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ばれいしょ作付面積を2020年までに670万ヘクタール以上に拡大(中国)

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最終更新日:2016年3月3日

 農業部は2月23日、「ばれいしょの産業開発推進に関する指導意見」(指導意見)を公表した。
 指導意見では、2020年までにばれいしょの作付面積を670万ヘクタール以上に拡大するとともに(図1)、主食および加工に適した品種の作付け割合を3割、ばれいしょの総消費量に占める主食用の割合を3割にする目標を掲げている。また、この目標を達成するため、主食向けばれいしょ加工食品を開発し、国民に対して消費促進を図るとしている。
図1
 中国は世界最大のばれいしょ生産国で、2014年の生産量は第2位のインドの2倍に相当する9万6088トンであった(図2)。日本向けには、加工・業務用に冷凍ばれいしょを中心に輸出ほか(図3)、油菓子(スティックポテト)なども輸出している。
図2
図3
 ばれいしょの主食化を推進する背景には、2大穀物であるコメおよび小麦の供給不足がある。中国農業科学院農業経済発展研究所は、2大穀物の増産には限界があり、ばれいしょを主食とすることで、2大穀物の不足分を補うことができるとしている。
 ばれいしょは、野菜として多くの料理に利用されているものの、主食としての消費は一部の地域に限られている。消費量は、食の多様化により、一般的な炒め料理以外に油菓子のポテトチップスやファストフードのフライドポテトなどが普及したことで、年間1人当たり41キログラム程度で推移しているが、ロシアやウクライナなど、ばれいしょを主食とする他の主要生産国よりは少ない(図4)。
図4
 農業部は、主食向け消費を伸ばすためには、マントウ(中国式蒸しパン)、麺、ビーフンなど、一般的な主食用加工品にばれいしょを利用することが必要としている。このため、農業部は、2015年に1億元(1元=18円:18億円)の予算を計上し、主産地であり消費地である北京市など9省市を推進地域に指定し、主食加工向け品種の選抜や加工技術の高度化を本格化することとした。
 新華社によると、専門家などは、主食用需要の増加により取引価格が高位平準化され、生産者および加工企業が国内向け生産が強化されると見込んでいるとしている。


【伊澤 昌栄 平成28年3月3日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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