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パーデュー農務長官が鶏肉・鶏卵関係展示会で講演(米国)

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 2018年1月30日〜2月1日、ジョージア州アトランタにおいて、米国鶏肉・鶏卵協会(U.S. Poultry & Egg Association:USPEA)、北米食肉協会(North American Meat Institute:NAMI)、米国飼料産業協会(American Feed Industry Association:AFIA)などが共催する、International Production and Processing Expo(IPPE)が開催された。主催者によると、3万人を上回る関係者が参加し、うち約8000人は諸外国129カ国からの参加であった。
 本展示会は、鶏肉・鶏卵の生産・加工、飼料全般、そして、食肉生産のうち下流サイドである加工側に焦点が置かれ、関連製品や機械の展示会とセミナーにより構成されている。
 1月31日には、同州出身で同州知事を2期務めた経験のあるソニー・パーデュー農務長官が同国の農政について講演した。その主な内容以下のとおりである。
写真1 講演するパーデュー農務長官
写真1 講演するパーデュー農務長官
 故郷に凱旋でき、そして、初めてこの素晴らしい展示会に参加でき、嬉しく思っている。昨晩(1月30日)のトランプ大統領による一般教書演説を聞かれたと思うが、彼が、農業関係者のこれまでに達成してきた取り組みについて多く触れていたことについて、嬉しく思う。
 大統領は、「安全で、強く、誇り高い国(safe, strong, proud nation)」という言葉を使っていたが、私は、皆さんが「安全で、強く、誇り高い産業(Industry)」を作り上げてきたのだと思う。そして、誇りに思ってもらいたいことの一つは、世界中の人々に動物性たんぱく質を消費可能としたことだ。私は、食の安全は国家安全保障だと思っている。しかし、今我々が直面している最大の難関は、貿易である。
 米国農務長官としての目標は、米国の農業関連ビジネスが、皆さんや我々が日々取り組み成し遂げていることに対して、「安全で、強く、誇り高い」と思えるものとなるための環境を整えることだ。政策立案者としてできることは、皆さん自身が革新、創造、実行することで、何らかの利益を得ていけるような、産業のフィールドを整えることである。
 資本主義の社会では、調整・監視役が必要だが、それは、顧客と生産者の両方にとって、公平でバランスのとれた(競争)市場を作ることを目的としている。米国農務省(USDA)は、「安全で、強く、誇り高い」米国農業を作り出すために、皆さんのパートナーでありたいと思っている。

1.減税と雇用の創出

 大統領は、一般教書演説で力強いコメントをしたが、特に政策実現の柱となったのが、減税と雇用の創出だ。既に、世間ではボーナスの支給や最低賃金の上昇などが成果として表れているが、農業も例外ではなくその恩恵を受けており、法人税率は35%から21%に引き下げられ、パススルー企業(注)に適用される税率も引き下げられた。大統領は、これらのビジネスに関わる人々が、(減税による)余剰資金を再投資し、雇用、産業、企業を創出することを理解している。そして、何兆ドルにも上る海外の資金を米国へと呼び戻し、経済を牽引(けんいん)する力となるよう願っている。そして、事業、家族そして後代へ引き継がれる遺産へ投資するのだ。繰り返しになるが、減税政策が雇用を創出することは、農業分野も例外ではない。
 
 (注) 有限責任会社(LLC)や個人事業主など同国企業の大多数を占める企業形態。

2.規制改革(緩和)

 大統領が就任し、私が農務長官に任命されてから、繰り返し言われ続けてきた主要な懸念の一つが、労働者に関するものであり、合法的な労働者の確保は課題であり、そこでは規制の枠組みを整えることが必要である。政府の役割は、顧客と生産者の間で、平等な競争市場を用意することだ。大統領令により、新たな規制を設ける場合には、現行の2つの規制の撤廃を求めており、実際これまでに22の規制が撤廃されている。USDAにおいても規制改革チームを結成し、これまでの規制を見直し、どのように不要なものを撤廃し、ビジネスの生産性を高められるのかを検討することとしている。本件については、ウェブサイトにおいて、各自が自分のビジネスに関連する規制を確認し、適切かどうか検討してほしい。私は政策について話し、リーダーシップを発揮しなければいけない立場にあるが、本件については是非とも皆さんから意見を頂戴し、聞き役に徹したいと思っている。

