい る。なお、加盟国は、各国の講じる対策について11月5日までに欧州委員会に対し報告すること が求められている。 2.動物園の鳥に対する保護とワクチン接種 同常設委員会は、動物園で飼養している鳥を保護する追加の対策に合意した。加盟国は、もし これらの鳥にワクチン接種が必要とするならば、ワクチンに頼ることを認めている。加盟国は、 この執行に関する詳細を11月30日までに欧州委員会に報告するとともに、このプログラムを同常 設委員会に提出することとしている。すべてのワクチン接種された鳥は、記録され、これらの鳥 の移動は、特別の承認がない限り禁止されることになる。同常設委員会は、12月初旬にこの決定 を見直すこととしている。 3.ロシアからの輸入規制 モスクワの南200キロメートルに位置するトゥラ(Tula)で、H5N1型の鳥インフルエンザが確 認されたことに伴い、同常設委員会は、ロシアのヨーロッパ地域(ウラル山脈以西)からの生き たペット用の鳥および未処理の羽毛のすべての輸入を一時停止することを支持した。カリーニン ググラード州、レニングラード州、カレリア共和国、ムルマンスク州、サンクト・ペテルブルグ 市にはこの一時停止措置が適用されない。ウラル山脈以東からのEUへの輸入一時停止措置は、 9月8日からすでに適用されている。なお、EUとロシアの間では、鶏卵、家きん肉、家きん肉 製品の貿易は、認められていないので、一時停止措置をとる必要はない。上へ
◎ NZの乳製品輸出、2005年度第1四半期は数量、額ともに増加【シドニー駐在員事務所 平成17年10月20日発】 ニュージーランド(NZ)統計局がこのほど公表した2005年度(2005年6月〜2006年5月) 第1四半期の主要乳製品輸出統計によると、輸出量、額ともに前年同期比で増加となり、引 き続き好調を維持している。乳製品の国際需要の高まりを受けて第1四半期の主要乳製品輸 出量は、前年度比1.3%増の31万5千トンに、また、総輸出額は同3.9%増の11億1,300万NZ ドル(912億7千万円:1NZドル=82円)といずれも順調に増加した。また、乳製品の平均 輸出価格については、最近の国際相場を反映して、同じく2.5%高のトン当たり3,532NZド ル(28万9,624円)と高水準を維持している。上へ
◎ 豪州食肉加工業者のランキングを公表、上位5社で全体の約5割のシェア 【シドニー駐在員事務所 平成17年10月20日発】 豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)はこのほど、2004年の食肉(牛肉および羊肉)加工 業者上位25社を公表した。これは、2004年の各社の枝肉取り扱い重量を基に順位付けされて おり、25社合計で豪州全体の76%を占めている。また、上位5社の取り扱い数量が豪州全体 の49%を占めるなど、年々、寡占化が強まっている。前回2003年と比べて上位5社の構成に 大きな変化はないが、最近の羊肉需要を反映し、羊肉を中心に扱う加工業者が前回の14位か ら10位へと躍り出ている。また、豪州資本の加工業者が全体の60%に達し、1991年の調査開 始以来、最高の水準となった。上へ
◎ ブラジル、新たにMS州の3農場で口蹄疫発生を確認 【ブエノスアイレス駐在員事務所 平成17年10月18日発】ブラジル農務省(MAPA)は10月17日、新たにマットグロッソドスル(MS)州の3農 場で口蹄疫の発生が確認されたと発表した。パラ州ベレン市にある国家農牧試験場(Lanagro) の診断結果により確認されたのは、エルドラド郡において最初に発生が確認された農場に 隣接する1農場とパラグアイ国境地帯にあるジャポラン郡の2農場である。 MAPA農牧防疫局長は、発生場所がエルドラド郡の発生場所から半径25キロメートル 以内であることに対し、「ウイルス活性が安全監視地域内にとどまっていることを示して いる」と評価した上で、先の措置と同様に殺処分、移動禁止および制限、疫学調査などを 実施するとしている。 なお、MAPAはこれ以外に、@ジャポラン郡で口蹄疫発生の疑いがある3農場からサ ンプルを採取しLanagroに送付して結果を待っていること、Aジャポラン郡に隣接するセッ タケーダおよびタクルーの2郡を移動制限郡に加えることを検討していること−も併せて 伝えている。 ○口蹄疫ワクチンの有効性 MAPAは同17日、パンアメリカン口蹄疫センター (Panaftosa)から「接種に使用した ワクチンをテストした結果、MS州の発生地点で確認された血清型Oのウイルスに対して、 大変有効である」との報告を受けた。 これに対しMAPAは、「ブラジルで生産されるワクチンの有効性を示すものである。 ワクチンはMAPAが製造を認定した民間ラボラトリー6社によって生産され、O、A、 Cの各型に対して有効か出荷前にテストしている。しかしその効力は、保存および接種条 件に左右され、例えばワクチンを凍結すると効力が失われる」と話している。 なお、MS州エルドラド郡で検出されたウイルスはPanaftosaにより分析が終了し、従 来存在するタイプで外来種ではないことが判明している一方、農場経営者はワクチン接種 を実施したと言っているため、今後の疫学調査が注目される。
◎ コロンビアで鳥インフルエンザ発生の疑い 【ブエノスアイレス駐在員事務所 平成17年10月13日発】 コロンビア農業農村開発省Leiva大臣は、アンデス諸国の農業大臣あてに同国トリマ県内 の3農場で発症は見られなかったが、鳥インフルエンザウィルスH9型が検出されたこと を報告した。また同時に、コロンビア国内の輸出向け養鶏場へ家畜衛生担当者を派遣する ようにも依頼した。同大臣は、「当該3農場における生産性に低下が見られないことから、 検出されたウィルスが低病原性であることは明らかだ」としている。
◎ EU、ルーマニア産家きん肉などの輸入を一時停止 【ブリュッセル駐在員事務所 平成17年10月13日発】 欧州委員会は10月13日、ルーマニアで鳥インフルエンザを疑う事例についての検査結果 がH5型であったことを受け、同国からの生きた鳥、家きん肉、家きん肉製品の輸入を一 時停止することを決めた。今回検査されたウイルスがH5N1型であるかの特定にはさら に時間が必要である。 <これまでのルーマニアの状況> 欧州委員会は10月7日(金)の夕方、ルーマニアで鳥インフルエンザを疑う事例につい て情報を受けた。この事例は、ブルガリアとの国境から100キロメートルほど離れた、ドナ ウ川デルタ地域のCeamurlia-de-Jos自治区において、53羽の雌鶏と47羽のアヒルの群で確 認された。この群では40羽のアヒルと1羽の鶏が死亡したが、ほかの鳥(主に雌鶏)には 病気の臨床徴候がなかった。ルーマニア当局はアヒルが死んだ農場およびその周辺の農場 すべての鳥を殺処分、またその周辺地区には移動制限の設定、消毒の実施など、厳しい対 策を実施している。この間、ルーマニア当局は欧州委員会と緊密に連絡を取り合い、また、 テクニカルサポートや研究試薬の依頼をした。 EUの3名の専門家が現地に派遣され、ウイルスの特定を実施し、検査結果は、10月12 日までに出るとしていたが、高病原性ウイルスやウイルスの型の特定にはさらに2日が必 要であるとしていた。
◎ EU、トルコでの鳥インフルエンザウイルスをN5H1型と特定 【ブリュッセル駐在員事務所 平成17年10月13日発】 欧州委員会は10月13日、EUの参照研究所で検査していたトルコでの鳥インフルエン ザウイルスは、約数カ月前にロシアや中央アジアで発見されたウイルスと同じH5N1 型であったことを発表した。 欧州委員会は10月9日、トルコ北西部のバリケシールの屋外で1,800羽の七面鳥を飼 養する農家で、10月1日以降1,700羽が鳥インフルエンザで死亡したとの情報を受けた。 同国での研究所での検査では、鳥インフルエンザウイルスの陽性反応が出ている。正確 な結果を得るため、トルコ政府は、EUの参照研究所にサンプルを送付していた。 なお、欧州委員会は、同国からの生きた鳥、家きん肉、家きん肉製品などの輸入を 一時停止している。
