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「米国人のための食生活指針」の答申、糖類摂取量の数値制限を明記(米国)

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最終更新日:2015年2月26日

1 米国人の食生活指針の位置づけ

 米国保健福祉省(HHS)と米国農務省(USDA)が5年ごとに公表している「米国人の食生活指針」の改訂に向けて、医療・栄養・公衆衛生学の専門家で構成する米国食生活指針諮問委員会は、2015年2月19日に、両省の次官あてに改訂の基礎データとなる報告書(「Scientific Report of the 2015 Dietary Guidelines Advisory Committee」)を答申した。
 この指針には、健康を維持するために、日常の食生活において摂取を推奨するまたは控えるべき品目や栄養素が記載される。この指針に基づき、大手小売店などは、商品のラインナップや商品に含まれる栄養素の構成を変えることもあり、米国の食生活において指針は一定の影響力を持つ。
 また、1980年に始めて指針は作成され、1985年には諮問委員会が設置、1990年には「米国栄養モニタリングおよび関係研究に関する法律」が制定された。法律では諮問委員会の答申が出された後に、公開討論、45日間の意見聴衆(パブリックコメント)を経て、両省が5年ごと改訂し、公表することとなっており、今回で8回目の改訂版(「2015 Dietary Guidelines for Americans」)となる。
 なお、公開討論会は3月24日にメリーランド州モンゴメリー郡ベセスダで開催、パブリックコメントは4月8日までとなっている。

2 今回の報告書の概要

 諮問委員会は、今回の報告書において、現在、米国では、大人の3分の2、子供の3分の1(合計1億1700万人)が、カロリーの取り過ぎにより、ボディマス指数(BMI)で過体重または肥満である(図1)。これが原因で、疾病(心血管疾患、高血圧、2型糖尿病など)の発生率が高まり医療費の財政支出が増加しているとしている。
図1
 このため、食生活の改善が必要であり、個人や家庭の食生活では、「(1)野菜、果物、全粒穀物、低脂肪又は無脂肪乳製品、魚介類、豆類、種実類の摂取量を増やし、(2)脂肪の少ない食肉(Lean meats)およびアルコール(成人に限る)の摂取はほどほど、(3)牛肉・豚肉など(Red meats)とその加工品、糖類(Added sugars(注))や甘味料が含まれる食料品および精白穀物の摂取は控えるのが望ましい。」と提言した。
 また、国民の健康を増進するために肥満予防プログラムの構築や栄養教育の推進を図ることとし、具体的な行動規範として、「学校や職場で、のどが乾いたら、清涼飲料水ではなく、水を飲むことが望ましい」、「学校給食では糖類が含まれる食料品の提供を控えるべきである」、「高カロリー食料品の購入の抑制を促すために、糖類やナトリウムが多く含まれる食料品に対して増税するべきである。その税収で野菜や果実の購入費の補助をするべきである」、「糖類、ナトリウム、飽和脂肪の過剰摂取が健康に及ぼす影響について、学校で積極的に教育するべきである」などを提言した。

 (注)糖類とは砂糖、異性化糖、ぶどう糖、ハチミツなどである。

3 報告書における糖類の摂取についての記述

 第1版(1980年)から第6版(2005年)までの指針では、「糖類の過剰な摂取を控えるように」という記述に留まっていた。
 しかし、第7版(2010年)では、固形脂・糖類(SoFAS(注))の摂取量が多くなり、相対的に他の栄養素の摂取量が少なっていることを考慮し(図2)、「SoFASは控える方が望ましい。特に糖類を含有した精白穀物製品の摂取は制限する方が望ましい」との記述に変更された。
 さらに、今回の答申では、「糖類から摂取するカロリーは総摂取カロリーの10%未満にとどめることが望ましい」と、糖類のみについて具体的な摂取量の制限値が提言された。今回の指針における記載判断は、パブリックコメントを得た上でHHSおよびUSDAの判断にゆだねられる。

 (注)SoFASは、固形脂(Solid Fats)と糖類(Added Sugar)を合せたものとして、HHSおよびUSDAが作った造語。
図2

4 主な団体の意見

 砂糖の消費拡大活動を行っている米国砂糖協会(The Sugar Association)は、「指針は、総摂取カロリーに占める糖類の摂取量は減少していること、糖類の摂取量と肥満増加率の因果関係はないことなどの科学的根拠に基づき作成されるべきであり、今回の報告書は、糖類の摂取量と肥満に因果関係があると主張している者の意見を踏まえたもの(Opinion-base)で、科学的根拠に乏しい(Not Science-base)ものである。また、この報告書には、300もの糖類に対するネガティブな表現があり、糖類が新たな標的となっていると言わざるを得ない」とのコメントを寄せ、今後、糖類の摂取量の数値制限を最終的な指針に記載しないよう意見していくとした。
 他方、米国のコーンスターチ製造事業者および異性化糖製造事業者等で構成するトウモロコシ精製事業者協会(Corn Refiners Association)も「最終的な指針は、科学的根拠に基づいたものであることを期待する」とのコメントを寄せている。


【宗政 修平 平成27年2月26日発】

このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-4389



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