ALIC/駐在員トピックス WTO/FTA・貿易・安全・その他
平成19年(2007年)6月分
◎ 中国、2007/08年度の大豆作付面積と生産量は減少見込み ―トウモロコシ価格高の影響を受け― 【国際情報審査役 平成19年6月22日発】 ◎ チェコ共和国の七面鳥農場で高病原性鳥インフルエンザを確認 【ブリュッセル駐在員事務所 平成19年6月22日発】 ◎ FAO、2007年食料輸入額は記録的水準に ―バイオ燃料需要急増などが食糧価格を押し上げ― 【国際情報審査役 平成19年6月18日発】 ◎ 乳製品の輸出補助金をすべてゼロに(EU) 【ブリュッセル駐在員事務所 平成19年6月18日発】 ◎ EU農相理事会、トウモロコシの介入買入制度を段階的に廃止 【国際情報審査役 平成19年6月14日発】 ◎ 韓国、米国産牛肉の輸入を一時見合わせ 【国際情報審査役 平成19年6月5日発】 ◎ EU委員会がブラジル戦略的提携を提案 【国際情報審査役 平成19年6月1日発】
◎ 中国、2007/08年度の大豆作付面積と生産量は減少見込み ―トウモロコシ価格高の影響を受け― 【国際情報審査役 平成19年6月22日発】 米国農務省(USDA)が本年6月に公表した世界の農業生産(World Agricultural Production) によると、中国における2007/08年度の大豆生産は、トウモロコシ価格高の一方、大豆収益が比較的 小さく、生産者が大豆からトウモロコシ生産に切り替えたため、作付面積は前年度を5.4%(50万ヘ クタール)下回る880万ヘクタール、生産量は前年度を3.7%下回る1,560万トンと見込まれている。 中国における大豆生産地域は、生産量の半分以上が北東部(東北三省(黒龍江省、吉林省、遼寧 省)及び内蒙古自治区)であるが、特に黒龍江省の作付面積の減少が40万ヘクタールと著しい。単 収は1ヘクタール当たり1.77トンと見込まれ、2006/07年度の同1.74トンを上回るが、2007/08年度 の数量は10年間のトレンドに近い。 4月に始まった作付けは、春期の降雨と降雪で作業が遅れていたが、5月が暖かかったことから、 黒龍江省と吉林省中部では作付けが順調に進み、計画通り終了している。土壌水分が生育に適当で、 発芽は良好である。 吉林省西部、内蒙古東部、遼寧省北部では、局地的な干ばつから作付け作業が遅れていたが、6月 に入り降雨があったことで干ばつの影響が後退しており、夏作の生育環境は改善されている。 中国南西部と揚子江流域では、春期の干ばつにより作付けの遅れが見られる。5月20日以降、広範 囲にわたる豊富な降雨があり、生長期にある春大豆にとって土壌水分は大きく改善している。また、 北部平原地域では、夏作としての大豆は6月の冬小麦(秋まき小麦)収穫後に作付けされるが、こち らも豊富な降雨量の恩恵を受けている。 上へ
◎ チェコ共和国の七面鳥農場で高病原性鳥インフルエンザを確認 【ブリュッセル駐在員事務所 平成19年6月22日発】 欧州委員会は6月21日、チェコ共和国当局より、同国中部の七面鳥農場において高病原性鳥インフ ルエンザを疑う事例の報告を受けたことを発表した。感染が疑われた農場では6千羽の七面鳥のうち 約1,800羽が死亡し、同国の研究所による分析でH5N1型の高病原性鳥インフルエンザウイルスが 検出された。最終的なウイルスの同定を行うため、EUの鳥インフルエンザに関する委託研究所であ るイギリスのウェイブリッジの獣医研究所(VLA)にサンプルを送付することとしている。本ウイ ルスが、H5N1型と同定された場合、本年のEU域内の商業用の家きんへの感染は、ハンガリー、 イギリスの事例に続き3例目となる。 同国当局は、EU指令に基づき、当該農場のすべての鳥の殺処分などの対策をすでに講じている。 また、当該農場から半径3キロメートル以内を防疫区域、同10キロメートル以内を監視区域に、さら に、これらを取り囲む緩衝地域となる低リスク地域を指定し、移動制限などの対策を講じている。 上へ
◎ FAO、2007年食料輸入額は記録的水準に ―バイオ燃料需要急増などが食糧価格を押し上げ― 【国際情報審査役 平成19年6月18日発】 国連食糧農業機関(FAO)が本月6月に公表した食糧観測(Food Outlook)によると、世界に おける2007年の食料輸入額は、バイオ燃料需要の急増などにより食糧価格が押し上げられたことで、 記録的であった2006年を5%上回る4,000億ドルを超えることが確実視されている。報告書によると、 バイオ燃料生産で影響を受けた粗粒穀物と植物油脂の輸入額の上昇が、増加分の大半を占めており、 これらの輸入額が2006年を13%上回ることに加え、この影響による食肉や乳製品価格の上昇が、 食料輸入額の上昇につながるとしている。 FAOによると、この影響については、特に低所得国に深刻なダメージを与えていると予測して おり、発展途上国(DC)における2007年の食料輸入額は、前年を9%上回り、低所得食糧不足国 (LIFDC)や後発開発途上国(LDC)では、それぞれ同10%の上昇が見込まれている。 上へ