3.大規模なインフラ投資

 大統領は一般教書演説において大規模なインフラ投資についても触れた。数兆ドル規模の再投資とインフラ整備が連動して行われることとなり、連邦政府、州政府、地方自治体そして民間の全てのセクターが強固な関係を構築し必要なインフラを整備する。我々は、道路や高速道路、鉄道、水路が、製品を全米だけでなく世界中の顧客に行き届くようにするのに重要であることをよく知っている。米国は、他国が夢見るような、優れたロジスティクスを発展させてきた。ホワイトハウスは特に、地方農業、そして地方インフラ整備に注目している。数週間ないし数日以内にも公表される関連法案を見てもらえれば、農業にどれだけの大きな責任と役割が与えられているのか、理解していただけると思う。そして、世界における農業貿易をより活発にするため、多くの地方におけるインフラ投資プロジェクトが始動する。

4.ネットワーク(Connectivity)の確立

 1956年には、アイゼンハワー大統領が、全米州間国防高速道路法(National Interstate and Defense Highways Act )を施行し、高速道路網が全米の国民をつなげた。21世紀には、同様に、高速道路が農村や都市近郊部などをつなげたが、それ以上に、現代の若者世代や農業界は、Eコマースや教育、遠隔医療、起業、精密農業の分野で、かつてないテクノロジーの恩恵を受けている。過去20年で、農業分野もテクノロジーや電子データの恩恵を受け、電子ネットワーク網を広げたはずだ。農場や現場で働く人々も、これらのネットワーク網によって、顧客やサプライヤー、コンピューターによって集積されたデータへとつながり、その恩恵に与っている。

5.貿易

 大統領が述べたように、貿易は米国の農業にとって要だ。皆さんは、生産サイドにおいて、素晴らしい仕事をしてくれている。私の仕事は、その素晴らしい製品を、世界中の顧客に売り広めることだと信じて止まない。
 トランプ大統領は、タフな交渉人であり、貿易に関しても、手堅い交渉者だ。大統領はバランス(公平さ)がとても重要だと考えており、我々は、近代的で、自由で、公正な貿易を望んでいる。北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉はそれを実現してくれるはずで、実現したいと考えている。全ての関係者が交渉のテーブルに着くべきだし、北のパートナー国(注:カナダ)のように、米国の乳製品を排除するような交渉相手とは、通商関係を結べないし、それは自由貿易と呼べる環境ではない。
 我々は、一丸となって交渉に臨み、南北のパートナー国や世界中の国々と、自由でフェアな貿易の実現に向けて協議しなければならない。
 そして、私が農務長官に就任した日に、大統領の思いつきではなく大統領令として設置され、私が本部長として就任した「農業と農村地域の発展に関与する省庁横断対策本部」では、180日の間、我々が農村地域の繁栄にとって必要だと思う政策を練り上げた。この貿易政策をも含んだ政策をやりぬくつもりだ。昨日の大統領の演説にあったように、両党が協力する姿勢をもって、「安全で、誇り高く、強い」米国を実現できることを願っている。
 NAFTA協定は重要で、カナダ、メキシコともに重要な貿易相手国であり、大統領も十分にそれを理解している。再交渉が妥結すれば、協定国全てにとって恩恵がある。テーブルに着いて交渉すべきだし、賛成するものも、反対するものもいるだろう。しかし、近代的で、理にかなったNAFTA協定で合意できることを願っている。ライトハイザー通商代表が率いるチームが、日々異なる課題で交渉に当たっている。
 米国第一の姿勢が悪いこととは思わない。「安全で、強く、誇り高い」といった米国の農業の姿勢について、謝る必要はない。米国の農業や製品に世界中がアクセスできることで、また、米国の創造性や革新によって、世界をより良い場所にしている。今年で言うと、1億2000万ドル規模の韓国の家きん製品市場へ再びアクセスできたことは良いニュースだ。中国市場への参入についても、引き続き交渉していくつもりだ。

6.研究活動と生産性の向上

 生産性の向上と言えば、皆さんは、まさに今米国で起きていることの良い例だ。大学での研究成果の共有は、この展示会の一部を構成している。製造業も、このような研究の成果を共有し、知識や技術の改善につなげていけることが重要だと、大統領にも面と向かって直接伝えたところだ。皆さんが、このようなアイデアを、生産性向上や改良につなげ、世界の人々が必要とする食料を生産・供給できるように願っている。
 東南アジアや中国だけでなく、多くの発展途上の国々で、中間所得層の拡大が見られる。つまり、それだけ動物性たんぱく質の需要が増えていくということだ。我々は、30を超える全米の生産者をリストアップしており、私が実際に足を運んで視察する予定だ。
 この産業は、活気にあふれた産業で、生産性においても明るい分野の一つだ。皆さんは、このことを誇りに思ってほしい。120もの国の人々がこの展示会に参加し、米国の農業がどのように成り立っているのか、興味をもって見に来ている。米国の農業は、構成するそれぞれのセクターが連携して生産性を高めてきた。スクランブルエッグ、フライドチキンや感謝祭に食される七面鳥は、米国文化の一部を成している。こういった製品を誰しもが入手できるということは、生産性向上のたまものである。