◎ ブラジルのマットグロッソドスル州で口蹄疫発生〜その2〜 【ブエノスアイレス駐在員事務所 平成17年10月11日発】 10月10日ブラジル農務省(MAPA)は、口蹄疫ワクチン接種清浄地域であるマット グロッソドスル(MS)州南部のエルドラド郡における口蹄疫(血清型O)発生を公表 したが、その後の情報では口蹄疫の症状が確認されたのは153頭(当初の公表は140頭) で、経緯は以下のとおりとなっている。 9月30日:MS州動植物防疫衛生当局(Iagro)が口蹄疫発生の疑いについて報告 を受ける。 10月1日:MS州の獣医師が現地訪問を開始。口蹄疫の症状を確認し、検査材料を採 取。 10月3日:検査材料をレシフェ市の国家農牧試験場(Lanagro)に送付。 10月9日:Lanagroは血清型Oの口蹄疫ウイルスが確認されたことを報告。 なお国際獣疫事務局(OIE)への報告によれば、9月26日に病状を呈した牛が発見 され、10月8日には試験場での結果が判明していたようである。 また同報告では、発生場所から半径3キロメートルを「発生地域」、その外側7キロ メートルを「監視地域」、またその外側15キロメートルを「緩衝地域」としており、 「発生地域」には5農場、牛8,215頭、羊200頭、豚54頭が、「監視地域」には75農場、 牛27,884頭、羊1,525頭、豚276頭が飼養されているが、病状を示す家畜はいないとして いる。 ○経済的なインパクト MAPA農牧防疫局長は、今回の口蹄疫発生による経済的インパクトについて、「推 測するには十分な要素がないため、まだ推測することはできない。ただ重要なことは、 伝搬を防ぐために必要な緊急衛生措置をすべて実施したことである」と話している。 なお局長は経済へのインパクトについてコメントを避けたが、MAPAコミュニケに よれば「エルドラド郡の発生農場およびその半径25キロ内の5郡(エルドラド、イタキ ライー、イグアテミ、ジャポラン、ムンドノーボ)において、移動禁止および制限措置 が実施されており、ウイルス活性を評価する試験が終了するまで継続し、6カ月に及ぶ 可能性がある」ことや「これらの郡には小規模パッカー3社が存在(ボンシャルケとイ グアテミ(イグアテミ郡)、ボンフラン(エルドラド郡))しているが、すでに輸出禁 止命令が出されている」ことを話している。 なおMS州は生鮮牛肉輸出ではブラジル第2位であり、1〜8月の全輸出額17億2,263 万ドルに対し、13.2%の2億2,767万ドルを占めている。![]()
◎ ブラジルのマットグロッソドスル州で口蹄疫発生 【ブエノスアイレス駐在員事務所 平成17年10月10日発】 ブラジル農務省(MAPA)は10月10日、マットグロッソドスル(MS)州南部の エルドラード郡で口蹄疫が発生したと発表した。レシフェ市の国家農牧試験所(Lanagro) において、農場の牛から採取したサンプルより口蹄疫(O型)の診断が下された。 牛140頭の口蹄疫感染を確認し、農場閉鎖、牛582頭を殺処分、そして半径25キロメ ートル以内の各農場の視察など口蹄疫の伝搬を防ぐための衛生対策を実施している。 また発生源を突き止めるため疫学調査を実施したとも発表している。 さらに実施した対策に加え監視所設置も行っており、また農場の出入りは関連する 専門家および従業員に制限されているとも話している。 なおMAPAはこのことを既に、国際獣疫事務局(OIE)、パンアメリカン口蹄 疫センター(Panaftosa)、周辺国および貿易を交わす経済ブロックなどに報告してい る。
◎ EU、Tボーンステーキ解禁に向け前進 【ブリュッセル駐在員事務所 平成17年10月5日発】 EUのフードチェーン・家畜衛生常設委員会は 10月5日、欧州委員会から提案され た特定危険部位(SRM)の見直し提案について議論を行い、合意した。この提案は、 SRMとして指定している脊柱の除去月齢を12ヵ月齢超から24ヵ月齢超に引き上げるも のである。これは、本年7月に公表した「TSE指針(Roadmap)」(「畜産の情報 海外編」 2005年9月号 特別レポート「EUにおけるBSE対策の概要と見直しの方向」参照)に 基づくBSE対策の見直しの第一段としている。今後の欧州議会による調査などを経て 2ヵ月後に最終決定される見込みである。これにより、欧州内ではTボーンステーキな どの骨付き肉を食することが可能となる。上へ
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