ALIC/海外トピックス

海外トピックス(WTO/FTA・貿易・安全・その他)

平成20年(2008年)分


◎ 韓印CEPA第11次交渉、年内妥結に向け努力
 【調査情報部 調査課 平成20年8月6日発】

◎ 中国政府、7部門共同で農民負担の軽減措置の推進を通知
 【調査情報部 調査課 平成20年7月3日発】

◎ − OECD-FAO報告 −
価格は高止まり、今後10年で小麦、トウモロコシは4割〜6割の上昇
 【調査情報部 調査課 平成20年5月30日発】

◎ 中国、冷凍豚肉などの輸入暫定税率を6月から引き下げ
 【調査情報部 調査課 平成20年5月30日発】

◎ FAO:2008年は3.8%増の穀物生産と見る一方、価格は高止まり
− 小麦8.7%増、粗粒穀物1.6%増、コメ2.3%増 −
 【調査情報部 調査課 平成20年5月23日発】

◎ 中国農業部、四川省大地震の防救災対策などを手配
 【調査情報部 調査課 平成20年5月13日発】

◎ 中国商務部、食糧などの供給安定強化を指示
 【調査情報部 調査課 平成20年5月1日発】

◎ 中国、食糧などの香港経由の輸出管理を強化
 【調査情報部 調査課 平成20年4月16日発】

◎ FAO、穀物価格の高騰は最貧国の輸入額を5割以上増加
− 2008年は増産見通し、ただし、気候変動による影響を危ぐ −
 【調査情報部 調査課 平成20年4月15日発】

