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NZ園芸農業関連組織、園芸作物輸出に関する報告書を公表

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最終更新日:2016年12月6日

 ニュージーランド(NZ)の園芸作物輸出を管理するNZ園芸農業輸出機構およびホーティカルチャーNZ(園芸農業団体)は、NZの園芸作物の輸出と、それに影響を及ぼす輸入関税などの貿易障壁に関する報告書を公表した。
 全般的に、国内市場が小さく輸出市場を重視するNZとして、さらなる輸出拡大を志向する内容となっている。

近年の園芸作物輸出は、大幅な増加

 同報告書によると、2015/16年度(7月〜翌6月)のNZの園芸作物輸出額は、33億6000万NZドル(2788億8000万円:1NZドル=83円、2013/14年度比39.5%増)と大幅に増加している(図)。中でも、EUが最大の輸出先であり、2004年以降、おおむねその地位を維持している。第2の輸出先は日本であり、一時期減少したものの回復傾向にある。第3の輸出先は、近年市場拡大が続く中国であり、その他、豪州や米国が主な輸出先となっている。
 総じてアジアは、その経済規模や経済成長率の高さから有望視されており、日本、中国、台湾、マレーシア、インドネシア、ベトナムなどが重要市場として挙げられている。
 
図

関税削減の効果を強調

 同報告書では、輸出の現状に加え、輸出拡大に影響を及ぼす貿易障壁について言及している。
 2015/16年度のNZの園芸作物輸出に係る関税支払総額は、1億9000万NZドル(157億7000万円、2013/14年度比5.0%増)となっている。2013/14年度をやや上回っているものの、輸出額の同39.5%増に比べると、わずかな増加となっている。NZは、すでに韓国、中国、香港、豪州、タイ、マレーシア、シンガポール、ブルネイ、チリおよびASEANとFTAなどを締結し、これら諸国における関税水準低下の影響が表れており、特に中国、台湾(注)における関税削減・撤廃の効果が大きいとされている。
 その一方、韓国については、園芸作物の輸出額に対する関税支払総額の割合が、NZの全貿易相手の中で2番目に大きく、FTAを締結していながら、関税負担の大きい例外的な国と位置づけられている。しかしながら、今後は、FTA合意内容の履行により、関税など貿易障壁の大半は取り除かれるとしている。なお、同割合が最も大きいのはインドであるが、実際の輸出額はかなり少ないため、NZにとって大きな関税負担にはなっていないとしている。
 さらに、同報告書では、農産物の表示基準や積荷の出船前検査など、非関税障壁の存在も重要な課題としている。特に、NZにとっては、輸出先国の化学物質の残留基準への対応が輸出拡大のカギになるという見方を示している。
 
(注)同報告書では、「台湾とFTAを締結」という言及は見られないが、実質的にFTAに相当する貿易協定を締結している。
 

NZ一次産業大臣は同報告書について言及し、貿易障壁の削減に意欲

 NZ一次産業省のガイ大臣は、同報告書に記載された園芸農業の成果を歓迎する声明を発表している。これによると、「園芸農業は、6万人の雇用を生み出し、輸出額は50億NZドル(4150億円)近く、NZで4番目に大きな輸出産業である。さらに、2020年には、100億NZドル(8300億円)の産業規模になるという目標を掲げている。」としており、NZ経済における園芸農業の重要性を強調している。さらに、「2012年以降、園芸作物に係る輸入関税は、平均で22%まで低下しているが、さらなる低下余地がある。関税や非関税障壁の削減は、政府としても優先課題である。」として、NZ政府は、貿易自由化を引き続き重視することを明確化している。
 
 
 
【根本 悠 平成28年12月6日発】
 
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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