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欧州委、目下の養豚危機に対応するため豚肉の民間在庫補助発動を表明

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 欧州理事会によると、2011年1月24日に開催された農相理事会の主要議題の1つとして危機に直面している豚肉産業への対応が議論され、欧州委員会より豚肉の民間在庫補助を発動することが表明された(注)。EUの豚肉産業は、昨年来の飼料原料価格の高騰による生産コストの増大に加え、ドイツにおける飼料へのダイオキシン混入問題の顕在化による価格低迷といういわばダブルパンチに見舞われている状態となっており、前議長国であったベルギー代表からの民間在庫補助の早期発動の要請に欧州委員会が応えた形となった。現在、関係規則の施行手続きが進められており、1月28日の官報掲載を経て2月1日より適用される見込みとなっている。
注:域内の豚肉市場が低迷した場合、豚肉を一定期間保管する者に対し保管に要する経費を交付する制度。最近では2007年10月から12月までEU全域で発動されたほか、2008年12月に発生したアイルランド産豚肉のダイオキシン混入事件を受け、事件に無関係な同国産豚肉を本制度を用いて一時的に市場隔離した。
 図1は豚枝肉卸売価格の週ごとの推移を示したものであるが、ドイツにおいては、ダイオキシン問題が顕在化した昨年12月末以降急落しており、2011年第2週時点では前月比15%安となっている。現在のところドイツ以外の主要加盟国では、ドイツほどの大きな変動は観察されていないが、今般の民間在庫補助発動によりEU豚肉市場の安定化が図られるかが注目される。
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併せて養豚に関するアドホック作業部会設置も発表

 また、欧州委員会は、効果的な支援措置、保険制度、域外におけるプロモーション活動など豚肉産業に関する中期的な課題を検討するため、利害関係者や加盟国の専門家から構成されるアドホック作業部会(臨時作業部会)を設置することも併せて表明した。「アドホック(ad hoc)」とあえて明示していることは、この作業部会が常設の議論の場ではなく今回限りのものという欧州委員会の方針がうかがえる。
【前間 聡 平成23年1月25日発】
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