ALIC/駐在員トピックス WTO/FTA・貿易・安全・その他
平成19年(2007年)8月分
◎NZフォンテラ、過去最高水準の乳価を提示
【シドニー駐在員事務所 平成19年8月27日発】
◎韓国、8月27日から米国産牛肉の検疫を再開
【国際情報審査役 平成19年8月27日発】
◎畜産物などの輸出制限を8月25日より緩和 〜イギリス口蹄疫その4〜
【ブリュッセル駐在員情報 平成19年8月24日発】
◎米国農務省、2007年のトウモロコシ生産量を史上最大の130.5億ブッシェルと予測
【ワシントン駐在員事務所 平成19年8月10日発】
◎ イギリスで6年ぶりに口蹄疫が発生〜その3〜
【ブリュッセル駐在員事務所 平成19年8月8日発】
◎ イギリスで6年ぶりに口蹄疫が発生〜その2〜
【ブリュッセル駐在員事務所 平成19年8月7日発】
◎ イギリスで6年ぶりに口蹄疫が発生
【ブリュッセル駐在員事務所 平成19年8月6日発】
◎ 韓国、米国産牛肉の検疫を中断
【国際情報審査役 平成19年8月3日発】
◎NZフォンテラ、過去最高水準の乳価を提示
【シドニー駐在員事務所 平成19年8月27日発】
ニュージーランド(NZ)最大の乳業フォンテラは8月24日、2007/08年度の乳価について
乳固形分キログラム当たり6.40NZドル(544円:1NZドル=85円)に引き上げることを
発表した。これは、5月に提示された当初乳価より87NZセント(74円)の上方修正となり、
過去最高水準に到達する見通し。同社では、今回の乳価引き上げについて、好調な乳製品の
国際市況を反映させたものであるとしている。なお、地元金融機関の見通しによれば、年間
の為替相場の状況によっては、同6.60NZドル(561円)への引き上げも可能としている。
今回の乳価改定により、フォンテラに生乳を出荷する酪農家一戸当りの年間平均販売金額は、
およそ68万9千NZドル(5,857万円)に上昇する。
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◎韓国、8月27日から米国産牛肉の検疫を再開
【国際情報審査役 平成19年8月27日発】
韓国農林部は8月24日、特定危険部位(SRM)とされる脊柱混入により8月1日から中断し
ていた米国産牛肉の輸入検疫を、同月27日から再開すると発表した。
農林部によると、脊柱混入の原因は、米国の工場において、輸出向けと国内向けを区分する
エリアの包装用機械が故障し、破損した一部の箱を交換する際に、誤って国内向けの牛肉を
輸出用の箱に入れた一過性の偶発事故であったとされ、「米国内のBSEリスクを客観的に悪化
させた場合」には当たらないと判断、今回の検疫再開措置となった。今後は、米国との間で輸入
衛生条件改正のための危険分析手続きも行われる予定。
一方で農林部は、米国内の韓国向け牛肉輸出工場36のうち、脊柱混入が検出された1工場の
輸出工場承認を取り消すとともに、7月下旬に骨片混入が確認された4工場に対し、根本的な
再発防止のための新たな衛生条件が発効するまでの間、輸出中断措置を維持するとした。
なお、米国側は、先般の輸出衛生条件違反に対し、@包装前の目視検査強化のため、検査員を
追加配備すること、A骨などの有無を識別するため、コンピュータによる重量検査の許容範囲を
縮小すること、B韓国向け輸出製品を別の場所に保存管理すること、C通関前の目視検査まで、
韓国向け輸出ラベルの貼付を禁止すること−などを提示しているという。
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◎畜産物などの輸出制限を8月25日より緩和 −イギリス口蹄疫その4−
【ブリュッセル駐在員情報 平成19年8月24日発】
EUのフードチェーン・家畜衛生常設委員会は8月23日、イギリス・サリー州での口蹄疫発生
に伴い実施されている生きた家畜・食肉・乳製品の輸出制限の対象地域を、グレートブリテン
全域から、口蹄疫発生農場周辺半径10キロメートルの監視区域に縮小する欧州委員会の決定案
に同意した。本決定の適用日となる8月25日より、イギリスのほぼ全域から、生きた家畜・
食肉・乳製品の輸出の再開が可能となる。
サリー州では、8月7日の2例目の口蹄疫発生以降、2週間以上新たな感染が確認されておらず、
感染拡大が沈静化したと判断されることや、厳格かつ早急な輸出制限やEU規則に基づいた感染
拡大防止策が講じられていることから、今回の輸出制限の緩和が可能と判断された。
