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EU各加盟国、干ばつ被害の農家に対する支援措置に合意

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 欧州委員会は8月28日、干ばつの被害を受けた農家に対する支援措置について、欧州連合(EU)加盟国間で合意されたと発表した。同措置は、被害農家の経済的支援および不足する家畜飼料増産を目的としている。
 欧州では、熱波の襲来により6月にフランスで観測史上最高となる45.9℃が記録されるなど各地で異常気象が続いており、欧州委員会は7月に同措置を加盟国に提案していた。
 
 欧州委員会のフィル・ホーガン農業・農村開発担当委員は、「異常気象の発生以降、我々は状況を事細かに観察し、被害農家に対する支援の準備を行った。欧州委員会は、加盟国と密接に情報交換し、必要に応じて迅速に対応してきている。同措置は、農家を財政的に助け、家畜の飼料不足から農家を守るものである」とした。

 同措置は、EUの共通農業政策(CAP:Common Agricultural Policy)の下、下記の通り予定されている。また、9月初旬に正式に採択された上で実施される予定である。
(1)補助金の前倒し支払い
 農家のキャッシュフロー改善のため、直接支払いの最大70%については、12月からの支払いが10月中旬から前倒しで支払われ、農村振興政策による補助金の85%については、今回の支援措置が採択され次第9月初旬から支払われる。
(2)緑化支払い要件の一部免除
 緑化支払いの要件である「作物の多様化」、「生態系保全用地の維持」を緩和し、休耕地などでの放牧または家畜用飼料生産などを可能にする。

 干ばつ被害の農家に対する支援措置は、昨年に続き実施されることとなった。現地報道によれば、今回の熱波襲来時に、フランス政府が家畜の輸送を一定時間禁止するなど、異常気象による農業への影響は極めて大きいものがある。現地関係者は、欧州におけるこのような農業生産に影響を与える干ばつ被害は、今後頻発化する可能性があると警告している。
【調査情報部 令和元年9月18日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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