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カナダの畜産を巡る最近の情勢 〜カナダ政府、豚トレーサビリティ規則案を公表〜

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 カナダ食品検査庁(Canadian Food Inspection Agency:CFIA)は7月16日、豚トレーサビリティ規則案を公表した。カナダでは既に法律に基づき、牛(バイソンを含む)および羊を対象にトレーサビリティ制度が確立されている。この度公表された規則案はこれらに続くものであり、CFIAは2012年8月13日までパブリックコメントを実施する。

カナダ豚肉協議会等により進められてきたトレーサビリティシステム

 カナダには、肉豚農家の全国組織であるカナダ豚肉協議会(Canadian Pork Council:CPC)が運営するトレーサビリティシステム「Pig Trace Canada」および州の養豚関係団体が実施するトレーサビリティシステムが存在し、食品の安全確保、海外からの家畜疾病侵入時のまん延防止などを目的に、生産農場の所在地、豚の個体識別、移動情報等が記録・管理され、CPCおよび州の養豚関係団体の間で連携が図られている。
 CPCと各州の養豚関係団体が中心となって進めてきたこの様なトレーサビリティシステムについては、カナダ農務・農産食品省(Department of Agriculture and Agri-Food)も支援を行ってきた経緯があり、今回の規則案は、これまでCPCにより実施されてきた任意のトレーサビリティシステム等を基礎とし、法制化したものと言える。

規則案では、個体管理方法や移動記録・報告内容が移動形態等によって分類される

 今回の規則案では、定めに従い、飼養されている豚(イノシシを含む)のすべての移動について記録・報告が義務付けられる。
 一般的には、農場から農場への豚の移動はロット管理により対応することとし、すべての豚を対象に承認された識別タグをつける必要はない。また、移動の記録については、出荷元および出荷先の双方から届けを出すことを義務付け、届出の信頼性を高める仕組みとなっている。
 また、輸出される生体豚についても、承認された識別タグ等による個体管理が義務付けられることになる。
 今回の規則案についてCFIAは8月13日までパブリックコメントを実施するが、CPCは政府主導の全国統一トレーサビリティ制度の制定を歓迎するとコメントしており、規則制定において制約要因は見当たらないと考えられる。
【前田 絵梨 平成24年7月23日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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