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米国トウモロコシ精製業者協会、2015年を総括した年次レポートを公表

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最終更新日:2016年12月8日

 米国のコーンスターチやコーン油などを製造するトウモロコシ精製業界を代表する米国トウモロコシ精製業者協会(Corn Refiners Association)は11月30日、2015年の業界の動向を総括した2016年版の年次レポートを公表した。

トウモロコシの購入額は減少も調達量は増加

 これによると、トウモロコシサプライヤー(注)は前年並みである一方、精製工場は1工場減り26工場となった(表1)。また、トウモロコシ購入額は前年をかなりの程度下回っており、2015年のトウモロコシ価格が低水準で推移したことが背景にあると考えられる。
 
(注)トウモロコシサプライヤーは、個別の農家や複数の農家から買い付けて精製工場に売り渡す流通業者など多様な主体が想定される。
 
表1
 一方、トウモロコシ調達量は、前年をやや上回っており、トウモロコシ生産量が記録的な高水準となったことが影響しているとみられる(表2)。また、同協会は、調達量増加の背景に、エタノール仕向けが好調であったことがあるとしており、その一方で、糖化製品とでん粉の生産量は前年を下回っている。
表2
 なお、でん粉関連製品の出荷量は表3の通りとなっている。これらの製品に関する特別の言及は見られないが、いずれも4%以内の比較的小さな増減幅となっている。
表3

今後の焦点は、技術革新と貿易協定

 同協会は、以上の状況を踏まえ、トウモロコシ精製業界を代表して、原料を供給する農家にとって市場の拡大は不可欠であり、また、精製業界も、安定かつ高品質な原料供給により、高品質な製品の生産が可能になるとして、安定的な原料供給と市場拡大の重要性を強調している。
 また、今後の産業発展のためには、製造技術の革新や効率化の進展が不可欠としている。さらに、環太平洋パートナーシップ(TPP)協定による市場拡大にも期待を示している。これは、トウモロコシ関連製品そのものの市場拡大よりも、牛肉、豚肉、乳製品、加工食品の市場アクセスが拡大することで、そうした農産物・食品を生産する米国内の農家・企業からのトウモロコシ関連製品への需要の拡大を期待したものである。次期大統領がTPP協定に対して消極的な姿勢を示している中であっても、同協会としては、従来どおり、TPP協定を支持する姿勢を維持している。


【根本 悠 平成28年12月8日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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