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2012/13年度米国産トウモロコシの需給見通し、期末在庫率は大幅に改善する可能性

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 インフォーマ・エコノミクス社(米国の農業コンサルタント)は4月11日、ワシントンD.C.において「ポリシー・ラウンドテーブル」を開催し、2012/13穀物年度(2012年9月〜2013年8月。以下、「2012/13年度」)の米国産トウモロコシ等の需給見通しについて説明を行った。
 2012/13年度の米国産トウモロコシについては、米国農務省(USDA)が3月末、記録的となる農家の作付意向面積を公表したところである。現在の天候状況などを踏まえて、今後どのような需給状況が見込まれるのか、同会議に出席する機会を得たので、その概要を報告する。
 なお、USDAによる2012/13年度のトウモロコシの需給予測は、5月10日に公表される予定である。

トウモロコシ:2012/13年度産は、通常の天候であれば記録的な生産量となり、期末在庫量は前年度の2倍超えとなる見込み

 2012年のトウモロコシ作付面積は、好調な価格を反映して前年度比444万エーカー増の9636万エーカーと見込まれる。3月末のUSDAの見通しを50万エーカー上回っているが、同社の独自調査によれば、イリノイ州などにおいて見通しを上回る作付が行われるとのこと。
 2012/13年度の単収は、通常の天候であれば1エーカー当たり163.5ブッシェルと見込まれ、生産量は前年度を約17%上回る145億700万ブッシェルと推測される。
 消費量は、エタノール向けがほぼ横ばいとなる中、トウモロコシ価格が弱含み家畜飼料向けが増えることから、前年度を5%程度上回ると見込まれる。
 期末在庫量(2013年8月末時点の在庫量)は、生産量が大幅に増加することから、前年度の8億100万ブッシェルの2倍超えとなる17億6300万ブッシェルと見込まれる。
 また、2012/13年度の先物価格は、需給が緩和することから、1ブッシェル当たり4ドル中頃を中心とした値動きになると推測される。
 なお、2012/13年度の大幅な生産量増加が実現するかどうかは、今後の天候が鍵を握っている。前年度のトウモロコシは、春先の洪水や夏期の熱波などにより、当初見込みを下回る生産量となった。これらの異常気象を引き起こしたラニーニャはほぼ終息しているが、コーンベルトの一部では干ばつが認められることなどから、今後の天候について注視が必要である。

大豆:2012/13年度産は、南米の不作を受け輸出量を伸ばす結果、期末在庫量は低下する見込み

 2012年の大豆作付面積は、前年度比約80万エーカー減の7420万エーカーと見込まれる。3月末のUSDAの見通しを30万エーカー上回っているが、同社は現在の堅調な大豆価格を踏まえて、米南部の一部地域において綿花などから大豆への転換が進むとみている。
 2012/13年度の生産量は、単収がこれまでの傾向に基づくことを前提に、前年度比7%増の32億6500万ブッシェルと見込まれる。
 消費量は、輸出量が前年比20%増の15億5000万ブッシェルと増加することから、前年度を10%程度上回ると推測される。大豆の主要輸出地域である南米において、乾燥気候により大豆生産量が落ち込んでいることから、米国産大豆の輸出量が中国向けを中心に増加すると見込まれる。
 この結果、期末在庫量(2013年8月末時点の在庫量)は、前年比8000万ブッシェル減の1億7000万ブッシェルと見込まれる。
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【上田 泰史、柴ア 由佳 平成24年4月12日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-4396