◎ 中国、ニュージーランドと自由貿易協定を締結
 【調査情報部 調査課 平成20年4月8日発】

◎ 中国、大豆の暫定輸入関税率を2008年9月末まで延長へ
 【国際情報審査役 平成20年3月10日発】

◎  韓−中国FTA第4次共同研究会結果(農業分野)
 【国際情報審査役 平成20年3月3日発】

◎ 米国政府が砂糖貿易を規制する砂糖産業からの提案を拒否
 【国際情報審査役 平成20年2月13日発】

◎ 米国及びメキシコ砂糖産業がNAFTAにおける両国間の砂糖貿易に
 一定の制限をかけることを提案
 【国際情報審査役 平成20年2月8日発】

◎ 韓-インドCEPA第9次交渉結果(農業分野)
 【国際情報審査役 平成20年1月9日発】

◎ 中国、暫定輸出関税など穀物の輸出制限へ
 【国際情報審査役 平成20年1月8日発】

◎ 韓印CEPA第11次交渉、年内妥結に向け努力  【調査情報部 調査課 平成20年8月6日発】  韓国外交通商部および農林水産食品部のプレスリリースや現地報道などによると、韓印CEPA (包括的経済連携協定)第11次交渉が、インドの首都デリーにおいて7月29日から8月1日にわた って開催された。韓印CEPA交渉は、2004年10月の両国首脳会談(デリー)で共同研究グループ 設立に合意、2006年1月の最終報告書採択と交渉開始の決定を受け、同年3月23日から交渉が開始 され、現在に至っている。    今回の交渉では、全体会議のほか4作業部会(商品譲歩、原産地・通関、サービス、投資)によ る協議が行われ、農畜水産物の関税交渉については、商品譲歩部会で議論された。商品分野に関し ては、韓国側の関心事項である工業製品の譲歩拡大が主な論点となったが、インド側も、韓国の農 畜水産物輸入に関し譲歩枠を拡大するよう要請した。韓国政府の発表では、こうした商品譲歩につ いて、インド側が一層の譲歩努力を示したことにより、通関・貿易の円滑化に関する協定内容の交 渉が事実上妥結し、サービス・投資分野の協定内容および自由化交渉でも大きな進展があったほか、 品目別の原産地基準など未解決の争点についても、妥結に向けた深みある意見が交換されたとされ る。また、インド側が韓国に対して求めた農畜水産物の譲歩について、韓国政府は今後、国内関係 団体との緊密な協議を通じ、拡大が可能かどうかを詳細に検討することとしている。  韓印両国は、投資など追加協議が必要な分野については8〜9月中に協議を行い、第12次交渉は 9月下旬に韓国・ソウル市で開催することで合意するとともに、2008年内の交渉妥結に向け努力す るとした。韓国交渉首席代表を務めた崔京林・外交通商部自由貿易協定政策局長は交渉後、韓国紙 の取材に対し、9月開催予定の次期交渉において大部分の争点が解消されるとの予測を示し、年内 妥結は可能であるとした。 上へ
◎ 中国政府、7部門共同で農民負担の軽減措置の推進を通知  【調査情報部 調査課 平成20年7月3日発】  中国農業部、国務院糾正行業不正之風弁公室(意訳:国務院業界不正気風矯正事務室)、 財政部、国家発展改革委員会、国務院法制弁公室、教育部および国家新聞出版総署の政府機関 7部門はこのほど、「農民負担の軽減任務の遂行に関する通知」(関于做好減軽農民負担工作 的通知:以下「通知」)を共同で公布した。    通知によると、一部の地方では、政策が十分に実行されず、農業プロジェクトでは多くの 料金を徴収し、みだりに罰金を科する行為が度重なる禁止にもかかわらずなくなることがなく、 また、農民および村などの集団に資金集めを割り当てるなどの行為が盛んに行われるなど、 農民に対する不合理な費用負担が増加し、もはや楽観できない状況となっているとされる。 通知は、農民の合法的な権益保護に重点を置くとともに、農村改革の着実な推進、監督管理の さらなる強化などを通じ、農民負担の再増加を確実に防止するため、以下のような措置をとる こととしている。 1  農民負担が比較的重く、問題の多い市・県などに対する検査や整理改善、全過程に対す   る監督制度の構築など、農業に関する無秩序な料金・罰金徴収問題について、重点的かつ   思い切った処理を実施する。 2  農業用水の料金徴収秩序を整理・規範化し、農業用水価格システムを完全なものとし、   政府と農民の耕地水利施設の整備責任の明確化など、農業用水に対する過剰負担問題を解   決する。 3 案件1件ごとに農民に協議・資金調達・労働を依頼する制度を完全なものとする。 4 @農民負担に関する費用徴収文書の審査制度   A農業関係価格および料金徴収の公示制度   B農村刊行物の公費による予約購読の限度額制度    (農村の小・中学校などにおける公費予約購読については、限度額を超過、または形を     変えた超過請求は不可)   C農民負担監督カード制度    (農業関係価格・料金などの政策内容を掲載・充実させて農家に配布)   D農民負担に関する責任追及制度−などを構築し、農民負担監理制度・法規を策定する。 5 農民負担に関する監督検査の強化 6 農民負担の軽減任務に対する組織的な指導強化 上へ

◎ − OECD-FAO報告 −
価格は高止まり、今後10年で小麦、トウモロコシは4割〜6割の上昇

 【調査情報部 調査課 平成20年5月30日発】

 − OECD-FAO報告 −
 価格は高止まり、今後10年で小麦、トウモロコシは4割〜6割の上昇

 経済協力開発機構(OECD)と国連食糧農業機関(FAO)が5月29日に公表したOECD-FAO
農業アウトルック(Agricultural Outlook 2008-2017)によると、今後10年間に向けて農産物価格は、
このところの記録的な価格水準から脱するものの、直近10年間の平均を上回る価格水準で推移するとの
見方が示されている。

 本報告書によると、直近10年間と今後10年間の実質価格(名目価格にインフレ率を加味したもの)の
価格上昇幅は、牛肉と豚肉は20%を上回る水準、砂糖は30%程度の水準、小麦、トウモロコシ、脱脂粉
乳は40%〜60%の水準、バター、油糧種子は60%以上の水準、植物油は80%を上回る水準が見込まれて
いる。

 また、過去2年間における穀物価格急騰の大きな要因については、在庫率が低下している中にあって、
世界の主要な穀物生産地域で発生した干ばつによるとしつつも、それは一時的なものであるとした。
その上で、原料価格の高騰、動物性脂肪をより多く消費するような食生活への変化、都市化、経済成長、
人口の増加は、今後10年間にわたり農産物価格に上昇圧力を加える揺るぎがたい基礎的要因であるとし
ている。
 価格上昇を下支えするもう一つの要因は、拡大するバイオ燃料需要であり、世界におけるバイオエタ
ノール生産量は、2000年から2007年には3倍となり、今後10年間でも現在の2倍の生産量となる年間
127,000百万リットルが見込まれている。一方、バイオディーゼル生産量は、2007年の年間11,000百万
リットルから2017年には年間24,000百万リットルまで拡大するとしている。バイオ燃料生産量の拡大は、
穀物、油糧種子、砂糖のさらなる需要の増加を招き、価格高止まりを下支えしているとしている。

