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小麦の国際需給等について

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最終更新日:2010年9月6日

小麦をめぐる国際情勢

 ロシアは8月15日から12月末まで小麦を含む穀物等(小麦、大麦、ライ麦、トウモロコシ、小麦粉等の穀物粉)の輸出を禁止した。この措置は、干ばつが冬小麦の収穫と春小麦の生育に悪影響を与えていることなどから、国内需給の安定を図るものである。その後、プーチン首相が禁輸期間の長期化を示唆しているが、これはロシア西部の小麦生産地域では干ばつにより土壌水分が低下し、冬小麦の作付開始時期が遅れており、冬小麦の収量への不安があることを理由とするものである。
また、ウクライナは冬小麦の収穫期の豪雨などによる単収減で生産が減少したことから、輸出規制を検討していたが、決定を延期した。カナダも春小麦の産地での洪水による作付減などで不作が予想されている。

世界の小麦需給と価格動向

 米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)が8月12日に公表した8月の世界農産物需給推計の月次報告によると、2010/11の世界の小麦生産は、主要生産国であるカナダやロシアでの大きな減産により645.7百万トンと2009/10(見込み)の680.3百万トンを5.1%下回ると予想する一方で、消費量は2.0%増加し、その結果、期末在庫量は9.9%減少すると予想している。
 このような中、シカゴ商品取引所等の穀物価格は2008年の高騰時から低下傾向で推移していたが、2010年6月以降上昇に向かい、特に小麦価格が目立って上昇し、8月の平均価格は7月の平均価格に比較して122%となった。

日本の飼料需給への影響等

 ロシアの干ばつ・穀物禁輸による我が国の飼料穀物需給への影響については、
(1)我が国では、飼料原料としての小麦の使用量が少ない(2009年の輸入実績は9.4万トン)。(2)CIS諸国からの穀物輸入は、ほとんど行われていない。(3)2010/11の小麦在庫率(世界計)は28%と予想されており、FAOが定める適正在庫水準(25〜26%)を上回っている。(4)我が国の主要な飼料原料はトウモロコシであり、主な輸入先の米国では豊作である(2009年の飼料原料輸入1433万トンのうちトウモロコシ1151万トン、うち米国から1107万トン(シェア96%))。等から、現時点においては限定的なものと考えられる。
 しかしながら、飼料穀物はトウモロコシ、低級小麦、大麦などの間で代替性があること等から、引き続き注視していく必要がある。
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農畜産業振興機構 調査情報部 審査役 (担当:斎藤孝宏)
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