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米国農務省、2010年産のトウモロコシの期末在庫見通しを据え置く

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 米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)が4月8日に公表した4月の世界農産物需給推計の月次報告によると、米国における2010/11穀物年度(2010年9月〜2011年8月。以下、「2010/11年度」)のトウモロコシと大豆の期末在庫は前月の予測値に据え置かれた。

トウモロコシはエタノール向けを増やし飼料等向けを減らす

 トウモロコシについては、総供給量、総消費量、期末在庫とも前月の値にすべて据え置かれた。ただし、総消費量の内訳を見ると、エタノール向けはガソリン価格の上昇に伴いエタノール生産のインセンティブが高まることを受け、5000万ブッシェル上方修正され過去最高となる予測値が付けられた一方、飼料等向けトウモロコシの飼料需要が小麦に流れるとの見込みから5000万ブッシェル下方修正されている。この結果、期末在庫の予測値は据え置かれた。
 USDAは2010/11年度の平均農家販売価格は、前月の予測の下値をブッシェル当たり0.05ドル上げ、上値を0.05ドル下げて5.20〜5.60ドルになると予測している。市場関係者は、3月31日に公表された3月1日現在のトウモロコシの在庫量が予想を大幅に下回ったことから、今回の報告では期末在庫は前月の予測値より少なくなるものと見ていた。
 今回のUSDAの在庫予測の据え置きは、市場関係者の下げ予想を覆すものであったことから、この公表直後にシカゴのトウモロコシの先物価格は一時前日終値から0.15ドル近く値を下げた。しかし、在庫が記録的に低水準にありトウモロコシの需給がひっ迫基調にあることに変わりないことからすぐに値は戻り、結局、前日の終値よりわずかに高値で引けた。

大豆の需給予測は前月の数値を据え置く

 大豆についてもトウモロコシ同様、総供給量、総消費量、期末在庫のいずれも前月の値に据え置かれた。総消費量のうち国内消費量については、搾油向けが500万ブッシェル下方修正され、種子等向けが1500万ブッシェル上方修正されたことにより1000万ブッシェル上方修正されている。一方、輸出については、ブラジルやパラグアイの競合輸出国が豊作見込みであることから1000万ブッシェル下方修正し、その結果相殺されて、期末在庫は据え置かれた。
 平均農家販売価格は、前月の予測の下値をブッシェル当たり0.15ドル上げ、上値を0.35ドル下げて11.25〜11.75ドルになるとしている。
 USDAの在庫予測が据え置かれたことから、公表直後にシカゴの大豆の先物価格は急落したが、すぐに値を戻して前日の終値から0.10ドルほど値を上げた。
表1
【中野 貴史 平成23年4月11日発】
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