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FAO:ラニーニャ現象による農業への影響について

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最終更新日:2010年12月28日

 国連食糧農業機関(FAO)が12月24日に公表した「穀物見通しと食料事情に関する報告(Crop Prospects and Food Situation)」によると、ラニーニャ現象による農業への影響が指摘されている。ラニーニャ現象は、南米ペルー沖の太平洋赤道付近で海面温度が低下することによる現象(エルニーニョ現象の逆)を指し、気候変動の要因の一つとされる。ラニーニャ現象は6月以降見られ、今後は徐々に弱まりつつあるとされるが、気象専門機関の話として、2011年3月まで継続するとしている。
 
豪州地域などへの影響
 豪州では、エルニーニョ現象では乾燥した気候の影響を受けることになるが、ラニーニャ現象では降雨量は記録的に増加し、ソルガムの作付けは良好な生育環境となるが、収穫期にある小麦は、降雨によりその品質に悪影響が見られている。
 アジア地域では、ラニーニャ現象はモンスーンをより活発化するとされ、インド北西地域で激しい降雨が予想されている。
 
中南米地域への影響
 ブラジル北部地域では降雨量は増し、作付けを終えた大豆、トウモロコシは良好な生育環境となるが、ブラジル南部地域では、降雨量が記録的に減少することでトウモロコシの生育が妨げられている。同様にアルゼンチンでも降雨量が減少し、作付けの遅れ、また、作付け後の生育への影響が指摘されている。
 
北米地域への影響
 米国では、冬期の降雨量は例年水準を下回るとされている。また、春期には南部地域から中部大西洋沿岸地域にかけて干ばつ被害が予想され、冬小麦と来年の春穀物、綿花への影響が指摘されている。主要な冬小麦の生産州であるオクラホマ州では、すでにこの2カ月間、乾燥した天候が続いており生産量への影響が懸念されている。
 
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