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海外トピックス(畜産)

平成18年(2006年)12月分


◎ロシアによるEU産畜産物の輸入停止措置の実施は回避(EU)
  【ブリュッセル駐在員事務所  平成18年12月22日発】

◎ポーランド、同国産の豚肉に対する共通市場対策の実施を要望
  【ブリュッセル駐在員事務所  平成18年12月22日発】

◎日本の農産物市場、輸入依存が続くと分析(豪州)
  【シドニー駐在員事務所 平成18年12月20日発】

◎欧州委、品目別に分かれた共通市場制度を統合する提案
  【ブリュッセル駐在員事務所  平成18年12月19日発】

◎チリ、日本向け牛肉輸出を一時停止
 【ブエノスアイレス駐在員事務所 平成18年12月5日発】

◎豪州の冬穀物生産、干ばつの影響で前年度比62%の減少に
 【シドニー駐在員事務所 平成18年12月6日発】

◎OIE米州地域委員会の開催(ブラジル)
 【ブエノスアイレス駐在員事務所 平成18年12月5日発】

◎中国、家畜のトレーサビリティシステム導入へ
 【国際情報審査役 平成18年12月1日発】

◎ロシアによるEU産畜産物の輸入停止措置の実施は回避(EU) 【ブリュッセル駐在員事務所 平成18年12月22日発】 欧州委員会のキプリアヌ委員(保健・消費者保護担当)は12月20日の農相理事会で、ロシアが2007年 1月1日からEU産畜産物を輸入停止するとしていた問題について、前日のロシア当局との協議の結果、 これを回避することで合意に至ったことを報告した。 この問題は、2007年1月1日に新たにEUに加盟するブルガリア、ルーマニア産の食肉や乳製品につ いてロシアが衛生上の懸念を示し、ほかのEU加盟国を経由してこれらがロシアに輸入されることを防 止するために、両国の加盟後はEU全域から畜産物の輸入を停止することを11月上旬にEU側に通告し ていたものである。  EUでは、食の安全性を確保する観点から、両国の加盟の際の移行措置として、両国で生産される畜 産物については、EUの衛生基準を満たした施設で処理されたもの以外はほかのEU加盟国内で流通さ せることはできないなどの措置を講じることとしており、ロシア側に理解を求めていたが協議は不調に 終わっていた。 今回の合意により、ロシアによるEU拡大に端を発したEU全域を対象とした畜産物の輸入停止措置 は回避される見通しとなったが、一方で、1年以上続く同国によるポーランド産食肉の輸入停止措置に ついては解決の目途がたっていない。 農相理事会は、今回の協議結果を歓迎する一方、依然、EUとロシア間には動植物衛生の分野におい て問題が残っており、解決に向けた努力が引き続き必要とする声明を発表した。 上へ

◎ポーランド、同国産の豚肉に対する共通市場対策の実施を要望 【ブリュッセル駐在員事務所 平成18年12月22日発】 ポーランドの農業農村開発大臣は12月19日、EUの農相理事会において同国の豚肉市場をめぐる厳 しい状況を説明し、共通市場対策の早期の実施を求めた。 ポーランドの豚枝肉の卸売価格は、現在、EU25カ国で最も低い水準にあり、直近ではEU平均よ り12%以上低い100キログラム当たり121.97ユーロ(約1万9千円:1ユーロ=156円)となってお り、また、この価格は、同国の8月後半時点の価格より26%以上も下落している。 同国政府はこのような状況に加え、飼料価格の上昇やロシア・ウクライナによる不当な同国産食肉 の輸入停止措置がさらに状況を悪化させているとしており、60万戸を超える豚肉生産者の状況改善の ために、民間在庫補助の実施や輸出補助金の交付などの共通市場対策の早期の実施を求めた。 これに対し、欧州委員会のフィッシャー・ボエル委員(農業・農村開発担当)は、ポーランドの豚 肉市場の厳しい状況に理解を示しつつも、これは2004年のEU加盟以後の好調な価格により生産が増 大した結果であるとの見解を述べるにとどまった。 上へ