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◎米国農務省、2007年のトウモロコシ生産量を史上最大の130.5億ブッシェルと予測
【ワシントン駐在員情報 平成19年8月10日発】
米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)は8月10日、全国作況調査に基づく8月1日
現在の反収予測を踏まえた2007年の主要農作物の生産予測量を公表した。
これによると、本年のトウモロコシの1エーカー当たり収量は、全米平均で昨年を3.7ブッシェル
上回り、2004年に次いで史上2番目に高い152.8ブッシェルになるものと予測されている。特に、
アイオワ、イリノイ、ネブラスカの主要3州の作柄が良い。2007年のトウモロコシ作付面積が大幅
に拡大していることもあり、生産量はこれまでの記録である118億ブッシェル(2004年)を10.6%
上回る130.5億ブッシェルに達すると予測されている。
また、同日には、米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)による世界農産物需給
推計の月次報告(8月)も公表され、米国のトウモロコシ需給見通しが示されている。これによると、
生産量が前月の推計値に比べて2.1億ブッシェル上方修正される一方、消費仕向量も国際需要の高まり
による輸出量の増加などにより2.0億ブッシェル引き上げられており、年度末の国内在庫量は前月と
ほぼ同水準(15.16億ブッシェル)となっている。
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◎ イギリスで6年ぶりに口蹄疫が発生〜その3〜
【ブリュッセル駐在員事務所 平成19年8月8日発】
英国の環境・食料・農村地域省(DEFRA)のレイノルズ主任獣医官は8月7日、農場を中心
とする半径10キロメートルの移動制限区域内で新たに見つかった口蹄疫の疑いのある牛について、
検査の結果、陽性であったことを公表した。これらの牛は既に6日夜より処分が開始されている。
同地域内には家畜衛生当局の職員が常駐しており、今回の感染疑い例について、迅速かつ適切に
対応できたとしている。さらに同省は、畜産農家に対し引き続き感染の兆候に注意するよう
呼びかけている。
○英国酪農・乳業団体、乳製品の輸出の再開を主張
英国の酪農・乳業に関する組織であるデイリー・UK(Dairy UK)は8月7日、口蹄疫発生に伴う
グレートブリテンからの乳製品の輸出禁止措置について、輸出再開、特に英国の乳製品輸出全体の
82%を占めるEU域内の輸出の再開を主張する内容を公表した。
その理由として、欧州委員会から求められている新たな管理手順の順守が可能であること、
英国食品基準庁(FSA Food Standards Agency)から「口蹄疫がヒトのフードチェーンに影響を
及ぼさず、肉や乳製品の消費について安全性に問題がない」と公表していることなどを挙げている。
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◎ イギリスで6年ぶりに口蹄疫が発生〜その2〜
【ブリュッセル駐在員事務所 平成19年8月7日発】
英国の環境・食料・農村地域省(DEFRA)は、今回の口蹄疫発生に伴う処分の対象は64頭
とし、すべて殺処分されたと公表した。また、今回のウィルスについては、1967年に英国で発生
した際に分離したウィルスと類似しているとしている。このウィルスは、動物衛生研究所と製薬
会社(Merial・Animal Health株式会社)が共同で使用しているPirbrightの研究施設において、
最近ワクチン生産に使用されたとしている。
一方、欧州委員会は8月6日に、英国における口蹄疫の発生の保護措置について、暫定的な措
置を講じる決定を採択した。
既に英国当局によって講じられている措置当該農場の家畜の殺処分や移動制限区域の設定のほ
か、グレートブリテン全域から家畜(牛、羊、ヤギ、豚)の移動およびこれらの家畜から製造さ
れた製品の移動を禁止、また、ほかの加盟国もグレートブリテンへ家畜の移動はできないとして
いる。
なお、この感染から受ける経済的影響の軽減のため、2007年7月15日以前の製造で、熱処理のよ
うなウィルスの不活性化処理された製品、またはグレートブリテン以外で飼育された動物由来で
