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乳製品の短期的需給見通しを公表(EU)

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 欧州委員会は3月8日、農産物の短期的需給見通しを公表した。このうち、2017年の乳製品需給見通しの概要を紹介する。

2017年の生乳出荷量は前年比0.6%増の見通し

 生乳出荷量は、2016年は第1四半期に大きく増えたが(前年同期比7%増)、下半期(6〜12月)の減産(同3%減)により、年間では前年比0.4%増にとどまった。
 生乳出荷量の状況は、加盟国により大きく異なり、主要生産国においては、オランダ(7.5%増)、アイルランド(4.4%増)、イタリア(3.1%増)、ポーランド(2.4%増)が増加率の高い国となる。なお、規模は小さいがルクセンブルグが最も高い増加率となる(8.9%増)。一方、英国(4.3%減)、フランス(2.5%減)、ベルギー(2.7%減)、ポルトガル(4.4%減)などは減産となっている。
 
 2016年12月の搾乳牛飼養頭数は、EU全体では2355万頭と前年並みとなった(0.2%減)。加盟国別では、ドイツ(1.6%減)、フランス(0.8%減)などで乳価低迷のため搾乳牛の淘汰が進められたものの、オランダ(4.5%増)、アイルランド(4.5%増)では増加しており、英国は前年並み(0.1%増)となった。
 未経産牛飼養頭数は、全体では1%減少し、オランダ(17.6%減)、英国(7.3%減)、アイルランド(6.2%減)、ドイツ(2.6%減)で減少している。一方、フランス(2.0%増)、イタリア(7.3%増)、スペイン(3.4%増)では増加している。加盟国によっては、搾乳牛を減らし、未経産牛を増やしている国もあるが、その逆の国もあるなど乳価が低迷する同様の状況にありながらも対応は異なっている。
 これら飼養頭数の動向から、欧州委員会の生乳出荷削減奨励事業への参加者は、淘汰によらず飼料給与量や種付け時期の調整などにより減産を実施した加盟国も多いと考えられる。さらに、秋の天候不順による飼料の質の低下で、1頭当たり乳量が微増(0.9%増)にとどまったことも減産に結びついている。
 
 生乳出荷量の増減は、必ずしも搾乳牛頭数の増減とは一致していない。加盟国によっては、1頭当たりの乳量の伸びにより、搾乳牛頭数の増加率より生乳出荷量の増加率が大きくなるなどしている。ただし、フランスは生乳出荷量の減少率は頭数の減少率を上回っている。これは、前述のとおり、飼料給与量や種付け時期の調整などで減産した生産者が多かったことを表すものと考えられる。
 
 搾乳牛頭数の増加は、オランダ(4.5%増)やアイルランド(4.5%増)では、2016年の生乳出荷量の増加(オランダ:7.5%増、アイルランド:4.0%増)に結びついているが、2016年12月の単月を見ると生産量はそれぞれ減少している。アイルランドは、天候不順により牧草の状況が悪かったこと、オランダは飼料給与量の調整による減産の取組みが行われたものと考えられる。
 
 2017年の生乳出荷量は、1頭当たりの乳量が前年比2%増となる一方、搾乳牛頭数が同1.6%減となるため、同0.6%増にとどまると予測されている。第1四半期は、2月が閏年の関係から昨年より1日少ないこともあるが、大きく増産した前年同期を下回ると見られる。また、2017年の春の生乳出荷量は、ほぼ前年同期並みと予測されるが、乳価が現状の水準を維持するなら、下半期には大きく増産すると見込まれる。オランダは、リン酸塩の削減を図る政策の実施により頭数が削減され、生乳生産の減少は避けられないであろう。
 2018年は、世界の乳製品需要が引き続き堅調で、さらにロシアの禁輸措置が解除されると、生乳出荷量は増加するものと思われる。

乳価は、乳製品価格の状況次第

 乳価は、5カ月で100キログラム当たり7ユーロ上昇し、12月には前年同月比8%高の33.05ユーロとなるなど、2011〜2015年の5年平均価格に近づいた。
 乳価の上昇は、2016年に価格が下落したベルギーやバルト三国などで顕著に見られた。対照的に、価格の下落が小さかったフランス、スペイン、イタリアでは大きな上昇は見られなかった。
 
 乳価は、年末に向けて生産量が減少局面にあったこと、天候不順による飼料の質の低下、生乳出荷削減奨励事業により2016年第4四半期の生乳生産が前年同期を3.7%下回ったこと、南米、ニュージーランド、豪州の生乳生産量が減少したこと、チーズ、バター、全粉乳のEU域内需要が持続的に増大したこと、高値で取引されるバター価格、世界的なチーズ需要の拡大などを要因に上昇した。
 バターの卸売価格については、強い需要により1トン当たり4300ユーロという記録的な価格にまで押し上げた(12月第4週)。一方、脱脂粉乳の卸売価格は、同2000〜2100ユーロ前後で推移していたが、2月第3週に同2000ユーロを割り込むと緩やかに下落していった。
 
 2017年の乳価および乳製品価格は、生乳出荷量が今後の増産に十分な飼養頭数を抱えていることから増加(前年比0.6%増)が見込まれていることや、短期的には、春の生乳出荷量のピークや脱脂粉乳の膨大な公的在庫、さらには、国際市場において米国の生乳増産の継続などが、上昇の阻害要因になると予測されている。

バターの価格は上昇し、記録的な価格を記録

 バターの卸売価格は、EU域内需要と米国国内需要により堅調に推移し、さらに2016年後半の生乳減産によりEU産バターはひっ迫基調となり、12月には記録的な価格となる1トン当たり4300ユーロとなった。しかしながら、その後は前年を大きく上回りながらも生産ピークとなる春に向けて緩やかに下落している。
 
 2016年のバター生産量は240万トン(前年比2.7%増)となり、うち21.1万トン(同23%増)が輸出された。主な輸出先は、米国、サウジアラビア、エジプトである。米国、南米の輸出減とニュージーランドの停滞により、EUのバターは輸出市場シェアを上昇させて24%となった。
 EU域内のバター消費量は、3年連続で上昇し2%増となった。調整保管(民間在庫補助=PSA)の実施により2万4700トンが市場隔離されているが、これらが市場に放出されると消費がさらに増加すると見込まれる。
 2017年の生産量は、需要が後押しして1.2%増と予測される。

脱脂粉乳の在庫が卸売価格の上昇を制限

 2016年の脱脂粉乳の生産量は160万トン(同4%増)となった。公的在庫は35万2000トンにまで膨れ上がり、さらにPSAにより18万トンが市場隔離されている。
 昨年9月に入ってからは、公的買入れは行われず、卸売価格は上昇し、12月には1トン当たり2100ユーロに達したが、その後は、生産ピークとなる春に向かって緩やかに下落している。
 公的買入れが実施されなくなった2016年第4四半期には、輸出増が期待されたものの、価格の上昇から国際市場におけるEU産脱脂粉乳の競争力が低下し、2016年の輸出量は前年比17%減となった。一方、ニュージーランドは8%増、米国は2%増となった。
 2017年においては、価格の下落により競争力が増して輸出量が増加するとともに、減産に伴い脱脂粉乳の需給が引き締まることが期待されている。
 この見込みどおりに市場が回復するならば、現在放出が行われている2万2000トンの公的在庫に加えて、さらなる在庫の放出もありうると考えられている。
【調査情報部 平成29年3月22日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-8527



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