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マレーシア政府、7月1日から砂糖税を導入(マレーシア)

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最終更新日:2019年7月3日

 マレーシア政府は7月1日、健康増進政策の一環として糖類を含む飲料に課税する、いわゆる砂糖税を導入した。ペットボトルや缶入りの飲料のうち、100ミリリットル当たりの糖類含有量が5グラムを超える飲料(注1)が対象で、1リットル当たり40セン(12円)(注2)を課す。同国政府の発表によると、課税の対象となる飲料を販売したメーカーと輸入業者が税金を申告納付する仕組みで、販売した量に応じて課税される。

(注1)ただし、果物や野菜を主原料とした飲料は100ミリリットル当たりの糖類含有量が12グラムを超えるもの、乳飲料は同7グラムを超えるものが課税対象となる。
(注2)1センは、1マレーシア・リンギットの100分の1の単位。なお、為替レートは2019年6月末日現金売相場の値であり、1マレーシア・リンギット=30円(30.03円)である。
 

 世界保健機関(WHO)によると、マレーシア国民の約3人に1人が過体重、約8人に1人が肥満で、ASEAN10カ国の中で最も肥満度の高い国とされる。こうした状況から、マレーシア保健省の副大臣は「健康を害する一因である肥満の人の増加は、近年、マレーシアにおいて極めて深刻な社会問題になりつつある。砂糖税の導入によって、国民の食生活を大きく変えていきたい」と述べ、制度への理解を求めた。また、飲料業界に向け「飲料の消費量にマイナスの影響があったとしても、飲料に含まれる糖類の量を減らし、肥満の抑制につなげていくことが重要だ」と訴えた。  

 マレーシアは、世界有数の砂糖消費国であり、世界トップ10に入る砂糖輸入国だが(図1、2)、すでに多くの飲料メーカーでは製品当たりの砂糖の使用量を減らしたり、低カロリーの代替甘味料に切り替えたりするなどの対応を進めていることから、今後、同国のこれらの地位は低下していく可能性が高い。

 一方、飲食店や屋台などで提供される飲み物は砂糖税の課税の対象とならないことから、「今回の砂糖税の導入は、砂糖の消費量と肥満のどちらも抑制にはつながらない」と懐疑的に見る向きもある。現地報道によると、マレーシアでは、屋台などで提供されるテー・タリック(Teh Tarik。コンデンスミルク入りの紅茶)などの甘い飲み物の方がペットボトルや缶入りの飲料より砂糖の含有量が多いという研究結果も報告されている。
図1 主要国の1人当たり砂糖消費量
【坂上 大樹 令和元年7月3日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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