◎日本の農産物市場、輸入依存が続くと分析(豪州) 【シドニー駐在員事務所 平成18年12月20日発】 豪州農業資源経済局(ABARE)は12月18日、日本の農業に関するレポートを発表した。この レポートによると、日本は農業生産の不足を補うため、今後も輸入農産物にかなり依存すると予測 している。同レポートは『日本の農業:変化を動かす力』として、豪州側の視点から、農産物の需 要範囲や国内生産と輸入農産物との関係、また、日本の農業の将来性などについて、さまざまな角 度で分析している。 この中で日本の食生活については、1990年代初期までの40年間の急速な経済成長と人口の増加が これを多角化させたとみており、それに伴い食肉と酪農製品需要も拡大し、豪州は、これら産品の 主要な供給元となったとしている。また、同時に、豪州の穀物や砂糖にとっても主要な輸出市場で あると報告している。一方で、1990年代中旬からの日本経済の低迷と人口増加率の低下とともに、 コメの消費は減少し、食肉と酪農製品の需要伸びも以前に比べて緩やかとなったとしている。 ABAREでは、日本の農産物市場について、カロリー換算で輸入食材が日本人の食生活の約60 パーセントを占めるなど、輸入農産物に大きく依存している状況であるとしており、その中で日本 の食糧安全保障にとって国産農産物が不可欠な要素であることを理由にそのほとんどが保護されて いることに不満を募らせている。 今後の日本の農産物市場については、農産物の輸入規制を改革するなどの大きな動きがない限り、 輸入農産物にとって成長の可能性が見込めない成熟しきった市場となると分析している。しかし一 方で、日本は人口減が予測され、老齢人口も上昇するなど農産物需要は低下に向かうとしながらも、 日本の農村地域での労働力減少などから、輸入農産物への依存は高くなるとみている。 上へ

◎ 欧州委、品目別に分かれた共通市場制度を統合する提案 【ブリュッセル駐在員事務所 平成18年12月19日発】 欧州委員会は12月18日、共通農業政策(CAP)のうち、生乳・乳製品、牛肉・子牛肉、豚肉などの 各品目分野における市場の統一を図るための共通市場制度(Common Market Organisations:CMO) について、これらを統合した単一の制度とする提案を行った。 今回の提案では、21品目に係る市場介入制度、民間在庫補助、輸出補助金などのCMOが、現在、41 規則(600超の条項)により規定されているが、これを一つの規則(200弱の条項)に統合する。欧州委 員会では、このCMOの簡素化により、制度の透明性の向上、制度理解の促進および事務負担の軽減が 図られ、このことが農産物コストの低減につながる結果、納税者であるEU市民全般にとって利益があ ると強調している。なお、今回の統合は、制度に係る技術的な見直しであり、制度内容の変更を伴うも のではない。 欧州委員会による本提案は、欧州議会および欧州理事会における検討を経て2008年からの施行を目指し ており、これによりCAPの大部分は、本規則、直接支払い制度に関する規則、農村開発に関する規則、 CAPの財政に関する規則の4つの規則により規定されることとなる。 上へ

◎ チリ、日本向け牛肉輸出を一時停止 【ブエノスアイレス駐在員事務所 平成18年12月5日発】 チリ農業庁(SAG)は12月4日、首都圏州の食肉パッカーにおいて先月、検査の段階で日本向け 牛肉の包装に不正が確認されたことを公表した。これは、SAG発行の輸出証明書が偽造されていた もので、SAG内部でも証明書の管理において問題がなかったか調査を開始している。 ロハス農相は「日本の当局にこの問題を報告するとともに、不正の状況が明らかになるまでの間、 日本向けの牛肉輸出を一時停止することを申し出た」と述べている。また、電子輸出証明システムの 導入を急ぎ、さらに、2009年から開始予定のトレーサビリティについても1年前倒しとすることを検 討するなどチリ国内での管理強化の実施を強調している。 上へ

