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欧州委員会、次期CAPの方向性を公表

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 欧州委員会は11月29日、2021年以降の次期共通農業政策(CAP)の方向性をまとめた報告書を公表するとともに、12月1日には同報告書を補足的に説明する「将来のCAP」と題したプレスリリースを発出した。
 
 欧州委員会は、「簡素化」と「合理化」をキーワードに本年2月から3カ月間、パブリックコメントを募集し、それらの意見を参考に次期CAPの方向性を年末までに取りまとめるとしていたものである。パブリックコメントには32万を超える意見が寄せられた。
 
 報告書は、「食料と農業の将来」と題され、簡素化された規則と柔軟なアプローチによって、政府の支援が生産者の結果につながるようにするという目標が掲げられている。また、EU農業の持続可能な発展につながるよう、予算の投下先などに関して加盟国の裁量権を拡大することを改革の大きなポイントとしている。
 加盟国への権限移譲に関しては、これまでは農産物に焦点を当ててきたが、今後は生産者に焦点を当てる。EUの生産者は、多様性に富み、国・地域によってその態様が大きく異なることから、支援の仕方について、事務負担の大きい画一的かつ中央集権的な対応から加盟国・地域レベルの対応に変更することで、より的確な支援ができるとしている。
 
 カタイネン副委員長(雇用・成長・投資・競争力担当)は、EU市民に安全で良質な食料を供給し、かつ、農村に雇用と経済成長をもたらすことを目標とする中で、その手法については、第1と第2の柱を維持するものの、それらの運用においては、簡素化を進め、多くの権限を加盟国に与える一方、結果の検証が可能なものとすると説明した。
 ホーガン農業委員は、大きな路線変更として、加盟国の裁量権の拡大を挙げ、全ての加盟国に1つの手法を適用するのではなく、それぞれの実情に合った手法を取ることにより、より的確な支援ができるようになると説明した。
 加盟国は、各国・各地域の目標を達成するための戦略的な計画を立て、欧州委員会の承認を得てその計画を履行するとともに、履行中の進捗の確認と履行後の結果の検証を行うことされ、欧州委員会は、結果を重視する姿勢が打ち出された。
 
 また、報告書にはその他、以下の方向性が掲げられた。
 ・最新テクノロジーの利用推進
 ・若者の就農支援
 ・持続可能な農業の推進
 ・政策と一致した包括的な通商問題、移民問題などへの対応
 ・リスクマネジメントに関するプラットフォームの創設
 
 なお、生産者への直接支払いは継続されるものの、予算の裏付けがないことから、具体的な数値は設定されていない。
 直接支払いについては、2割の生産者が全体の8割の金額を受給しているという現状から、上限を設けたり、実際に農業に従事している者に給付する等の案が俎上に上がっている。また、直接支払いにおける緑化(グリーニング)は、簡素化の観点から、補助要件とその検証の複雑さにより廃止される案が示された。これらは申請者と政府の双方の事務負担を増大させていた。
 今後のスケジュールとしては、欧州委員会は2018年5月までに、2021年から2027年までの財政枠組みを提案、同年夏までには関連法案を提出し、欧州議会選挙のある2019年5月までには成立させたいとしている。
 
 EU最大の農業生産者団体であるCopa Cogeca(欧州農業組織委員会/欧州農業協同組合委員会)は、欧州委員会の提案に対して、検討に値すると評価したものの、簡素化の実現については疑問を呈し、EU全体が直面する新たな課題に対応する財源を得るため、国民総所得の1%という加盟国の拠出金の負担割合を引き上げることが必要であるとした。
 また、CAPにおける市場志向性の追求には、全加盟国に共通の簡素化されたルールが必要であるとし、加盟国の裁量権の拡大に異議を唱えた。また、直接支払いの支給限度の新設や支給対象者の限定に対しては、反対を表明した。
 さらに、EU議会議員からは、加盟国の裁量権拡大は保護主義的な動きにつながるため、市場志向性が失われるとの懸念が出された。
【調査情報部 平成29年12月8日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-8527



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