 特に今後10年間にわたる植物油の消費量は、食料とバイオ燃料の両面の需要拡大に導かれ、ほかの
農作物よりも一段早い消費の伸びを示すとしている。



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◎ 中国、冷凍豚肉などの輸入暫定税率を6月から引き下げ

 【調査情報部 調査課 平成20年5月30日発】

 中国国務院関税税則委員会はこのほど、国務院の認可を得て「一部商品の輸入暫定税率の調整に関す
る国務院関税税則委員会の通知」(2008年5月28日付け税委会〔2008〕21号。以下「通知」)を発し、
6月1日から食品、植物油など26品目の輸入暫定税率を一定期間引き下げることを発表した。財政部の
関係者によると、この主要な背景として経済のマクロ調整政策があるとしており、このところ上昇を続
ける消費者物価指数(CPI)調整のためとみられている。通知によると、主な品目の引き下げ例は以
下のとおりとなっている。

1 食品(引下期間:2008年6月1日〜12月31日)
  冷凍豚肉(0203.22、0203.29):12%→6%
  ホエイおよび調製ホエイ(0404.10):6%→2%
  乳幼児用小売向け包装食品(1901.10):15%(暫定10%)→5%

2 食用植物油(同:2008年6月1日〜9月30日)
  オリーブ油(1509.10、1509.99、1510.00):10%→5%
  パーム油(1513.11):9%→5%

3 飼料(同:2008年6月1日〜12月31日)
  大豆かす(2304.0010、2304.0090):5%→2%
  落花生かす(2305.00):5%→2%

4 血清アルブミンおよび人用ワクチン(同:2008年6月1日〜12月31日)
  3002.10、3002.20、3002.9040、3002.9090:3%→0%

5 綿花(同:2008年6月5日〜10月5日)
  5201.00:関税割当てを超えた数量に対し、定められた算式により得られた税率に引き下げる。

6 その他(同:2008年6月1日〜12月31日)
  長方形に切断された大理石(4%→0%)、放送用磁気テープ(定められた算式により得られた
  税率)など


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◎ FAO:2008年は3.8%増の穀物生産と見る一方、価格は高止まり
− 小麦8.7%増、粗粒穀物1.6%増、コメ2.3%増 −

 【調査情報部 調査課 平成20年5月23日発】

 国連食糧農業機関(FAO)が5月22日に公表した「食料需給見通し(Food Outlook)」によると、
2008年の穀物生産量(小麦、粗粒穀物、コメ)は、小麦生産量の回復から、記録的となった前年を3.8
%上回る21億9,190万トンとされており、この内訳を見ると、小麦については8.7%増、粗粒穀物につ
いては1.6%増、コメについては2.3%増と見込まれている。
 
 この生産見通しは、4月に公表された「2008年最初の穀物需給見通しと食料情勢に関する報告
(Crop Prospects and Food Situation)」で予測された生産量を、数量で2,790万トン、率で1.2%上
回っていることから、今回の生産見通しでは、さらなる増産傾向が示されていることになる。
 


 一方、価格は、多くの農産物で直近数週間の価格が下落し始めているように、今後数カ月間の価格に
ついては、一段と下落する可能性は否定できないとしている。しかし、農産物生産への投入コスト自体
が増加していることなどの理由から、前年水準へ戻ることはないものとみている。

 また、生産量が増加しているにもかかわらず、価格が高騰している要因としては、主要な穀物輸出国
における国内需要の増加が挙げられており、輸出に仕向けられる数量が減少しているためとしている。
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◎ 中国農業部、四川省大地震の防救災対策などを手配

 【調査情報部 調査課 平成20年5月13日発】

 中国農業部は5月12、13日の両日にわたり、孫政才農業部長の主催により緊急会議を開催し、同月
12日に中国西南部で発生した大地震の防救災対策と当面の農業生産任務の推進について手配した。会議
では、農業部防救災指揮部を設置し、孫農業部長が指揮長に、担当各副部長がそれぞれ所管副指揮長に
就任するとともに、関係司局の主要担当者が構成員となることが決定された。また、孫農業部長は、
当面、以下の6項目について、重点任務として確実に実施することが必要であると強調した。