◎ 豪州の冬穀物生産、干ばつの影響で前年度比62%の減少に 【シドニー駐在員事務所 平成18年12月6日発】 豪州農業資源経済局(ABARE)は12月5日、四半期ごとに公表している最新の穀物生産予測を 発表した。これによると、すでに収穫が始まっている2006/07年度の冬穀物生産量について、主要穀 物生産地での干ばつの被害により、前年度比62%減の1,550万トンに落ち込むとしている。直近で見 ると1994/95年度の1,470万トンに次ぐ低い水準となっている。ABAREでは、国内各地の8〜10月 の降雨量が、1900年に入り最も低かったことが減産に直結したとしている。主要穀物の品目別生産見 通しは、小麦が前年度比61%減の974万トン、大麦が同63%減の367万トン、カノーラは同70%減の 426万トンの見通しである。ABAREは、今後も干ばつの状態が続いた場合、夏穀物の生産にも大 きな影響が及ぶとみており、現時点の生産見通しでは、前年度比33%減の306万トンとしている。 上へ

◎ OIE米州地域委員会の開催(ブラジル) 【ブエノスアイレス駐在員事務所 平成18年12月5日発】 11月28日から12月2日にかけて、ブラジル南東部のフロリアノポリス市で第18回国際獣疫事務局 (OIE)米州地域会議が開催された。 同会議において、ヴァラOIE事務局長は「今日、世界的に獣医師業務の公益性が認識されてい る。獣医師業務は家畜疾病、特に人に感染する疾病予防の第一線にある。したがって公共投資の優 先項目の一つとして、世界中で獣医師業務の強化を考えるべきである」と述べるとともに、南米地 域に対して「OIEの目標は、可及的速やかに米州地域の口蹄疫を根絶することにある」と口蹄疫 対策の重要性を強調している。 またブラジルのゲデス農相は、ブラジル国内における家畜疾病防止対策について評価を受けるため、 OIE視察団の派遣を要請したことを述べた。OIE視察団は2005年10月に口蹄疫が発生した地域 などの視察に向け検討を進めていると伝えられている。 上へ

◎ 中国、家畜のトレーサビリティシステム導入へ 【国際情報審査役 平成18年12月1日発】 中国農業部と中国移動通信集団公司(中国移動=China Mobile:旧国営企業で、中国のモバイル市場の約3分の2を占有)は 11月29日、北京において家畜のトレーサビリティシステムの共同構築に向けた契約に調印した。新華社によると、同システム は家畜にIDタグを装着し、専用モバイル端末や通信ネットワークなどで全国の家畜の生産管理データなどを統一管理する。 調印式に臨んだ尹成杰農業部副部長は、高病原性鳥インフルエンザや牛海綿状脳症(BSE)、口蹄疫など重大な動物疾病が 世界各地で発生しており、疾病防御と食の安全について国際社会が高い関心を抱いていると指摘した。また、尹副部長は、重大 な動物疾病の発生が畜産業の健全な発展と畜産物の国際貿易に大きな影響を及ぼしているばかりでなく、人類の健康と公衆衛生 にも脅威を与えており、各国政府は積極的に有効措置を講じ、畜産物の安全性を保障する必要があるとし、中国共産党、国務院 とも動物の疾病防疫と畜産物の品質安全対策を非常に重視していることを強調した。 現在、同システムは北京市、上海市、重慶市および四川省の4省級行政区で試験的に構築が進められており、近い将来、全国 での稼働を目指して開発が推進されている。 新華社によると中国移動の携帯電話ユーザーは現在、都市部を中心に3億人を超えるといわれており、家畜トレーサビリティ システムの開発が進めば、これらユーザーは、畜産食品の安全性に関するデータなどを随時取得できるようになるものと期待さ れている。 上へ

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