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干ばつによる農業被害額は600億バーツに達する見込み(タイ)

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最終更新日:2016年3月2日

 タイでは2015年6月以降、モンスーン(注)による南西風が弱かったことにより、北部および東北部で降水量が平年を下回って推移しており、日本向け野菜産地である北部のチェンマイの2015年の降水量は、平年比26.1%減の832ミリとなった(図)。

注:大陸と海洋の地理的分布により生じる大規模な季節風。タイを含むインドシナ半島付近では、夏のモンスーンが始まると、インド洋から流入する水蒸気により降水量が増加。
図
 このため、政府は2015年7月以降、農業用水の取水制限を行っているが、国内のダムの貯水量は大幅に減少しており、農業協同組合省によると、2016年2月3日時点の主要なダムの貯水率は、国内最大級のプミポンダム(北部)で35%など、50%を下回り水不足が深刻化している(表)。1月11日の国家水資源委員会の発表によると、全ダムの貯水率は25%と危機的な状況にあり、5月まで続く乾季中に水不足に陥る地域は全国の6割に達すると見込んでいる。
表
 農業被害額についてカシコン銀行(旧タイ農民銀行)によると、この干ばつによる農業被害額は2月時点で120億バーツ(1バーツ3.2円:384億円)、乾季が終わる5月末までの被害総額は600億バーツ(1920億円)に達する見込みとしている。また、生産者および農業関連企業労働者数は減少傾向にある。国家経済社会開発委員会は、この干ばつの影響で、2015年で離農した生産者および失業した農業関連企業労働者は50万人に上っており、その数はさらに増えるとしている。
 こうした状況を踏まえ、内務省防災局は、2月3日時点で北部チェンライ、チェンマイなどといった日本向け野菜産地を含む15県3403村を干ばつ災害地域に指定し、経済支援を行うとともにコメの二期作を制限し、マンゴーなどのかん水量の少ない果実への転作を推進するとしている。これに関連して政府は2月23日、干ばつ災害地域などの生産者や農業関連企業などに対する総額930億バーツ(2976億円)の緊急融資を決定した。融資の内訳は、被災生産者向け60億バーツ(192億円)、農業関連企業向け720億バーツ(2304億円)、コメ転作生産者向け150億バーツ(480億円)となっている。
 今後の降水見通しについて日本の気象庁は、6月以降のモンスーンは弱い状態で推移するため、2016年も平年に比べ少ないとしており、農業生産に大きな影響が生じる恐れがある。


【伊澤 昌栄 平成28年3月2日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-4389



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