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米国農務省が酪農家への支援策として、政府による市場からのチーズの買い入れとMPP加入締切日の延長を発表(米国)

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 米国農務省(USDA)は8月23日、政府による余剰チーズ在庫の買い入れの実施に加え、2017年度の酪農マージン保護プログラム(MPP)の登録期日の延長を発表した。
 政府による余剰チーズ在庫の買い入れの具体的な内容は、民間在庫から約1100万ポンド(4989トン)のチーズ(アメリカンタイプのチェダーチーズ)を買い上げ、過去30年間で最大に達しているチーズの余剰在庫を削減させるとのものである。今回の買い入れは、金額にして2000万米ドル(20億8000万円:1米ドル=104円)となり、USDAの栄養支援策を通じて、貧困家庭などに提供される。なお、買い上げの財源は、関税収入の一部を農業部門の支援に活用すると定めた1935年農業法第32条(Section32)に基づき措置されるものである。(※)

 ヴィルサック農務長官は、この発表の中で以下のようにコメントしている
− 最近の乳価の低迷から、米国の酪農家がとても困難な状況に直面しており、フードバンクからの支援に対する継続的な強い要請があることもよく理解している。
− 今回の買い入れは堅固かつ包括的なセーフティーネット対策であり、この30年間で最大に達している余剰チーズ在庫を削減できるとともに、高タンパクな食品を最も必要としている人々の食卓へと届けることができる。
− USDAは引き続き、権限の中で、食料を十分確保できない者への対応と市場の安定性に寄与する対策を模索し続けていきたい。

 米国政府が今回の決定を下した背景の酪農家の厳しい経営状況については、MPPで基準とされているマージンの最近の推移からも伺い知ることができる。8月4日のUSDAの発表によると、2016年5月/6月期のマージンは、当該事業が開始して以来初めて6米ドルを割り込み、5.76277米ドル/100ポンド(1キログラム当たり13.2円)となった。この結果、補償水準を6米ドル以上に設定している酪農家には下表の水準で補填金が支払われ、同期の支払総額は過去最高の約1120万米ドル(約11億6480万円)になったとUSDAは公表している。
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 また、USDAは、MPPは酪農家にとって苦しい時期を乗り越えるための大きな安心感となり得るセーフティーネット対策であることから、未加入の酪農家に是非とも加入するよう強く促すとともに、今回のプレスリリースでは、2017年度のMPPへの加入締切日を2016年9月末日から同年12月16日まで延長すると同時に公表した。

 USDAのプレスリリースにあるとおり、今回の買い入れの発表に先立ち、連邦議会、全国農業者組合(NFU)、米国農業連合会(AFB)、全米生乳生産者連盟(NMPF)から要請があった。

 NMPFは今回の買い入れの発表後、同日23日付で、先の要請にUSDAが迅速に対応した点について謝意を示すとともに、今後も酪農家の直面する経済状況を注視し、苦難の時期において酪農家を支える方策を提案し続けていきたいとの旨のプレスリリースを公表した。
 しかしながら、今回の買い入れ量1100万ポンドは、NMPFが要請していた買い入れ量である9000万ポンドと比べると、限られた量となった。
 USDAとしても予算には限りがあり、酪農対策のみにSection32関連予算を使用することはできないという事情がある。実際に、ほぼ同時に「ブルーベリー」、「鶏卵および卵製品」、「レーズン」、「オレンジジュース」、「家きんのもも肉製品(Dark meat products)」についての買い入れも発表されている。

 いずれにせよ、今回のプレスリリースにも記されているように、USDAは今後数ヵ月間の市場の状況を注視し、必要があれば今秋遅くにも追加の対策を検討するとしており、今後の市場環境次第で追加的な対策の実施に含みを持たせている。世界的にも乳価が低迷しているこの状況下において、米国における乳価の動向や政府の動きについて、引き続き注目する必要がある。

※ 1935年農業法第32条に規定された恒久的歳出予算であり、需給バランスを整えるために、農務長官に米国産食品を買い入れる権限が与えられている。財源として、前年(暦年)の関税収入の30%相当額までが充当されることになっており、昨年度の支出実績3億630万米ドルは、不況下の2009年(3億1950万米ドル)以来の高水準であったが、今年度(1月〜9月末)は既に3億1300万米ドルと昨年度実績を上回っている。
【調査情報部 平成28年9月7日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-4397



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