ALIC/駐在員トピックス

海外トピックス(畜産)

平成18年(2006年)3月分


◎欧州委、鶏卵および家きん肉部門に対する新たな財政支援策案を公表
【ブリュッセル駐在員事務所  平成18年3月29日発】
◎ノルトライン・ヴェストファーレン州の豚の移動を一時停止(ドイツ)
【ブリュッセル駐在員事務所  平成18年3月29日発】
◎USDAによるBSE疫学調査
【ワシントン駐在員事務所  平成18年3月24日発】
◎スウェーデンの猟鳥の農場でN5型の鳥インフルエンザを確認
【ブリュッセル駐在員事務所  平成18年3月17日発】
◎米国のBSE3例目、免疫組織化学検査も陽性
【ワシントン駐在員事務所 平成18年3月16日発】
◎ミャンマーで高病原性AI発生
【シンガポール駐在員事務所 平成18年3月14日発】
◎USDAによるBSE擬陽性例に関する記者発表
【ワシントン駐在員事務所 平成18年3月13日発】
◎リコッタチーズなどのホエイ製品が、筋肉疲労に回復効果(豪州)
【シドニー駐在員事務所 平成18年3月13日発】
◎米国農務省、BSE擬陽性例を確定診断に
【ワシントン駐在員事務所 平成18年3月12日発】
◎牛肉生産量の4割は最終的に穀物肥育で(豪州)
【シドニー駐在員事務所 平成18年3月9日発】
◎ 豪州、米国のFTAは両国経済に利益(豪州)
【シドニー駐在員事務所 平成18年3月9日発】
◎ ドイツ西部の養豚場で豚コレラが発生
【ブリュッセル駐在員事務所  平成18年3月6日発】
◎ スウェーデンで初のBSE感染牛を確認
【ブリュッセル駐在員事務所  平成18年3月3日発】
◎ コロンビアと米国、自由貿易協定(FTA)に向けた交渉終了
【ブエノスアイレス駐在員事務所  平成18年3月2日発】

◎ 欧州委、鶏卵および家きん肉部門に対する新たな財政支援策案を公表 

【ブリュッセル駐在員事務所  平成18年3月29日発】
 
 欧州委員会は3月29日、最近の鳥インフルエンザ発生に伴う家きん肉や卵の消費の落ち込みによる
市場の低迷に対処するため、EUによる市場政策に対する財政支援策案について公表した。
 
 現在、家きん肉部門に対する市場政策は輸出補助金のみであり、また、家きん肉や卵の生産者に
対するEUの補助は、疾病発生時の処分経費などの疾病対策に限られていた。今回の提案では、現在
の市場低迷は疾病の発生を原因とするものであるとして、この疾病対策の適用を拡大し、各国が状況
に応じ実施する特別な市場政策に対しEUが50%の補助を行うとするものである。
 欧州委員会は4月末までに本提案に対する欧州議会および欧州理事会の承認を取り付け、その後、
各加盟国からの政策提案を受け付けたいとしている。
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◎ ノルトライン・ヴェストファーレン州の豚の移動を一時停止(ドイツ) 【ブリュッセル駐在員事務所 平成18年3月29日発】   欧州委員会は3月28日、ドイツのノルトライン・ヴェストファーレン州での新たな豚コレラの 発生に伴い、同州域内および域外への豚の移動を一時停止することを決定した。これは、これまで に同州内において、3月初めに3例の同疾病が確認されたことに伴い管理対策を実施してきたが、 今回4例目が確認されたことにより採られたものである。この決定は、10日間適用され、来週 (4月4日)に開催されるフードチェーン・家畜衛生常設委員会で期間の延長などについて検討 される予定である。
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◎ USDAによるBSE疫学調査 

