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国家発展改革委員会、全国牛肉・羊肉生産発展計画(2013-2020年)を発表 (中国)

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 国家発展改革委員会は9月24日、全国牛肉・羊肉生産発展計画(2013-2020年)を発表した。     
中国では、改革開放政策の実施以降、肉牛・肉羊産業は発展を続け、肉類の総生産量に占める牛肉の割合も増加傾向にある。近年、中国では人口増加に加え、国民の消費水準も高まり、特に都市部住民においては、肉類の消費構造の変化が進み、牛肉や羊肉の需要が高まりをみせている。一方、生産コストの上昇や、自然災害や伝染病の多発等の影響で、牛肉・羊肉の生産の伸びは鈍化し、国内価格は上昇を続けている。
 中国政府は高まる牛肉需要に応えるべく、当該計画で国内自給という基本方針を明示した。この中で、地方における肉牛・肉羊産業の発展を目指して、政策的支援と市場管理の対象を絞って強化することで、牛肉・羊肉の生産能力の向上に努めていくこととした。当該計画の実施を通じて、中国国内での肉牛・肉羊産業の発展と牛肉等の生産能力の向上が進むことで、牛肉等の安定供給と価格の安定が期待される。主な内容は以下のとおり。
 
【指導的思想】 国内自給を基本方針として、畜産地域の安定と農業地域の発展を目指す。政策的支援により、品種改良に努め、繁殖用雌家畜を安定的に増やす。地域的配置の最適化に注力し、標準化された大規模飼育の推進を促進する。技術的サービス、伝染病の防止制御、防災減災体系の整備に力を入れ、生産能力の全面的向上を実現する。また、生産と販売の連携強化に力を入れ、産業化経営を積極的に推進して、畜産地域の牛肉・羊肉の消費の基本的自給と全国市場への安定供給を確実に保証する。
 
【基本的原則】
 (1)資源配置の最適化、生産重点地域の強化
 (2)生産技術支援による生産性の向上
 (3)大規模化・標準化の推進
 (4)牛・羊生産の組織化・産業化による収益性の向上と牛肉・羊肉の品質安全の保証
表1
【重点地域】
(発展加速地域) 河北省・山東省・河南省・黒龍江省・吉林省・遼寧省
(安定的発展地域) 内モンゴル自治区・四川省・雲南省・チベット自治区・甘粛省・青海省・寧夏自治区・新疆ウィグル自治区
表2
【重点項目】
(1) 良種の繁殖・育成と普及: 遺伝改良計画の実施。国家レベルの肉牛肉羊育種牧場を構築し、品種登録、生産性能試験、遺伝評価、伝染病モニタリング・浄化等の基礎的業務を実施。牛羊の原種場、繁殖拡大牧場、種牛ステーションの構築。国外の優良品種の導入する。国内の育種水準の向上、など。
 
(2) 伝染病の防止・制御: 重大動物伝染病・重点的人畜共通疾病の防止計画の実施。流行菌(毒)株のスクリーニング。混合感染・協同発病の制御技術の研究。伝染病と流行病学の調査の実施。ブルセラ症の防止計画の実施。青海〜チベット高原等でのエキノコックス症の防止。包虫のモニタリング・駆除・免疫業務の強化。種牛・種羊場の伝染病モニタリング・浄化業務の実施、など。

(3) 適正規模による飼育の強化: 標準化された大規模飼育場の建設プロジェクトの実施。畜産業構造転換モデルプロジェクトの実施。繁殖可能な雌の飼育頭数が一定の基準に達する大規模飼育場の建設の優先的支援。老齢や生産性の低い雌家畜の淘汰、など。

(4) 飼料資源の合理的開発: 飼料の供給源の拡大(人工植草面積拡大の奨励。青刈サイレージ飼料および乾燥サイレージ飼料の施設建設推進など)。飼料の生産・供給能力の向上(放牧地の草原回復プロジェクトの実施、牧草良種に対する補助金支給など)。冬季における問題の緩和(雌家畜用温室畜舎および防災用飼料備蓄施設等の建設など)、など。

(5) 産業化経営の推進: 牛羊屠殺加工業界の大規模化・標準化・ブランド化(中心的企業を強大化。屠殺加工、品質検査の施設・装備条件の改善など)。生産・加工・販売の連携強化(生体取引市場の構築・規範化、加工配送、冷蔵冷凍、コールドチェーン輸送等の市場流通施設の建設、流通段階の改善による流通コストの抑制など)、など。
 ※ 本仮訳は、理解向上に資するため、参考資料として作成されたものです。正確な内容については、中国語の原本をご確認ください。
【山ア 博之 平成25年10月18日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9534