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キャッサバ生産者、担保融資制度の復活を求め、商務省に請願書を提出(タイ)

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最終更新日:2013年12月27日

 タイ北部ナコンサワン県メーウォン郡のキャッサバ生産者団体は12月19日、商務省のヤンヨン副大臣に対し、2013/14年度(2013年10月〜翌9月)もキャッサバ担保融資制度の継続を求める請願書を提出した。

 現地報道によると、生産者は、担保融資制度実施による実質的な買い上げを求めており、融資価格をキャッサバ1トン当たり約2,600バーツ(約8,500円:1バーツ=3.27円注)から段階的に引き上げることを要求している。
 これに対し政府は、キャッサバ価格の下落により疲弊する農家を支援するため、生産資材等への補助金として、1トン当たり500バーツ(1,635円)を支給する支援策の準備を進めており、国内取引局に対し、実施に向けた取組みを指示した旨を発表した。
 商務省はこれまで、キャッサバ農家への支援策を内閣に提出する準備を進めてきたが、12月9日に下院が解散したため、内閣への提出が間に合わなかったことから、現時点では、キャッサバ農家に対する支援が実施されていない状況にある。

 現在、キャッサバ価格は、1トン当たり約2,100〜2,700バーツ(約6,800〜8,750円)と下落しているが、年明けには、キャッサバの収穫が進むことで、市場へのキャッサバ供給量の増加が見込まれる状況にある。このため、キャッサバ価格は今後さらに下落の可能性があることから、キャッサバ担保融資制度の継続を巡って、政府の動向や生産者の対応が注目されている。
 注:12月25日TTS相場


【キャッサバ担保融資制度】
 現インラック政権において、キャッサバ生産者に対する保護制度として再導入※されたもの。農家は、キャッサバを政府に預け、その引き換えに、政府が定めた融資価格で融資を受ける制度。しかし、過去に行われたこの制度では、農家による買い戻しは行われておらず、実質的には政府が担保にしたキャッサバを買い上げ、市場放出は融資価格よりも安価で行うため、財政赤字を増加させている。また、近隣諸国から不正に輸入した安価なキャッサバを用いてこの制度を利用するケースが問題となっている。
 
※ 前々政権時に実施されていたもの。前政権においては、最低価格保証制度(市場価格が定められた最低価格を下回った場合に、差額が補填されるもの)が導入されていたが、現政権により、2011年に再び担保融資制度に戻された。
(参考) タイのでん粉事情(Alic 砂糖類・でん粉情報 2013年3月号)


【山ア 博之 平成25年12月27日発】
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