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農務省が2020年度のアグリビジネスを予測(ブラジル)

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 ブラジル農務省戦略管理室(AGE/MAPA)は6月15日、過去の国内外における関係機関のデータに基づく独自の算出方法で、2020/2021年度(7月〜翌6月)までの主要農畜産物の生産予測に関するレポートを公表した。この予測は、今後のブラジルのアグリビジネスの発展方向を議論する上で一つの指標にとなると思われる。なお、今回の予測からエタノールは農畜産物として扱っていない。

(参考)
「2017年度までの農業予測を公表(ブラジル)」(平成20年1月25日発)
「今後10年間のアグリビジネスは堅調に発展(ブラジル)」(平成21年12月14日発)
「農務省が2019年度までのアグリビジネスを予測(ブラジル)」(平成23年1月17日発)

トウモロコシ、大豆など主要農畜産物の10年後の生産量は20%以上増加

 農畜産物の生産は2020/21年度まで順調に増加すると推定しており、特に穀物、食肉は、国際市場の需要増を受けて拡大すると予測する。
 2010/11年度と比べた生産量は、トウモロコシ23.8%増の6550万トン、大豆25.9%増の8650万トン、牛肉23.9%増の1140万トン、鶏肉29.8%増の1570万トン、砂糖24.0%増の4230万トンとなっている。
 生産量増加は作付面積の拡大と比例するが、トウモロコシの作付面積はわずか3.6%増と予測する。これは、、農業技術の向上や遺伝子組み換えトウモロコシの導入により、飛躍的な単収の増加が見込まれることが要因と考える。
表

国内外の需要が拡大

 国際的な農畜産物の需要増加から輸出量も増加すると推定しており、2010/11年度と比べた輸出量は、トウモロコシ56.5%増の1430万トン、大豆39.0%増の4074万トン、牛肉29.4%増の2330万トン、鶏肉33.6%増の5170万トン、砂糖45.8%増の4142万トンと予測する。

 また、国際市場に占める割合も増加すると推定し、国際市場の占有率は、大豆、トウモロコシがともに2.4ポイント上昇し、33.2%、12.0%、牛肉が2.1ポイント上昇し30.1%、鶏肉が5.0ポイント上昇し49.0%と予測する。
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 さらにレポートでは、国内消費も大きく拡大すると推定しており、生産量に対する国内消費割合は、大豆は13.7ポイント上昇し64.7%、トウモロコシ5.4ポイント上昇し85.4%と予測する。食肉では、鶏肉が67%、牛肉が83%、豚肉が81%としており、10年後も国内消費が主となる状況は変わらないようだ。

北東部(MATOPIBA;マトピバ)の成長に注目

 地域別の生産予測では、ミナスジェライス州ではトウモロコシは、作付面積が2010/11年度と比べると15.3%減の98万4600ヘクタールとなるが、生産量は同16.5%増の738万8300トンと予測し、著しい生産性向上が見込まれる。
 また、マットグロッソ州ではトウモロコシおよび大豆、ゴイアス州ではサトウキビの生産量の増加率が最も高く、中西部を中心に成長するとみている。
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 また、北東部のマラニョン州、トカンチンス州、ピアウイ州、バイーア州(略称「MATOPIBA」)は地価や人件費が安く、この地域の東部はサトウキビ、西部はマットグロッソ州との州境にセラード地域における穀物の栽培が広がっており10年後までの農業開発の可能性があると予測する。
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【星野 和久 平成23年6月17日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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