ALIC/駐在員トピックス

海外トピックス (畜産)

平成17年(2005年)11月分


◎ 欧州委、2006年家畜疾病対策予算を承認

  【ブリュッセル駐在員事務所 平成17年11月30日発】
◎ ブラジル産食肉のロシア向け輸出地域が拡大
【ブエノスアイレス駐在員事務所 平成17年11月29日発】
◎ ブラジルで口蹄疫発生〜その7〜
【ブエノスアイレス駐在員事務所 平成17年11月29日発】
◎ 豪州とアラブ首長国連邦、12月に第三回目のFTA交渉行う予定
【シドニー駐在員事務所 平成17年11月28日発】
◎ 鳥インフルエンザ抑制の徹底に向け条例制定へ(中国)
【国際情報審査役 平成17年11月17日発】
◎ 中国、鳥インフルエンザ抑制に向け挙国体制(中国)
【国際情報審査役 平成17年11月9日発】
◎ ブラジルで口蹄疫発生〜その6〜
【ブエノスアイレス駐在員事務所 平成17年11月7日発】

◎ 欧州委、2006年家畜疾病対策予算を承認

【ブリュッセル駐在員事務所  平成17年11月30日発】

 欧州委員会は11月30日、2006年の家畜疾病対策予算を承認した。EUの家畜疾病対
策は、伝達性海綿状脳症(TSE)や家畜および人間の健康に影響のあるそのほかの
家畜疾病に取り組むものであり、その予算総額は約1億8,534万6千ユーロ(約259億
5千万円、1ユーロ=140円)となっている。これは、2005年予算に比べ、289万4千
ユーロ(約4億円)の減額となっている。

 TSEの監視および撲滅対策の予算として、1億3,115万3千ユーロ(約183億6千
万円)と昨年に比べ27万8千ユーロ(約3,900万円)の増額となっている。この予算
の下で、30カ月齢超の食用に向けられるすべての牛などのBSE検査やBSE撲滅の
ためのとう汰などが実施されることとなる。

 人畜共通感染症であるサルモネラに対する予算額は、446万3千ユーロ(約6億2千
万円)となっている。TSE対策およびサルモネラ以外の家畜疾病に対しては、ブル
セラ病や牛結核など10種類の重要な家畜疾病のモニタリングおよび撲滅対策として、
総額4,973万ユーロ(約69億6千万円)が計上された。特にブルセラ病(人間のマルタ
熱の原因となる。)対策の予算が最も多く、その予算額は2,667万ユーロ(約37億3千
万円)となっている。


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◎ ブラジル産食肉のロシア向け輸出地域が拡大

【ブエノスアイレス駐在員事務所  平成17年11月29日発】

 11月28日ブラジル農務省(MAPA)が公表したところによれば、「ロシアは北部の
アクレ州、ロンドニア州、トカンチンス州、ロライマ州、アマパ州および北東部のマラ
ニョン州産の牛肉および豚肉の輸入停止措置を11月28日解除した」とのことである。

 ロシアは、2004年9月に北部アマゾナス州で発生した口蹄疫によりブラジル産食肉の
輸入を停止し、同年11月に口蹄疫ワクチンを接種していないサンタカタリナ州の食肉を、
2005年2月にはパラ州およびアマゾナス州を除く鶏肉の輸入を解禁した。
 さらに2005年3月には、6州(リオグランデドスル州、パラナ州、サンパウロ州、マ
ットグロッソドスル州、ゴイアス州、ミナスジェライス州)に限り牛肉と豚肉の輸入を
解禁したが、その際MAPAは「マットグロッソ州とトカンチンス州の解禁問題が残っ
ている」とコメントしていた。
 その後の同年4月MAPAは、「ロシアの衛生当局から北部のパラ州、アマゾナス州、
アクレ州、ロンドニア州、トカンチンス州、ロライマ州、北東部のマラニョン州の計7
州を対象外として輸入が解禁された」と発表し、マットグロッソ州は解禁されていた。
(筆者注:北部のアマパ州のみ不整合となっている)。
 よって今回の措置により、MAPAが問題としていたトカンチンス州も解禁されたこ
とになる。

 なおMAPAは11月25日、ロシアミッションが5〜7月にかけてブラジルを視察した
結果、北部のロライマ州とトカンチンス州において、新たに輸出パッカーが認定された
ことを報じている一方、口蹄疫が発生しているマットグロッソドスル州からの輸出は停
止していることも併せて報じた。
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◎ ブラジルで口蹄疫発生〜その7〜

【ブエノスアイレス駐在員事務所 平成17年11月29日発】

 ブラジル農務省(MAPA)が11月28日に公表したところによると、マットグロッソ
ドスル(MS)州において発生した口蹄疫は28件に上った。しかし、発生場所はエルド
ラド郡、ジャポラン郡、ムンドノーボ郡の移動制限郡内に限られているとのことである。
 またパラナ(PR)州において口蹄疫発生の疑いが10月21日に報じられたが、国家農
牧試験場(Lanagro)における検査結果では、今のところウイルスは検出されて
いない。しかしMAPAは引き続き検査を実施する意向を示し、新たに咽頭や血液から
サンプルが採取され検査が行われている。なおPR州では新たに症状を示す牛はいない
とのことである。

