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海外資本による農地の保有状況を初めて公表(豪州)

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 豪州国税局(Australian Taxation Office、以下「ATO」という)は9月7日、豪州国内における海外資本による農地の保有状況(注)を公表した。
 豪州政府は、2015年1月に発表した海外からの投資に関する透明性を高めるための改革の一環として、外国人、海外資本の企業などによる農地の取得状況を把握するため、海外資本による農地取得について報告を義務付け、ATOがその状況を調査する体制を構築した。今回の公表は、当該調査に基づく第1回目の調査結果であり、今後は年1回公表されることになっている。
 

海外資本の農地は農地面積全体の14%を占める

  ATOによると、農地面積の14%に当たる5215万ヘクタールが海外資本による保有であった(表1)。地域別に見ると、海外資本の保有割合が最も高いのが北部準州(NT)で、一方、海外資本による農地保有面積が最も広いのは、クイーンズランド(QLD)州であった。
 また、海外資本による農地保有面積の88%が畜産に関する農地であり、畜産の盛んなQLD州と北部準州の2州で63%を占めている(表2)。
 
 
 
 
 

英国が最も多くの農地を保有

 国別で見ると最も多くの農地を保有しているのは英国資本で、海外資本の保有する農地全体の52.7%と、2位の米国を大きく引き離している(図)。近年、豪州への投資を積極的に行っている中国は、5位であるものの、1000万ヘクタール以上を有する国内最大の牧場の買収にも意欲を示しており、今後の動向次第では大きく順位が変動する可能性も考えられる。
 
 
 
注:「海外資本による農地の保有」とは、豪州に居住していない個人、国外の企業・政府などが、主に第一次産業を目的として保有している農地を言う。国外の企業などが、農地の20%以上の所有権を有している場合および国外の複数の企業などが、合計で農地の40%以上の所有権を有している場合も含む。
 
 
【大塚 健太郎 平成28年9月16日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-4934