【ワシントン駐在員事務所  平成18年3月24日発】
 
 米国農務省動植物検疫局(USDA/APHIS)は3月24日、アラバマ州で飼養されていた
BSEの感染牛に関する疫学調査において、発掘した同牛のと体から得たDNAが、国立獣医
学研究所(NVSL)が保管していた当該牛の脳のサンプルのDNAと一致したことを公表し
た。当該DNAの情報は、今後の疫学調査において産子を確認する際などに使用されることと
なる。
 また、今回発掘されたと体からは、今後の疫学調査を進める上で重要な情報となる耳標や烙印
などの当該牛の個体識別に関する情報は確認できなかった。
 なお、APHISは同月23日、当該牛は2005年に雄の子牛を出産しており、当該子牛は同年
7月に地元の家畜市場を経由して販売されたものの、既に殺処分されたことを公表した。
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◎ スウェーデンの猟鳥の農場でN5型の鳥インフルエンザを確認
 
【ブリュッセル駐在員事務所  平成18年3月17日発】
 
 欧州委員会は3月17日、スウェーデン当局から、同国東岸のオスカッスハムン(Oskarshamn)近郊
の猟鳥の農場のマガモで、H5型(H5N1型と強く疑われる)の高病原性鳥インフルエンザが確認
された報告を受けたことを発表した。このサンプルは、H5N1型のウイルスによるものであるかを
同定するため、EUの参照研究所に送付された。本件がH5N1型のウイルスによるものと同定され
た場合、EU域内の同型のウイルスによる商業用の鳥への感染が確認される2件目の事例となる。
 
 同国では2月28日に野生のカモでH5型のウイルスが確認されており、このカモが発見された地点
を中心に監視区域を設定していた。この農場は、この監視区域内にあるマガモ500羽とキジ150羽を
飼育する猟鳥農場である。
 同国当局は、EU指令および決定に基づき、当該農場のすべての鳥を殺処分、周辺の他の農場での
監視を強化、施設の消毒などを実施するとしている。なお、当該農場の鳥は、過去数週間、食鳥処理、
出荷向けには、移動していない。
 
 今回確認されたH5N1型のウイルスは、監視区域内での対策を強化したことにより確認されたもの
であるが、このウイルスは1羽のマガモからしか検出されておらず、そのほかの鳥は健康な状態に
あるという。この状況をはっきりさせるため、当該農場の鳥を処分する際に、さらなる検査を実施
することとしている。
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◎ 米国のBSE3例目、免疫組織化学検査も陽性
 
【ワシントン駐在員事務所 平成18年3月16日発】
 
 米国農務省動植物検疫局(USDA/APHIS)は3月15日夜、先にBSE陽性であることを
公表したアラバマ州で飼養されていた牛について、免疫組織化学検査(IHC)についても同日陽性
との結果を得たことを公表した。
 なお、当該牛は当初サンタガートルーディス種とされていたが、その後の調査により肉用牛交雑種
と考えられると訂正された。USDAは、当該牛の品種や個体識別に関する情報を確認するため、
飼養農場内に埋却されている当該牛の死体を近日中に発掘して回収するとしている。
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◎ ミャンマーで高病原性AI発生
 
【シンガポール駐在員事務所 平成18年3月14日発】
 
 ミャンマーのヤンゴンにある畜水省家畜改良獣医局は、国際獣疫事務局(OIE)に対して、
同国でH5N1亜型高病原性鳥インフルエンザ(AI)が発生したと3月12日付けで報告し、
13日に受領された。発生地は、ヤンゴンの北方約600キロメートルにある同国で第二の都市
マンダレーの地域で、これまでに家きん780羽が死亡または処分されたとしている。病性鑑定は
ヤンゴンの中央獣疫診断所(CVDL)とマンダレーの地方獣疫診断所(RVDL)でなされ、
対応処置は、殺処分を原則とし、検疫と地域設定による移動制限としている。
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◎ USDAによるBSE擬陽性例に関する記者発表
 