1 緊急に行動を起こし、全身全霊で地震に対する農業の防救災任務に当たること。
2 被災状況を明確に把握し、その動きを見極め、農業生産の救災および回復のためのよりどころと
  なる政策決定をすること。
3 感染サーベイランスを強化し、重大な動植物の感染症防御任務を適切かつ確実に実施すること。
4 全国を統一的にとらえる思想を確立し、被災地の市場への食糧および生鮮農産物の供給を確保する
  こと。
5 再建プランの策定に着手し、災害後の農業生産の回復計画を早期に立案すること。
6 統一的な計画に基づき、各方面に配慮しながら、当面の農業生産任務を全力で推進すること。

 なお、5月12日午後2時28分ころ(現地時間。以下同じ)に発生した大地震のマグニチュードは7.8、
震源は四川省ガワ・チベット族羌族(きょうぞく)自治州汶川県の北緯31度・東経103.4度の地点とさ
れる。新華通信社は、中国民生部の統計として、13日午前7時までの時点で四川省、甘粛省、陝西省、
重慶市、雲南省、山西省、貴州省および湖北省の8省市で50万余りの家屋が倒壊し、9,219人の死亡が
確認されたとしており、今後、さらに被害報告は増えるものとみられる。

 地震発生当日の12日午後11時40分には、温家宝国務院総理が四川省都江堰市に入り、臨時に設置され
たテント内で国務院地震救災指揮部(総指揮:温家宝国務院総理、副総指揮:李克強および回良玉の両
国務院副総理)の会議を開催し、@迅速な人命救助、A道路・水道・電気・通信の早期復旧、B十分な
医療体制の整備、C大量のテントなどの緊急調達と被災者の避難先の確保について指示した。

 また、同日夜には、北京市内で胡錦濤中国共産党総書記(兼国家首席)が中国共産党中央政治局常務
委員会を主催し、人民解放軍(中国共産党の軍事部門)や武装警察部隊、予備役民兵および医療衛生関
係者を迅速に派遣し、負傷者の手当や救援物資の調達、ライフラインの早期復旧、新たな被災の防止、
防救災活動の妨害行為やデマの取り締まりなどに当たらせることを決定した。
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◎ 中国商務部、食糧などの供給安定強化を指示

 【調査情報部 調査課 平成20年5月1日発】

 中国商務部新聞弁公室の2008年4月30日の発表によると、商務部は先日、各地方政府商務主管部門に
対し、全国農業・食糧業務テレビ電話会議における温家宝国務院総理の発言趣旨を確実に実行し、農業
生産の促進と農産物などの流通を円滑に行い、食糧安全と食糧の安定的な市場供給を強化するよう通知
した。
 
 通知は、農産物の生産者と販売企業の多様な提携の推進と市場需要に合わせた生産を指導し、流通
コストの低減と必要な農産物の供給確保を図るよう各地方政府商務主管部門に求めている。また、現代
的な農産物流通モデルとして、大手量販店などが生産基地から直接新鮮な農産物を仕入れる方式などの
積極的な推進ほか、企業が農村部の農家・店舗の販売網を十分に利用して、その地の農産物を仕入れて
都市部で販売し、工業製品を農村部へ、かつ農産物を都市部へという双方向の流通の実現などを提言し
ている。
 
 また、通知は、各地における食糧(穀物、豆類およびイモ類)、植物油、化学肥料の輸出入政策の
厳格な実施、各種政策の国のマクロコントロールとの整合性確保などに加え、食糧輸出の厳格な制御や
植物油輸入企業に対する輸入許可証発給の加速などをうたっている。併せて、各地方政府に対し、
重要農産物の備蓄を間断なく実施し、一定条件に合致する大型流通企業における食糧、食用植物油およ
び食肉類など重要な生活必需品の在庫増加を支援するよう求め、中央および地方備蓄の提携と備蓄商品
の管理強化を推進するなどとしている。
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◎ 中国、食糧などの香港経由の輸出管理を強化

