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豪州政府、来年度導入予定の炭素価格制度の枠組みを公表(豪州)

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最終更新日:2011年7月21日

2012年7月1日より開始、炭素価格は排出量1トン当たり23豪ドル

 豪州政府のギラード首相は7月10日、2012年7月1日に導入予定の炭素価格制度の詳細を公表した。それによると、電力会社や輸送業者など二酸化炭素排出量の多い上位500の企業が、排出量に応じて炭素価格の支払いを求められることとなっており、農業分野の企業は対象外となった。初年度である2012/13年度(7月〜翌6月)の炭素価格は、排出量1トン当たり23豪ドル(2,036円:1豪ドル=88.5円)となっている。
 政府は、2011年後半から開催される議会に法案を提出するために、7月31日には法案の草稿を公表するとしている。

農業関連団体は反対の意を表明

 今日の発表において、農業分野については、農作業の過程で発生する二酸化炭素や、農作業で使用される燃料は炭素価格制度の適用外となり、直接的な影響は回避された。しかしながら、電力会社などが炭素価格の支払いを求められることによって、農業生産コストのうち高い割合を占める光熱費などが引き上げられることが予想され、結果として農家の生産コストは上昇し、制度導入の影響を間接的に受けるとみられる。
 生産者団体であるNational Farmers’ Federationの最高経営責任者Matt Linnegar氏は、農業分野が制度の適用外とされたことは歓迎するとしているものの、「我々は制度導入に反対の立場をとる」と語っている。制度導入によって、豪州の農家は平均で年間1,500豪ドル(13万3千円)のコスト増に直面し、国内および海外市場における競争力の低下につながるとしている。また、大型車両の輸送燃料は2014/15年度から適用されるであるため、さらなるコスト増につながると懸念を示している。
 輸出割合の大きい乳製品や砂糖などの価格決定は国際市況に負うところが大きく、炭素価格制度導入によるコスト増が必ずしも価格に反映される訳ではない。こうしたことが農業関係者の制度導入反対の背景にあると思われる。

(参考)炭素価格制度の概要
 2008年における豪州の一人当たり二酸化炭素排出量は18.5トンと、先進国では第1位となっている。また、国全体では3億9700万トンと、世界の総排出量の1.4%を占めた。
 豪州政府は、炭素価格制度導入に当たり、二酸化炭素を含む温室効果ガスの排出量を2020年までに2000年比で5%削減、2050年には同80%削減することを目標に掲げている。
 制度の概要は以下のとおり。

〇炭素価格について
・2012年7月1日より、炭素価格制度を施行開始
・二酸化炭素排出量に応じて炭素価格の支払義務を課し、2012/13年度(7月〜翌6月)の炭素価格は、排出量1トン当たり23豪ドル
・炭素価格は2013/14年度から毎年度2.5%で引き上げ
・2015/16年度からは排出取引制度(emissions trading scheme:ETS)へと移行

〇適用の対象となる企業
・二酸化炭素排出量の多い上位500企業
・500企業の内訳は、電力会社や輸送業者、セメントおよび化学薬品メーカー、製鉄会社、石炭およびLNGの採掘業者など、燃料を大量に使用する企業や製造過程で二酸化炭素の排出量が多い企業
・農業分野の企業は対象外

〇適用の対象となる燃料
・国内の航空輸送、船舶輸送および鉄道輸送に使用される燃料に適用
・一般家庭および小型車両が使用する燃料、並びに農業、林業および漁業において一般道路外で使用される燃料は適用外
・大型車両による輸送には2014年度から適用の予定

〇炭素価格の使途
・全世帯の9割を対象として、制度導入に伴い上昇が見込まれる一般家庭における生活費の補てんを目的とした、補助金および所得税減税相当額への充当(炭素価格による収入の50%強)
・制度導入に伴って影響を受ける鉄鋼やセメントメーカー、石炭火力発電、輸出関連産業などを対象とした、各種支援への充当(同約40%)
【伊藤 久美 平成23年7月21日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-4391



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