【ワシントン駐在員事務所 平成18年3月13日発】
 
  3月13日、米国農務省(USDA)は新たなBSE陽性結果を得たことを発表した。その
概要は次のとおり。

 「本日、3月10日にBSEスクリーニング検査により擬陽性とされた牛についてウエスタン
ブロッド検査陽性との結果を得た。当該牛はアラバマ州内の農家飼養されていた歩行困難牛
(肉用牛(Santa Gertrudis種)雌牛)であり、地域の開業獣医師により採材され、USDA
との契約施設であるアラバマ大学の施設にて急速検査陽性との結果を得たもの。当該牛は一年
未満農場で飼養されていたが、生産地、生産農場は現時点では不明。疫学調査に参加している
獣医師は、歯列により、当該牛は老牛であり、10歳以上である可能性を示唆している。アラバマ
州の家畜衛生当局と共同で疫学調査を進行中であり、米国保健社会福祉省(HHS)食品医薬品局
(FDA)との共同調査により、飼料の給与歴を調査する予定。免疫組織化学(IHC)検査に
ついては現在実施中であり、今週遅くに結果が得られる予定である。USDAの検査条件に照らし、
2種類の確定診断検査の一つであるウエスタンブロッド検査陽性であるので、IHCの結果を
待たずに陽性と結論付ける。当該牛は農家で埋却処分されており、食料および飼料チェーン
には入っていない。」
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◎ リコッタチーズなどのホエイ製品が、筋肉疲労に回復効果(豪州)
 
【シドニー駐在員事務所 平成18年3月13日発】
 
 チーズの副産物であるホエイ製品を摂取することが、運動後の筋肉疲労に回復効果があるとの
研究報告が発表された。これは、3月12日にメルボルンで開催された英連邦スポーツ会議で
発表されたもの。

 この研究の草分け的存在であるディーキン大学によると、激しいトレーニング後の男性に
一定量のホエイを摂取させたところ、筋肉疲労に対して大きな回復効果があったとしている。
従来、ホエイ製品は、ボディービルダーなど特定の需要者が主な対象とされ、スポーツ科学者
や栄養士は、その効果に目を向けない傾向があった。同大学では、ホエイ製品は、身体にとって
早く消化でき、高品質アミノ酸の理想的な供給を促せるとしており、また、理想的なホエイ製品
として、リコッタチーズの摂取を勧めている。
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◎ 米国農務省、BSE擬陽性例を確定診断に
 
【ワシントン駐在員事務所 平成18年3月12日発】
 
 米国農務省は3月11日、同月10日夜に現在実施しているBSEであるかどうかを確認する
サーベイランスにおいて、急速検査によりBSE擬陽性との結果を得たことを公表した。
現在、連邦獣医局検査施設(NVSL)において免疫組織化学検査(IHC)による検査を、
同省農業研究局においてウエスタンブロッドによる検査をそれぞれ行っており、検査結果が
出次第これを公表するとしている。なお、検査結果が出るまでには4日から7日を要する
見込み。
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◎ 牛肉生産量の4割は最終的に穀物肥育で(豪州)
 
【シドニー駐在員事務所 平成18年3月9日発】
 
 豪州家畜生産者事業団(MLA)によると、豪州で生産される牛肉の4割が、最終的に穀物
で肥育したものであることが明らかとなった。これは、3月1日に豪州のキャンベラで開催
された農業観測会議で発表されたもの。MLAでは、穀物肥育が増加した最大の要因として、
日本向け輸出の拡大と豪州国内のスーパーマーケットからの需要にあるとしている。

 特にここ最近、国内の牛肉消費については、より品質の高いものを求める声が強いことから、
最終的に穀物で肥育する割合が高くなっていると分析している。一方、従来の牧草肥育に
ついては、国内向けの穀物肥育は、通常、100日程度であり、牧草肥育が肉牛生産の基本である
ことは変わらないとして、その重要性を伝えた。MLAでは、今後、穀物肥育の牛肉生産が
さらに拡大するためには、米国に対して高い飼料コストなどの問題を解決する必要があると
している。
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◎ 豪州、米国のFTAは両国経済に利益(豪州)
 
【シドニー駐在員事務所 平成18年3月9日発】
 
 豪州連邦政府のトラス副首相兼貿易相は3月8日、米国・ワシントンで開催された豪米FTA
に関する共同会議の終了後、声明を発表し、発効して1年を経過した米国とのFTAは、両国の
経済に利益をもたらしていると評価した。FTA発効に伴う豪州の対米輸出について同相は、
ラムなどの羊肉輸出額が発効前比べて20%増の3億5千万豪ドル(308億円:1豪ドル=88円)
に、乳製品の輸出額は同35%増の1億6,500万豪ドル(145億2千万円)、その他サービス部門
の輸出が同4.1%増の45億豪ドル(3,960億円)にそれぞれ拡大したとし、FTAが豪州経済に
貢献していることを強調した。