 【調査情報部 調査課 平成20年4月16日発】

 中国商務部はこのほど、輸出秩序と香港市場への食糧・食糧粉の安定供給の確保などを目的として、
「香港への食糧および食糧粉供給と輸出管理問題に関する通知」
(2008年4月1日付け商貿発〔2008〕59号:実際の発表は4月中旬)を公布した。
 
 通知によると、食糧・食糧粉を中国内地から輸入する企業などは、あらかじめ香港特別行政区政府に
登録された者でなければならず、内地から食糧・食糧粉を輸出する企業が、香港の登録企業と輸出入契約
を締結したものであるかを確認するものとしている。また、内地から香港に輸出された食糧・食糧粉は、
香港内での使用に限定されて再輸出入が禁じられており、事実上、香港を経由した食糧・食糧粉の輸出禁
止措置といえる。対象となるのは、小麦、トウモロコシ、精米およびこれらの粉で、すべての貿易方式に
よる輸出が含まれる。
 
 中国は、2007年12月から穀物・穀物粉に対する輸出税還付を取り消した
(海外トピックス/WTOその他 平成19年12月19日発「中国、穀物などの輸出税還付を取り消しへ」参照)
ほか、2008年1月にはこれらの輸出関税を引き上げる措置を講じる
(海外トピックス/WTOその他 平成20年1月9日発「中国、暫定輸出関税など穀物の輸出制限へ」参照)
など、世界的に食糧需給がひっ迫し、国際食糧価格が高騰する中、広大な国土と人口を有する自国の食糧
安全保障強化に向けた姿勢をうかがうことができる。 

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◎ FAO、穀物価格の高騰は最貧国の輸入額を5割以上増加 − 2008年は増産見通し、ただし、気候変動による影響を危ぐ −  【調査情報部 調査課 平成20年4月15日発】  国連食糧農業機関(FAO)が4月11日に公表した穀物需給見通しと食料情勢に関する報告 (Crop Prospects and Food Situation)によると、穀物価格の高騰や海上輸送費、原油価格の上昇により、 最貧国の穀物輸入額は、2006/07年度は37%と大幅な上昇を示したが、2007/08年度は、さらにこれを上回 る56%の上昇が見込まれており、特に、アフリカの低所得食料不足国(LIFDC)での穀物輸入額の 増加は、74%の上昇を示すとしている。 2008年の穀物生産量は増加見通し FAOによる2008年最初の穀物生産見通しによると、前年を2.6%上回り、記録的となる21億6,400万トン が見込まれている。特に、増加要因としては、主要穀物生産国において、小麦の作付面積が著しく拡大す るためとしている。FAOによれば、2008/09年度の生産量が見通しのように拡大することになれば、 現在のひっ迫した需給状況は緩和されるとしている。 最も危ぐするのは気候変動  一方、昨年の同時期に行った2007年の生産見通しが、豪州、欧州での干ばつの発生で大幅に修正された ことから、見通しは天候次第であると警告しており、穀物在庫が減少している現在、気候変動の発生が 最も危ぐされるとしている。    FAOの見通しによると、世界全体における2007/08年度の穀物在庫は、前年の低水準をさらに2,100万 トン、率にして5%下回り、25年ぶりとなる4億500万トンと見通されている。    特にFAOでは、気候変動により穀物輸出国で生産量が大幅に減少することになれば、現在のひっ迫 した需給状況が長引き、価格にさらに上昇圧力が加わり、多くの国々において、すでに直面している経済 的な苦境がさらに悪化することを懸念している。 食料品価格の上昇で暴動が発生  穀物の輸出国、輸入国の中には、穀物価格の高騰から自国の食料品価格の上昇を抑制するため、 輸入規制の緩和、輸出規制、食料補助金や食料品の価格統制などの政策的な措置が見られるが、多くの 開発途上国では、パン類、コメ、トウモロコシを原料とする製品、牛乳・乳製品、畜肉、食用油脂、 大豆など生活の基本となる食料品の価格が、急激に上昇している。    食料品の価格が高騰することで、エジプト、カメルーン、コートジボワール、セネガル、 ブルキナファソ、エチオピア、インドネシア、マダガスカル、フィリピンやハイチでは、暴動などが 発生したと報告されており、パキスタンとタイでは、軍隊が食料を守るため、耕作地や穀物倉庫に 配備されたとしている。  消費支出額に占める食料品支出額の割合は、先進国では約10〜20%であるのに対し、食料純輸入国であ る多くの開発途上国では60〜80%となり、消費支出額に占める食料品支出額の割合が高くなることから、 最貧国に近づくほど食料品価格の上昇による影響は大きくなるとしている。 FAO、資金的な支援を呼びかけ  FAOによると、国際金融機関や資金に余裕のある国に、食料品価格の上昇で苦境を強いられている 国々に対して、支援の増強や進行中の支援活動について見直すよう強力に後押しするとしている。FAO の試算では、食料品価格の上昇についての対策に12億〜17億ドル(約1千2百億〜1千7百億円: 1ドル=102円)が必要とされ、これらの資金が提供されることになれば、貧しい農家に対し、今後の 食料供給の増産に向けた必要な支援を提供することが可能としている。  上へ