 なおこれに先立つ11月25日、MAPAは訓令第36号を公布し、MS州の移動制限郡を
エルドラド郡、ジャポラン郡、ムンドノーボ郡、イタキライー郡の一部、イグアテミ郡
の一部に縮小し、かつPR州の衛生リスクエリアを検査農場の半径10キロメートル以内
に変更した。しかしこの変更措置は、両州政府が地域内にある農場リストを発表した後
に有効になるとのことである。

 また11月24日にはブラジルとパラグアイの両国政府は、国境約1,000キロメートルを
越えて家畜が移動するリスクを軽減するため、国境沿い25キロメートル以内に所在する
農場すべての牛に、合同の立会いのもと、口蹄疫ワクチンを接種することなどを盛り込
んだ協定を結んだと発表した。
 なお協定には以下5つの対策があるが、今後、同協定をボリビアとも結ぶ予定とのこ
とである。
 1 国境沿い両側25キロメートル以内に所在する農場すべてに対して、GPSを用い
   た経緯度の測定
 2 牛、水牛、ヤギ、羊、豚を飼育する農場すべての登録
 3 国別に異なった色の耳標または鼻環をすべての家畜に装着
 4 2月に合同の立会いのもとで、正規の口蹄疫ワクチンを接種
 5 家畜衛生教育およびキャンペーン活動に重点を置いた公務員や生産者の技術能力
   の向上
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◎ 豪州とアラブ首長国連邦、12月に第三回目のFTA交渉行う予定

【シドニー駐在員事務所  平成17年11月28日発】

 豪州連邦政府ベール貿易相は11月28日、アラブ首長国連邦(UAE)との実現可能な自由
貿易協定(FTA)についての交渉を12月にゴールドコーストで行うと発表した。この交
渉は、今年の3月から始まって今回で3度目となり、今回はサービスや投資に関する詳細
や市場アクセスについて討議する予定。2006年半ばまでに、FTA締結を見込んでいる。
UAEは豪州にとって中東で2番目に大きい市場で、自動車などの製品輸出額は年間で2
億2,700万豪ドル(204億3千万円:1豪ドル=90円)に及ぶ。
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◎ 鳥インフルエンザ抑制の徹底に向け条例制定へ(中国)

【国際情報審査役 平成17年11月17日発】

 鳥インフルエンザの人への感染が確認され、死亡例も発表された中国で、11月16日に国務院
(内閣に相当)常務会議が開催され、鳥インフルエンザなど重大な動物感染症の抑制と人への
感染防止を徹底するため、「重大動物疫情応急条例」の草案が審議・可決された。草案はさら
に審議を重ね、国務院から公布・施行される予定。
 
 この日の国務院常務会議では、国内各地の関係部門が国務院の指示の精神を十分理解し、条
例の普及と実行の徹底が求められ、科学的で総合的な防疫措置の実行が強調された。また、鳥
インフルエンザの発生で大きな打撃を受けた家きん業界を支援するため、感染予防や発生地域
の家きん処分に係る補助金交付の継続や税制・金融面における優遇措置、関係者の生活保障や
家きんの飼養管理改善に対する援助、正常な市場流通の確保などの措置も決定された。
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◎ 中国、鳥インフルエンザ抑制に向け挙国体制(中国)

【国際情報審査役 平成17年11月9日発】

 昨年1月下旬の感染確認後、最近では内蒙古自治区、安徽省、湖南省、遼寧省などに
拡大している高病原性鳥インフルエンザの抑制に向け、中国政府は地方政府などと連携
し、挙国体制でこれに臨んでいる。

 特に10月の内蒙古自治区での発生確認以降、各種レベルでの対策会議が頻繁に開催され、
11月2日の国務院(内閣に相当)常務会議では、温家宝首相が各地方政府に対し、責任を
持って感染防止に当たるよう指示、今年度予算から総額20億元(約290億円)を充当し、
感染拡大防止基金を設立することなどが決定された。最近では、11月6日の農業部の対策
会議において、杜青林農業部長(農相)が全国レベルでの防疫徹底などを強調、7日には
ジュネーブで開かれた国際会議において、中国代表団が国連各機関及び関係各国との協力
強化を提案した。

 また、人民網の伝えたところによると、北京市では11月7日から生きた家禽類の販売や
鳩を飛ばせることなどが禁止された一方で、新治療薬の開発や人向けを対象とした保険の
販売なども話題となっている。
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◎ ブラジルで口蹄疫発生〜その6〜

【ブエノスアイレス駐在員事務所 平成17年11月7日発】

 ブラジル農務省(MAPA)は11月4日付けコミュニケで、マットグロッソドスル(M
S)州において新たに口蹄疫発生が確認され、合計22件になったことを報じた。
 
 内訳としては、初発地があるエルドラド郡で4件、パラグアイと国境を接するジャポラ
ン郡で16件、また同様に国境を接するムンドノーボ郡で2件となっている。

 なおこれに先立ちMAPAは、10月31日付け訓令34号で、MS州の5郡およびパラナ州
の36郡(口蹄疫発生が疑われている郡およびそれに隣接する郡)を衛生リスクエリアと定
め、口蹄疫感受性動物およびその関連製品、また繁殖材料を国内市場および国際市場に出
すことを禁止した。


注:赤い点が発生地を、赤い線が発生地から半径25kmの範囲を指している。
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