ALIC/駐在員トピックス その他海外の農業・農産物・貿易・安全関連トピックス
平成19年(2007年)11月分
◎ 欧州委、羊およびヤギの電子耳標装着義務化を延期する提案 【ブリュッセル駐在員事務所 平成19年11月21日発】 ◎ NZ酪農協フォンテラ、株式上場計画を発表 【シドニー駐在員事務所 平成19年11月16日発】 ◎ アルゼンチン、穀物の輸出税の引き上げを決定 【ブエノスアイレス駐在員事務所 平成19年11月7日発】 ◎ 穀物高:ロシア、国際需給ひっ迫から小麦、大麦に輸出税 − 輸出を抑え、国内食品価格の安定を優先 − 【国際情報審査役 平成19年11月7日発】 ◎ 穀物高:ウクライナ、パンの値上がりを抑えるため輸出制限を拡大 − 生産者、輸出制限の解除を見込んで売り惜しみ − 【国際情報審査役 平成19年11月7日発】
◎ 欧州委、羊およびヤギの電子耳標装着義務化を延期する提案 【ブリュッセル駐在員事務所 平成19年11月21日発】 欧州委員会は11月16日、2008年1月1日より予定されていた、羊およびヤギを対象とした電子耳標装着の 義務化を延期する提案を行った。 EUでは、2001年の域内での口蹄疫発生を契機として、羊およびヤギを対象とした個体識別および登録の 必要性が議論され、2004年1月に施行された規則(EC/21/2004)により、2005年7月以降に生まれた羊 およびヤギなどを対象に耳標による個体識別が行われている(海外駐在員情報 第608号参照)。 本規則では、併せて、個体識別を迅速に実施することが可能となる電子耳標の装着義務化が盛り込まれ たが、その時点では実用化されておらず、2008年1月1日から義務化することを予定していた。ただし、これには 2006年6月までに欧州委員会により提出される予定であった「電子個体識別の実用化に関する報告書」により 実用化のめどがつくことが前提であった。しかし、この報告書は本年11月15日にようやく公表されところであり、 実施のための準備時間もない状況であった。また、システム導入による生産コスト上昇を懸念する生産者団体 からも、2008年1月1日からの電子耳標装着義務化を拒否する声明が出されていた。 電子耳標装着義務化の開始日については、改めて決定されることとなるが、先の欧州委員会の報告書では、 2009年末までにはすべての加盟国で電子耳標による個体識別の実施が可能としている。 上へ
◎ NZ酪農協フォンテラ、株式上場計画を発表 【シドニー駐在員事務所 平成19年11月16日発】 ニュージーランド(NZ)最大の酪農協であるフォンテラは11月15日、早ければ2年後の2010年にも NZ証券取引所への株式上場を計画していることを発表した。計画では、来年5月までに株主である 酪農家の承認を得た上で、フォンテラが100%の株式を所有する子会社を設立。この子会社に資産、 債務などを移した上で、2年後に上場させるというもの。また、株式の公開は20%とし、残りは 株主である酪農家などが保有するとしている。 株式上場計画の発表に際しフォンテラのハイデン会長は、6年前に3つの酪農協などが合併して フォンテラを設立したことに触れ、今回の計画はその出来事を超えるものであり、刻々と変わりゆく 国際的な乳製品市場の中で、フォンテラの競争力を確固たるものにするためには必要な措置と述べ、 株主である酪農家に対して株式上場の必要性を訴えた。 上へ
◎ アルゼンチン、穀物の輸出税の引き上げを決定 【ブエノスアイレス駐在員事務所 平成19年11月7日発】 ペイラーノ経済相は7日、穀物の輸出税の引き上げを発表した。大豆の輸出税については現行の27.5% から35%へ、小麦は同20%から28%へ、トウモロコシは同20%から25%へ引き上げられる。 同相は、これにより価格の安定、投資の増加および経済強化をもたらし、さらにこれまで政府が 採用した政策と同様にこの決定により国内と国際市場の均衡が図られると強調している。 上へ