7.食の安全

 私は、トランプ政権に仕えることができて光栄だ。USDAでの仕事は、想像したよりも、広範囲にわたり、スピード感があり、とても深い。そして、この数ある任務の中でも、食の安全は非常に大切だ。つまり、これは、皆さんにとっても非常に重要であるように、妥協はしない(zero tolerance)ということだ。
 例えば、抗生物質不使用について、適切な規制を設けなければならない。国によっては、こういった食の安全を、自国の産業(利益)を守るための口実に使う場合もある。例えばEUで、塩素消毒された米国産鶏肉が度々批判されることがあるが、こういった攻撃は心外だ。我々は、輸出製品、輸入製品ともに安全であるよう、食の安全を徹底するつもりだ。
 また、鳥インフルエンザを例にとると、韓国では平昌オリンピックを控えて、鳥インフルエンザの発生が確認されているが、米国ではアラバマ州での発生の際に、関係各所が協力して、どのように対処すれば良いのかを学んだ。こういった状況では、貿易相手国、利害関係者と連携を密にし、全ての国との貿易が停止することのないよう、極力、被害を局所に封じ込めることが必要だった。実際に、多くの貿易相手国が地域主義(regionalization)を採用し、米国全土から輸出が停止するということはなかった。食の安全に携わるチームや、大学機関の研究者など、関わった全ての人たちにお礼を述べたい。このような食の安全において、重要なのはチームの連携である。我々政府の仕事は、そのためのシステムや規制を整備することにある。
 食の安全に関する規制で言えば、規制に関連する関係機関の連携は非常に重要であり、よりスムースな手続きが進められれば、結果として皆さんの業務は効率的で、そして有益なものとなる。省庁間を超える連携が重要であり、独占欲を有することなく、協力関係を構築することは、素晴らしいことで、より明確な規制ともなるのだ。

8.科学的データの重要性

 データはとても重要である。「sound science」、つまり理にかなった科学的根拠に基づいた決定を行っているのだ。「political science(政治的科学)」ではない。例えば、食の安全に関しては、多くの場合、「sound science」よりも、「political science」が優先されているように見受けられる。最初から決まった、偏見に満ちた根拠ではなく、科学的データに裏付けられた判断がなされるべきである。
 現代の消費者は、おいしく、手頃で、安全で健康的な食品を求めているだけでなく、どのように生産されたのかについても知りたがっている。消費者は全てを知りたがる時代だ。ラベルに関する規則は、現在議会で審議されており、夏までに成果が出る予定だ。オーガニック畜産物についても同様である。消費者は、科学的根拠に基づくというよりは、独自の見解により従来の飼育方法について嫌悪感を示している。このような消費者が作り上げる新たなルールに則って、どのように遵守していけるのか、考えなければいけない。

9.USDAの目指すところ

 私にとってのUSDAの目標は、最も効率的で、効果的で、顧客中心的な、連邦政府の機関となることだ。決めるのは我々ではなく、顧客である皆さんだ。我々は皆さんを顧客として扱い、より良い製品を作るためのパートナーと考えている。
 数週間前、私は、あらゆる最新テクノロジーを駆使したいと言った。そして、速く、ユーザーフレンドリーで、簡単で、最終的には、公的機関のアマゾン(Amazon.comの意)になりたいと思っている。生産者や業界関係者、消費者にとって、機能する組織でありたいし、消費者が製品に信頼を寄せてくれるような存在になりたいと思う。研究機関とも引き続き連携していく。鶏肉業界に代表されるような生産性の向上は、遺伝子学の発展による貢献が大きい。
 より早く成長して、より品質のよい大きな鶏が生産されることになったことは素晴らしい。このような過去20〜30年の成功にもかかわらず、規制の問題が山積みである。こういった理由から、冒頭で触れたように、USDAの公式ウェブサイトに行って、各自それぞれに関係する規制が、本当に機能しているのか、負担と恩恵でバランスが取れているのかを検討していただき、意見を頂戴したい。
 我々は、真に効率的で、効果的で、かつ安全なビジネスができる環境を整えたいと思っている。我々は、業界がより効率的で、効果的で、最大限の機能を発揮できるよう、USDAの標語である「正しい行いをすれば、皆を養える(Do right and feed everyone)」を基に、良きパートナーになりたいと思う。
写真2 講演後のメディアからのインタビューにも丁寧に受け答えするパーデュー農務長官
写真2 講演後のメディアからのインタビューにも丁寧に受け答えするパーデュー農務長官
【調査情報部 平成30年2月5日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9533



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