◎ 中国、ニュージーランドと自由貿易協定を締結  【調査情報部 調査課 平成20年4月8日発】  2008年4月7日、北京市の人民公会堂において、中国の陳徳銘商務部長とニュージーランド(NZ)の ゴル・フィル外務大臣が、両国首相列席の下、自由貿易協定(FTA)の合意文書に署名した。 中国・NZFTAは、2004年11月に両国の共同宣言に盛り込まれて同年12月から実質的な交渉が開始され、 2008年1月21日に交渉が終了していた。中国はこれまでに、ASEAN諸国、香港、マカオ、チリおよび パキスタンとFTAを締結しているが、先進国との締結は初めてとなる。    なお、協定では単なる物品の貿易だけでなく、サービスや人の移動、投資、知的財産権などについても 触れられており、FTAの締結により、両国はこれらの分野も含めた自由化を図ることとなる。    協定文書および中国商務部の発表などによると、NZは2015年末までに、中国からの輸入品に対する すべての関税を段階的に撤廃し、そのうち63.6%の品目については、協定発効とともに即時ゼロ関税と する。また、中国は2018年末までにNZからの輸入品目の97.2%の関税について段階的に撤廃するととも に、24.3%の品目については、協定発効とともに即時ゼロ関税とする。最初の関税引き下げについては、 2008年10月1日に実施される予定。 上へ

◎ 中国、大豆の暫定輸入関税率を2008年9月末まで延長へ  【国際情報審査役 平成20年3月10日発】  中国財政部によると、2008年3月31日までとなっている黄色大豆(関税分類番号1201.0091)の 輸入に係る1%の暫定関税率の適用期限が、同年9月30日まで延長されることとなった。国務院 の批准を経て、国務院関税税則委員会が近く通達を発する見込み。    中国政府は、大豆の輸入コストおよび食糧(穀物、豆類及びイモ類)価格高騰を抑制するため、 3%と規定されている黄色大豆の輸入関税率を、2007年10月1日から12月末までの3カ月間、 暫定的に1%に引き下げ、さらに2008年3月末までこれを延長していた。中国の食糧の自給率は、 おおむね9割以上の水準にあるとされるが、こうした中で大豆の自給率は3割前後とされる。海関 統計によると、2007年の食糧輸入量3千3百万トン弱のうち、大豆輸入量は3千1百万トン弱で 約93.5%を占めている。 上へ

◎ 韓−中国FTA第4次共同研究会結果(農業分野)  【国際情報審査役 平成20年3月3日発】  韓国農林部によると、第4次 韓−中FTA共同研究会が2月18〜20日に韓国済州島で開催された。  今回の共同研究会では、農業、衛生植物検疫措置 (SPS)などの分野に関して協議され、 農業分野では、主な技術的な事項について合意された模様であるが、農業分野における最大の課題で ある農業保護措置などについては次回の研究会に委ねられることとなった。  一方、衛生植物検疫措置(SPS)については、情報交換、技術協力などの協力関係を構築すること で合意した。  なお、次回の研究会は、中国北京市で4〜6月に開催することにしている。 上へ