◎ 穀物高:ロシア、国際需給ひっ迫から小麦、大麦に輸出税 − 輸出を抑え、国内食品価格の安定を優先 − 【国際情報審査役 平成19年11月7日発】 ○11月1日から来年3月末までの間、輸出を制限 輸出税は、11月12日から来年の4月末までの間 米国農務省(USDA)が10月16日に公表した国際農業情報(Gain report)によると、ロシア政府は、 国際的に穀物相場が上昇していることや国内のインフレ圧力の高まりから、2007年11月12日から翌年の 4月30日までの間、小麦、大麦の2品目について、関税同盟国と政策調整した後、輸出時に、小麦に ついては、トン当たり22ユーロを下回らない10%の従価税、大麦については、トン当たり70ユーロを 下回らない30%の従価税を課す(決議第660号、10月10日公布)としている。この背景として、12月には 下院選挙、来年3月には大統領選挙を控えているということも挙げられている。 決議によると、小麦輸出制限措置は、ロシア国内の穀物需給が一層タイトになれば、さらなる上乗せも あるとしている。 USDAによると、ロシア政府が国内価格安定のため保有する小麦を主体とする150万トンの介入在庫 が、今回の決議実施期間中に売り渡された場合には、政府の買入規格に合致する小麦輸出は禁止になると していたが、10月末に実施されたとしている。 ロシアの小麦輸出量は、世界第3位 USDAが10月に公表した世界の穀物市場と貿易(Grain:World Markets and Trade)によると、 2007/08年度のロシアの小麦輸出量は、米国、カナダに次ぐ1,200万トン(世界全体小麦輸出量の11.4%) とされ、大麦の輸出国・地域を見ると、世界第5位となる160万トン(同大麦輸出量の10.7%)の輸出量 が予測されている。 酪農製品の輸入税は引下げ ロシア政府は、酪農製品の国際価格が高騰しているため、10月15日に酪農製品の輸入税を引下げる決議 (第674号)を公布しており、同日から5〜15%の引下げ幅を適用している。市場関係者の話では、 酪農製品の多くが、ウクライナ、ベラルーシなど旧ソビエト連邦諸国から無税で輸入されており、すでに 国内商品価格に織り込み済みのため、輸入税の引下げによる国内価格の値下げ効果はあまり望めないとし ているが、粉乳を還元する牛乳・酪農製品の価格は、幾分安定するかもしれないとの見方である。 上へ
◎ 穀物高:ウクライナ、パンの値上がりを抑えるため輸出制限を拡大 − 生産者、輸出制限の解除を見込んで売り惜しみ − 【国際情報審査役 平成19年11月7日発】 ○11月1日から来年3月末までの間、輸出を制限 米国農務省(USDA)が10月2日に公表した国際農業情報(Gain report)によると、 ウクライナ政府は、2007年11月1日から翌年の3月31日まで間、小麦、大麦、トウモロコシ、らい麦の 4品目について120万3千トンの輸出割当を措置する(9月26日付け命令第1179号、10月2日公布)。 その理由として、世界全体の穀物相場の上昇によるウクライナ国内のパンなどの値上がりを抑えること、 政府による穀物在庫水準を高めること、干ばつにより国内の穀物生産量が減少したこと−が挙げられてい る。なお、2007年7〜9月にわたり、わずかであるが同4品目は3千トンずつの輸出数量割当を実施して いた。 USDAによると、このウクライナ政府の割当数量は、2007/08年度(7月〜翌年6月)に見込まれる 同国の輸出可能数量の3割程度に相当すると見ている。国内生産者は売り惜しみで対応 ウクライナの多くの穀物生産者、販売者は、ウクライナ政府が輸出割当を取り消すまで、または、 輸出枠を拡大するまでの間、穀物在庫は手元に持ち続けるとしている。資金繰りについては、手持ち在庫の 一部を売却することや他の作物の国際相場が高騰していたため売却益が増加したことから、資金にゆとりが あることで対応が可能としている。 本措置でも国内価格は上昇 輸出数量割当は、輸出を制限することで国内の穀物相場の値上がりを抑えるために実施されたが、 ウクライナの穀物相場は、国際相場の上昇までには至らないものの、政府の見込みを上回る上昇を示している。 上へ
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