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タイの冷凍野菜生産・輸出企業、ミャンマーへの進出を発表

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最終更新日:2016年5月13日

チェンマイ・フローズン・フーズ社、ミャンマーに工場建設

 タイの大手冷凍野菜生産・輸出企業であるチェンマイ・フローズン・フーズ社は3月、総額7億バーツ(21億円)を投じて、ミャンマーの首都ネピドーに冷凍野菜の生産工場を建設すると発表した。
 同社によると、工場の建設用地については、ミャンマーの企業との間で3月に締結した、47.73エーカー(19.32ヘクタール)、総額5057万バーツ(1億5171万円)のリース契約により確保するとしている。チェンマイ・フローズン・フーズ社は、契約当初にリース総額の半分となる2529万バーツ(7587万円)を暫定的に支払い、さらに、2016年内に子会社を設立し、同子会社を通じてリース総額の残りを支払うというものである。
 なお、チェンマイ・フローズン・フーズ社は、子会社の組織体制や株式保有比率については検討中であるが、親会社となる同社の株式保有比率は、60%以上90%以下になるとしている。また、本リース契約期間は50年であるが、10年の延長が2回可能とされており、最大70年に及ぶ。

チェンマイ・フローズン・フーズ社は、ミャンマー進出の意義を強調

 チェンマイ・フローズン・フーズ社は、今回のミャンマーでの工場建設について、以下の6つのメリットがあるとしている。
(1) 工場建設用地は、首都ネピドーに位置しているため、インフラの整備が見込まれる上、農業地帯にも近接していることから、原料野菜の調達にも適しており、生産する冷凍野菜の品質の高さが期待できる。
(2) ミャンマーは外国投資受け入れ開始から間もないため、いまだ野菜加工産業の競合が少なく、今後の成長が期待できる。
(3) ミャンマーの多くの土地・労働力が農業とその関連産業に投入されており、本投資により、野菜の生産量拡大や種類の多様化が期待できる。
(4) ミャンマーという新たな市場で、同社の持つ専門性や技術を生かすことで、生産性の改善やマーケティングの効率化が期待できる。
(5) 新たな投資を通じて、キャッシュフローの改善や、株式配当の増加が期待できる。
(6) 冷凍野菜生産や関連事業における、新たなビジネス機会の確保が期待できる。

将来的にはミャンマーから日本市場向け輸出の可能性も

 チェンマイ・フローズン・フーズ社は、大豆、グリーンピース、スイートコーン、ベビーコーンを中心とした、タイの大手冷凍野菜生産企業である。製品の98%は輸出に仕向けられており、主な輸出先は、日本、米国、スウェーデン、デンマーク、台湾、中国となっている。中でも最大の輸出先の日本については、「高品質」、「新鮮」、「健康的」、「食べやすさ」などを重視する重要な市場と位置づけており、同社によれば、日本の冷凍野菜市場の約15%を同社が占めている。このため、将来的にはミャンマーから日本市場向けに輸出する可能性も考えられる。
【根本 悠 平成28年5月13日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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