ALIC/駐在員トピックス WTO/FTA・貿易・安全・その他
平成19年(2007年)4月分
◎米韓FTAの影響緩和のため、と畜税廃止などを検討(韓国) 【国際情報審査役 平成19年4月24日発】 ◎インド、韓国、アセアンとのFTA交渉の開始を決定(EU) 【ブリュッセル駐在員事務所 平成19年4月24日発】 ◎ブラジル、WTO交渉においてインドと連携強化を図る共同声明を発表 【ブエノスアイレス駐在員事務所 平成19年4月16日発】 ◎EU委員会がEPA交渉でACP諸国に対する完全な市場開放を提案 【国際情報審査役 平成19年4月13日発】 ◎タイ首相、対日EPAに署名(タイ) 【シンガポール駐在員事務所 平成19年4月4日発】
◎米韓FTAの影響緩和のため、と畜税廃止などを検討(韓国) 【国際情報審査役 平成19年4月24日発】 現地報道などによると、韓国政府は4月23日、先に合意に達した米韓自由貿易協定(FTA)が国内畜産 農家に及ぼす影響緩和の一環として、と畜税の廃止を検討していることを明らかにした。 と畜税は、牛や豚のと畜に対して課される消費税の一種とされ、大韓帝国(1897〜1910)末期の1909年に 創設された地方税。大韓民国成立後は、最上位の地方行政単位である道税となり、1976年に市・郡税へと移管 された。税率は牛・豚の時価(毎年1月1日と7月1日の2回算定、市・郡の首長=市長・郡守が決定)の 1%とされ、牛・豚のと畜に際し、と畜場の経営者が畜産農家から徴収し、当月分を翌月5日までに市・郡に 申告・納付するもので、税収額は毎年450億ウォン(約59億円:100ウォン=13.01円)前後とされる。 韓国農林部は、と畜税は米国やカナダ、日本など先進国にはないものであり、関係省庁とも協議の上、 廃止を検討しているとした上で、今年から面積90坪(約297平方メートル)以上の飲食店に義務付けている牛 肉の原産地表示について、中小飲食店への義務化拡大を検討しているとした。また、肉用子牛の価格下落時 における政府による農家の所得補償制度について、その基準価格を現行の130万ウォン(約16万9千円)より も引き上げ、農民の負担を軽減する方針であることも明らかにした。 上へ
◎インド、韓国、アセアンとのFTA交渉の開始を決定(EU) 【ブリュッセル駐在員事務所 平成19年4月24日発】 欧州委員会は4月23日、インド、韓国、アセアンとの自由貿易協定(FTA)交渉にかかる 交渉権限について、加盟国より正式に付与された。これらの国・地域とのFTAによりEUから の輸出が年間400億ユーロ(約6兆4,400億円、1ユーロ=161円)以上増加するとともに、双方向 に新たな貿易機会が提供されると見込まれる。各国・地域との交渉は数カ月以内に開始される予定である。 今回のFTA交渉に当たって、専門機関による事前の分析によれば、 ・EUからアセアンへの輸出額は24.2%増加、インドへは56.8%増加、韓国へは47.8%増加し、 2005年のEU全体の輸出額1兆3千億ユーロ(約210兆円)に比べ合計で3.23%増加すると 見込まれる。これはEUの域内総生産額を0.13%押し上げることとなる。 ・アセアンからEUへの輸出額は18.5%増加、韓国からは36%増加、インドからは18.7%増加する。 ・EUには対アセアンではサービス分野、対インドでは工業製品、対韓国ではサービス分野で大きな メリットがある。インドへの自動車輸出は700%増加すると見込まれる。 なお、これらの試算の前提は以下のとおり。 ・アセアン側が、数品目のセンシティブ品目を除く物品の関税の撤廃、サービス市場における 規制の50%を削減。 ・インド側が、すべての貿易障壁の95%を撤廃、サービス市場における規制の25%を削減。 ・韓国側が、食品以外の物品ですべて関税を撤廃、食品の関税を40%削減、サービス市場における 規制の25%を削減。 上へ