あるがグレートブリテンで加工された製品については、確実に安全な製品として輸出を許可する
特例が講じられている。
委員会は8月8日に、フードチェーン家畜衛生常設委員会を開催し、暫定措置の見直しなど今後の
対策について再検討するとしている。
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◎ イギリスで6年ぶりに口蹄疫が発生
【ブリュッセル駐在員事務所 平成19年8月6日発】
イギリス環境・食料・農村地域省(DEFRA)は8月3日夕刻、イングランド南東部サリー州の
農家が飼養する牛から口蹄疫ウイルスを確認したことを公表した。同国においては2001年以来の
発生確認となる。
DEFRAによれば2日夕刻の症状を疑う事例の確認に伴い、3日早朝より当該飼養農場を中心
とする半径1キロメートルに暫定の制限地域を設定した。さらに口蹄疫ウイルスが確認されたこと
に伴い、当該農場のすべての家畜の殺処分、当該農場を中心とする半径3キロメートル、同10キロ
メートルに制限区域を設定し、移動制限や防疫対策を講じている。なお、DEFRAはこれらの
防疫対策に加え、グレートブリテン全域を対象とした牛・羊などの反芻動物および豚の移動制限措
置を講じている。
2001年の同国での口蹄疫発生は、全国で2,030件が確認され、約6百万頭(羊490万頭、牛70万頭、
豚40万頭)を処分、31億ポンド(5,580億円、1ポンド=180円)の経済的損失が生じ、輸出制限解除
まで約8カ月を要するなど大きな被害がでた。また、フランス、オランダにも感染が拡大し、
ヨーロッパを中心に食肉需給に大きな混乱を引き起こした。
なお、イギリス食肉家畜委員会(MLC)によれば、2006年のイギリスからの食肉輸出は、EU
加盟国向けを中心に、牛肉4万6千トン、豚肉9万4千トン、羊肉8万7千トンが輸出されている。
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◎ 韓国、米国産牛肉の検疫を中断
【国際情報審査役 平成19年8月3日発】
韓国農林部と国立獣医科学検疫院は8月2日の会見で、7月29日に輸入された米国産牛肉1,176箱
(18.7トン)の検疫を行ったところ、そのうちの1箱から、輸入衛生条件で特定危険部位(SRM)
とされる脊柱が発見されたと発表した。脊柱の発見を受け、同検疫院は、8月1日付けですべての
米国産牛肉に対する検疫の中断を決定し、米国に対して、原因の究明と抜本的な再発防止措置を要求
したことを明らかにした。検疫中断という措置にとどまったことで、米国産牛肉の輸入は引き続き
認められるものの、輸入検疫が行われないため、輸入された米国産牛肉は、検疫倉庫に保管され、
市中に出回ることはない。
また、同検疫院は、7月22〜29日の間に輸入された米国産牛肉(カルビ)42.4トンの中から骨片の
混入が発見され、31日に該当貨物の全量をシップバックするとともに、3つの輸出工場に対して船積
みの中断措置を取ったことも明らかにした。
農林部はこれと併せ、8月1日に在韓米国大使館の関係者を呼んで違反事例について抗議するとと
もに、納得に値する抜本的な再発防止策が用意されるまでは、すべての米国産牛肉に対する検疫中断
措置が継続されるはずであると警告した。2日の会見で、農林部の金昌燮家畜防疫課長は、輸入禁止
ではなく、とりあえずは検疫中断という措置にとどめたものの、米国による原因究明と再発防止措置
などの対応が不十分である場合には、正式に輸入禁止を検討することもあるとの見解を示した。
米国の議会内には、韓国の米国産牛肉に対する市場開放を、韓米FTA批准のための前提条件とし
てとらえる動きもある。今回の措置に対し、朴弘綬農林部長官は、8月2日の記者懇談会において、
あくまでも検疫レベルの問題であり、韓米自由貿易協定(FTA)とは別問題であることを強調した。
韓国内では、大手量販業者が8月9日から米国産牛肉の一斉販売を開始する予定であったが、2日
の政府発表を受け、今後の対応を協議しているとされる。
一方、米国のジョハンズ農務長官は8月1日、今回の問題に対し、混入した脊柱は30か月齢以下の
牛のもので、安全性に問題はないと強調しつつ、輸入禁止措置が取られないことを希望するとした。
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