 豪米FTA発効から1年を経過した今回の会議では、関税率についての見直しなど、さまざまな
問題について意見が交わされ、豪州側からは、砂糖の対米輸出クオータの拡大や羊肉輸出の関税
引き下げなどについて提案が行われた。
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◎ ドイツ西部の養豚場で豚コレラが発生
 
【ブリュッセル駐在員事務所  平成18年3月6日発】
 
 欧州委員会は3月6日、同月3日にドイツ政府よりノルトライン・ヴェストファーレン州の
3カ所の養豚場において豚コレラの発生の報告があったことについて公表した。同地方では、
イノシシにおいて同病の感染がみられているが、今回の養豚場での豚の感染がイノシシに由来
するものかどうかさらなる検査を行うとしている。

 ドイツ政府は、今回の豚コレラの発生を受け、理事会指令に基づき、発生養豚場とそれより
半径1キロメートル以内に位置するすべての養豚場の豚の殺処分を実施し、また同3キロ
メートル以内に防疫地域(最低30日間の移動制限)、同10キロメートル以内に監視地域(最低
21日間の移動制限)を設定した。さらに、同20キロメートル以内を緩衝地域とし、同地域の
豚についても最低10日間の移動制限を課すこととしている。
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◎ スウェーデンで初のBSE感染牛を確認
 
【ブリュッセル駐在員事務所  平成18年3月3日発】
 
 欧州委員会は3月3日、スウェーデンで初めてのBSE感染牛がEUの参照研究所(CRL)
により確認されたことを発表した。スウェーデンは、旧加盟15カ国で唯一BSE未発生国であった。
 感染が確認された牛は、12歳齢の雌牛で、乳熱の病歴があったため、処分された牛であった。
EUでは、すべての死亡牛(病気のため処分された牛を含む)は、EUの規則により、BSE検査
が義務付けられている。

 なお、EUの通常にと畜される牛でのBSE検査は、30カ月齢を越える牛全頭であるが、
スウェーデンについては、30カ月齢を超える牛の無作為サンプリングで、年間少なくとも1万頭
という特例措置が設けられている。今回の確認を受け欧州委員会は、同国に対する特例措置について
再検討することとしている。
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◎ コロンビアと米国、自由貿易協定(FTA)に向けた交渉終了
 
【ブエノスアイレス駐在員事務所  平成18年3月2日発】
 
 コロンビア通商産業観光省は2月27日、米国と実施してきたFTA交渉が終了したと発表した。
 プレスリリースでは「このことは経済発展の確実性が飛躍し、われわれの生活を豊かにする」、
「経済成長のため機会は開かれた。この新しい機会や挑戦に対して上首尾となるよう政府や民間
部門、そして市民団体が一体となって作業を続けたことが、素晴らしい結果を生んだ」などと
評価している。
 なおこのFTAによりコロンビアの米国向け輸出は、最初の3年間で14.4%増加すると予測
されている。
 
 また農業部門については、「低価格製品に応じることによる消費者の利益と、国内市場保護
の観点かつ合法的に利益を得ている生産者利益とのバランスを探るため、交渉には細心の注意
が払われた」「また、例えば花きのように米国の市場を占有することに役立ってきた“アンデス
貿易促進麻薬根絶法(ATPDEA)”の優遇を、(このFTAにより)確実なものにすること
になったことが重要な成果である」としている。

 なお畜産関係では、特筆することとして鶏肉が例示されており、「後四分体の過度の輸入から
国内市場を守るため、@高関税、A18年間をかけて関税を削減するが6年間は免除、B生鮮また
は調味鶏肉の輸入に対し26,000トンの枠設定−と一連の対策を措置した」としている。

→「◎ ペルーと米国、自由貿易協定(FTA)に向けた交渉終了」も参照のこと
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