◎ブラジル、WTO交渉においてインドと連携強化を図る共同声明を発表 【ブエノスアイレス駐在員事務所 平成19年4月16日発】 4月13日、WTO閣僚会合のためニューデリーを訪れていたブラジルのアモリン外相は、 首相などインド政府首脳と会談し、インドとの合同声明を発表した。概要は以下の通りである。 @両国は多国間経済交渉、とりわけWTOの交渉において両国が密接に連携をとる重要性を強調した。 途上国の開発意欲に応えるためドーハラウンドを早急に成功させることが必要であることを確認 した。両国外務大臣はブラジル政府およびインド政府がG20において行動を共にする約束を確認 した。 A安全保障理事会の常任理事国および非常任理事国を拡大させ途上国を常任理事国に加えるための 努力を密接に連携することを確認した。 B両国間貿易が著しく増大したことを称え、2010年までに100億米ドルの水準に高めるよう努力する ことを確認した。 Cガソリンへのアルコール添加の分野での技術協力などバイオ燃料に関する情報交換を強化する 約束を新たに行った。 Dバイオテクノロジー、情報工学、薬学、HIVおよび熱帯病などの疾病根絶に重点を置いた科学技術 協力を強化することを確認した。 ほかにも宇宙開発、教育、文化交流、軍事などの分野においての協力を強化することを挙げている。 上へ
◎EU委員会がEPA交渉でACP諸国に対する完全な市場開放を提案 【国際情報審査役 平成19年4月13日発】 EUは4月4日付けのプレスリリース(IP/07/476)で、旧植民地諸国であるACP諸国(アフリカ、カリ ブ海、太平洋諸国)に対し、EPA交渉の一環として、現在ある全ての関税や関税割当などの国境措置を撤廃 する申し出を行ったことを明らかにした。申し出の内容は牛肉、乳製品、穀物、青果物を含む農産物のほか、 武器以外の全ての産品が対象となっている。 この交渉には南アフリカも参加しているが、同国に対しては、いくつかの世界的に競争力のある品目につい ての関税(import duty)は残される。 (申し出の概要) ・ ACP諸国に対する全ての関税や関税割当を撤廃。LDC(後発開発途上国)に対して行われたEBAス キーム(無税無枠の特恵的アクセス)と同じ機会を与える。 ・ ACP諸国は、EUからの市場アクセスについて、自由化までの移行期間を設けると同時に、EUからの 輸入に対して重要品目を保護する権利を持つ。 ・ 2008年1月より適用されるが、EUへのコメ及び砂糖輸入に関する国境措置の撤廃については、移行期間 が設けられる。 このEPAは対象国とEUが地域的な結びつきを深め、地域全体としての市場や供給チェーンが創出される ことが目的とされている。このためEUは、このEPAによりACP諸国が、条約で認められていた限られた 産品の輸出に頼る構造から脱却し、貿易品目を多様化し、貿易量を増加させることを期待している。 ただしACP諸国から輸出される砂糖については、現在EUにおいて、EUの生産者やACP諸国の輸出国 が利害関係者に含まれている砂糖制度改革が行われていることから移行期間が設けられ、2015年からACP諸 国に対して、砂糖についても無税無枠の措置が与えられる予定である。 また、ACP諸国を経由した第3国からの迂回輸出が行われないよう、原産地規則が設けられる予定である。 上へ
◎タイ首相、対日EPAに署名(タイ) 【シンガポール駐在員事務所 平成19年4月4日発】 4月3日、 スラユット・タイ首相は、日本との経済連携協定(EPA)に調印した。同首相は、4月2日から 東京を訪問中である。当該EPAは、2003年2月に政府間の交渉が開始され、農業分野では既に2004年3月末には 大筋合意に達し、鉱工業分野、特に鉄鋼や自動車関連において調整に時間を要したが2004年9月には全体での 大筋合意に達していた。しかし、タクシン首相に対する反対運動が発生し、2006年9月にはクーデターにより 首相に政権が交代するなど、タイ側の政治的混乱によって署名が遅れていた。 農林水産分野においては、食品安全関連などの農林水産業協力や市場アクセスの改善などが盛り込まれ、 主な畜産品目の市場アクセスに関する日本側の取り扱いは次のとおりとなっている。 鶏肉調製品:5年間で6.0%→3.0%に関税を削減。豚肉調製品:1,200トンの関税割当と20%の枠内関税削減。 指定乳製品、牛肉、乳製品の一部:除外。 上へ
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