◎ 米国政府が砂糖貿易を規制する砂糖産業からの提案を拒否  【国際情報審査役 平成20年2月13日発】   2008年2月8日付けプレスリリースによると、米国農務省(USDA)は、シェーファー農務長官と シュワブ通商代表の連名により、北米自由貿易協定(NAFTA)下において自由化された砂糖貿易を 規制する砂糖産業からの提案を拒否したことを発表した。声明の中で、統合された甘味料の市場は 米国・メキシコ両国の関係者の利益になるとともに、NAFTAの再協議を行うことは米国の輸出企業 の利益を損なう恐れがあるとしている。 上へ

◎ 米国及びメキシコ砂糖産業がNAFTAにおける両国間の砂糖貿易に   一定の制限をかけることを提案  【国際情報審査役 平成20年2月8日発】  米国(アメリカ)及びメキシコの砂糖産業は2008年1月より自由化された砂糖貿易について、 一定のコントロールの下で貿易が行われるよう、両国政府に対し提案を行った。    提案は米国からの異性化糖の輸出は無条件で行えることを確認する一方、メキシコから米国 への砂糖輸出は、年間30万トンに制限するとともに、追加枠として、米国から輸入される異性 化糖に置き換えられてしまった砂糖のうち、最初の2年間は70万トンを超えた砂糖について、 その超過部分の7割を、それ以降はその超過部分の6割の輸出が米国に対して輸出できるとして いる。  その他、メキシコにおいて砂糖からのエタノール生産を促進する提案も含まれている。  ただし、米国では、この提案については砂糖ユーザーである食品産業業界や、異性化糖に対 する対抗措置を恐れる異性化糖業界などから反対が表明されており、政府がこの提案をどのよ うに受け取るかは不明である。しかし、次期農業法の内容へこの提案に沿った文言を反映させ ることも含め、政府による検討が行われている。 上へ

◎ 韓-インドCEPA第9次交渉結果(農業分野)  【国際情報審査役 平成20年1月9日発】  韓国農林部によれば、12月18日〜21日、韓-インドCEPA第9次交渉がインドで開催された。  今回の交渉で両国は、商品譲歩案に関する協議が行われ、インド側からはインドが関心を持つ 農産物に対して譲歩改善が要求され、韓国側は農業の全般的なセンシティブ性を説明する一方、 インド側の譲歩改善要求は受容できる余地が少ないという立場を表明した模様である。  韓国農林部は、インド側が関心を表明した品目に関して、今後、農業関連団体などとの緊密な 協議を通じて、譲歩改善の有無を検討するとしている。  なお、当該交渉は、2007年末までの妥結を目標にしていたが、引き続き交渉が行われることと なり、第10次交渉は2008年4月にソウルで開催することで暫定合意された。 ※ CEPA(Comprehensive Economic Partnership Agreement、包括的経済連携協定)は、   商品交易、サービス交易、投資、経済・技術協力など経済関係全般を包括するもの。 上へ

◎ 中国、暫定輸出関税など穀物の輸出制限へ 【国際情報審査役 平成20年1月9日発】  中国財政部は2007年12月30日、国務院の認可を経て、2008年1月1日から12月31日までの1年間 にわたり、小麦、トウモロコシ、モミ、コメ、大豆などの未加工穀物及びそれらの加工済み穀物粉 (以下「穀物及び穀物粉」)57品目(関税番号別)に対し、5〜25%の暫定輸出関税を賦課すると 発表した。同部新聞弁公室によると、麦類及びその粉の暫定関税率はそれぞれ20%及び25%、 トウモロコシ、モミ、コメ及び大豆は5%、トウモロコシ・コメ・大豆の粉は10%などとされる。    中国は12月14日付け財政部・国家税務総局通知により、穀物及び穀物粉84品目の輸出税還付を 同月20日から取り消しており(平成19年12月19日発海外トピックス「中国、穀物などの輸出税還付 を取り消しへ」参照)、国際食糧価格高騰により穀物及び穀物粉の内外価格差が拡大し、中国から の穀物などの輸出が加速していることを背景に、国内の食糧の供給確保と価格安定をより一層強化 する狙いがあるとみられている。  また、2008年1月1日、商務部は国内の食糧の価格安定と供給確保のため、同日から当面の間、 穀物及び穀物粉の輸出割当措置を実施することを発表した。商務部によると、同措置は世界貿易機関 (WTO)の規則に沿った臨時的なものであり、その実施期限は国内市場の需給動向を見ながら決定 するとしている。 上へ

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