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米国農務省、韓国における牛肉の販売促進予算の追加配布を決定

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 米国農務省(USDA)は5月4日、2011年度の海外における米国農畜産物の販売促進事業(MAP)について、米国食肉輸出連合会(USMEF)に100万ドルの追加配布を行うことを発表した。MAPの2011年度予算については4月29日、USMEFに対して1,626万ドルの配分額が決定されていたところである。また、USMEFはこの予算を韓国における米国産牛肉の販売促進に用いることを表明しており、USDAもこの決定を歓迎している。

韓国への牛肉輸出を伸ばすためには、さらなる販売促進の強化が必要

 USMEFは同日、100万ドルの追加配布とは別に、韓国における非科学的な貿易障壁の撤廃に取り組み輸出を伸ばすためには、5年間で総額1千万ドルとなる販売促進強化策が必要である旨のプレスリリースを行った。この対策は、韓国の消費者に対する米国産牛肉の安全性や検査システムに関する正しい知識の普及や、科学に基づく政策決定の推進、国際基準の裏付けとなる科学的知見へのさらなる理解の醸成を目的とするものである。なお、この強化策については、USDAの2012年度予算に要求される予定となっている。
 セングUSMEF会長は、「米国の食肉産業は非科学的障壁により貿易を妨げられている状況にあり、これらの新たな対策が米国産牛肉の韓国市場における完全な回復に貢献するであろう。また、このような取り組みは、韓国のみならず、他のアジア諸国に対しても国際基準に基づく市場開放を促すものになるであろう」とコメントしている。

韓国へのアクセス支援策、協議要請の約束を受けて、ボーカス議員は米韓FTA推進を表明

 カーク米国通商代表は同日、ボーカス上院財政委員長(民主党、モンタナ州選出)に対して、韓国における牛肉の月齢制限に関する書簡を発出した。書簡の内容は、米韓FTA が実現すれば、2008年4月に合意した米韓政府間の取り決めに基づき、韓国政府に対して、月齢制限の緩和を含む政府間合意の完全履行について協議を申し込むとするものとなっている。ボーカス上院財政委員長はかねてより、牛肉の月齢制限撤廃に踏み込んでいない米韓FTAに対して不満を有しており、その支持について態度を留保してきた。カーク代表の書簡は、月齢制限に関する韓国への協議要請を約束することによって、同議員の米韓FTAに対するスタンスを軟化させることが狙いであった。
 同日発出された上院財政委員会のプレスリリースの中で、ボーカス委員長は、USDAの追加支援策および韓国政府への協議要請の約束を受けて、米韓FTAを支持するとともに、議会の承認が得られていないコロンビアおよびパナマとのFTAの推進についても行政府に協力するであろうと言及しており、同議員の韓国、パナマ、コロンビアとのFTA推進の姿勢が明らかになった。
 上記3FTAは議会の夏季休会までに承認されるとの見方があり、今回のボーカス委員長の支持表明は、この流れを後押しするものとなるであろう。
【上田 泰史 平成23年5月9日発】
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