◎ 乳製品の輸出補助金をすべてゼロに(EU) 【ブリュッセル駐在員事務所 平成19年6月18日発】 欧州委員会は6月14日、乳製品の輸出の際に適用する輸出補助金をすべてゼロとし、翌15日 の申請分より適用することとした。 世界的な乳製品需給のひっ迫を背景に乳製品の国際価格は上昇を続けており、今回の大幅な 輸出補助金の引き下げとなった。すでに、脱脂粉乳については昨年6月、全粉乳については 本年1月にゼロとなっているが、今回の決定によりバターの輸出補助金をそれまでの100キログラム 当たり50ユーロ(8,200円、1ユーロ=164円)からゼロに、チーズの輸出補助金も全種類でゼロと した。 なお、EUは農産物の輸出補助金制度を今後廃止することとしているが、今回の乳製品の輸出 補助金の全廃はあくまで国際価格との関係で一時的なものであり、制度そのものを廃止するもの ではない。したがって、今後、EU産の乳製品価格が国際価格より相対的に高いものとなれば 再び輸出補助金が導入されることとなる。 上へ
◎ EU農相理事会、トウモロコシの介入買入制度を段階的に廃止 【国際情報審査役 平成19年6月14日発】 EU農相理事会は6月11日、2007/08年度(7月〜翌年6月)が始まる7月1日から向こう3年 間で、トウモロコシの介入買入制度を廃止するとともに、この期間に買い入れる介入数量の上限に ついては、一年目は150万トン、二年目は70万トン、そして三年目はゼロと、段階的に削減する内 容に合意した。 2005/06年度末におけるEUのトウモロコシ介入在庫数量は、穀物介入在庫総量の40%に相当する 560万トンまで積み上がり、このまま進むと年々積み増しされ、2013年までに1,410万トンに膨れ上 がるものと懸念されていることから、この制度の廃止により、EU域内には新たな需給バランスが 展開されるものとしている。 EU委員会のマリアン・フィッシャー・ボエル委員(農業・農村開発担当)は、「本合意により EU域内におけるトウモロコシの介入買入がなくなることは、農業予算の削減のために、大変喜ば しいことである。この制度の維持は、EU予算に負担をかけるため政策として擁護できず、農業関 係者はこの制度に依存するのではなく、市場の開拓に力を注ぐべきである。このことは、欧州委員 会が2003年から取り組んできた基本的な改革であり、2003年にライ麦についてこの制度を廃止した ことにより、その後、価格が市場の実勢に反応したように、トウモロコシについても同様になるこ とを期待している。」とコメントしている。 上へ
◎ 韓国、米国産牛肉の輸入を一時見合わせ 【国際情報審査役 平成19年6月5日発】 韓国農林部は6月4日、米国産牛肉の一部に、米国の国内向け牛肉が混入していたとして、米国 に対し、事実関係の徹底糾明と輸出検疫の強化、再発防止策を講じるよう要請した。併せて、それ らが確認されるまでの間、該当工場からの牛肉輸入を中止すると発表した。これに先立ち農林部で は、国立獣医科学検疫院の調査から、米国産牛肉の一部に米国内市場向けのものが含まれていると いう情報をつかみ、米国側に事実確認を要請していた。 問題となった米国産牛肉は、5月25日に釜山港に陸揚げされたカーギル社(工場番号86R・86K) の製品15.2トンと、同26日に同港で陸揚げされたタイソン社(同245E・278)の製品51.2トンで、 うちカーギル社の製品には、韓国向け輸出が許可されていない肋骨付きのものが含まれていた。 韓国側の発表によると、今般、米国農務省(USDA)から、問題の牛肉はいずれもUSDAの 韓国向け輸出証明プログラムに即しておらず、国内向けであることが確認されたので、該当物資に 対する返送措置をとったとの回答があった。 これを受け、韓国の検疫当局は、確認された66トン余の米国産牛肉をシップバックするとともに、 昨秋以来これまでに韓国向けに輸出された約227トンの米国産牛肉に関しても、USDAの韓国向け 輸出証明プログラムに即して生産されたものであるかの確認を米国側に要請した。併せて、国内検 疫に合格し、近く韓国内で販売予定となっていた米国産牛肉3トンの販売を留保するとともに、現 在検疫中の152.7トンについても、検疫作業を中断することとした。 なお、韓国の検疫当局は、すでに市中に出回っている米国産牛肉約49トンに関しては、米国内向 けの可能性はほとんどないとしている。 上へ
◎ EU委員会がブラジル戦略的提携を提案 【国際情報審査役 平成19年6月1日発】 EU委員会は6月1日付のプレスリリース(IP/07/725)で、ブラジルとの戦略的提携(EU-Brazil Strategic Partnership)を理事会及びEU議会に提案したことを明らかにした。 この戦略についての提案は、多国間の舞台での協調、人権への配慮、地域・社会開発(貧困や不 平等の撲滅)、環境保護、エネルギー戦略協調の強化、ラテンアメリカの安定性や発展、EU- メルコスール間の協調、貿易や経済関係の強化など、広範囲な分野にわたっての提携を進めるべき と提言している。 提案の中において、EUとブラジルがWTO交渉をまとめるために、互いの立場から交渉に完全 に従事していくこと、再生可能燃料と省エネルギーの推進、二酸化炭素削減に協調していくことが 述べられていることが注目される。特にバイオ燃料では、EUのバイオ燃料指令を始め、ブラジル の働きかけによって開催された国際バイオ燃料フォーラムを通じての世界市場の創出についても触 れられている。 上へ
過去の記事はこちら
トップページへ戻る