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ロシア、2011/12年度砂糖生産は前年度から大幅増加の見通し

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最終更新日:2011年9月15日

 2011/12年度のロシアの砂糖生産量は、てん菜の豊作により前年度から大幅な増加が見込まれている。同国は世界有数の砂糖消費・輸入国であり(2009/10国際砂糖年度(10月〜翌9月)では世界第6位の消費国、世界第3位の輸入国、英調査会社LMC)、世界の砂糖需給に大きな影響力を持つ。
注1:年度は断りがない限りロシア砂糖年度(7月〜翌6月)
注2:砂糖の数量は白糖換算

9月1日現在のてん菜単収、前年度比87.4%増

 ロシア砂糖生産者組合によると、9月1日に実施されたてん菜の生育状況調査の結果、2011/12年度の単収は1ヘクタール当たり44.32トン(前年度比87.4%増)と、前年度から著しく増加し、過去5年間の平均(同33.81トン)も大きく上回っていることが明らかとなった。前年度の単収(2010年9月1日時点)は、夏季に深刻な干ばつが発生した影響により同23.65トンに落ち込んだ。2011/12年度は、生育期間中の良好な天候により単収が大幅に増加したとみられる。糖度は14.79%となり、1ヘクタール当たりの産糖量(単収×糖度)は6.55トン(同67.1%増)と、前年度を大幅に上回っている。
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砂糖の大幅増産が見込まれる一方、各機関の予測に差

 このように、2011/12年度におけるてん菜の単収は大幅に増加し、また、収穫面積も砂糖価格の高騰を背景に129万ヘクタール(前年度比33.7%増)に拡大の見通しであることから、てん菜生産は記録的な豊作が見込まれている。このことから、ロシア砂糖生産者組合は、2011/12年度の砂糖生産量は前年度(270万トン)比約2倍の530万トンに達すると予測し、消費量は540万トンとの見込みから、ロシアは国内砂糖需要をほぼ自給できるとみている。
 一方、ロシアの農産物市場研究所(IKAR)は、2011/12年度の砂糖生産量について、ロシア砂糖生産者組合の予測を100万トン下回る430万トンと予測している。この理由について、IKARは、てん菜が豊作となっても、現在の国内における貯蔵施設および製糖工場の能力を考慮すると、全てのてん菜を砂糖生産に使用することは難しいためとしている。
 また、英調査会社のLMCは、ロシアの2011/12年度の製糖は開始されたばかりであり、てん菜生産量が大幅に増えても、冬の土壌凍結前に全てのてん菜を収穫できるか現時点では不透明との理由から、砂糖生産量を440万トンと予測している。
 このように、2011/12年度におけるロシアの砂糖生産量について、各機関とも前年度からの大幅な増加を見込んでいるが、現時点では、それぞれの予測に大きな差がある状況となっており、引き続き動向が注目される。


【日高 千絵子 平成23年9月15日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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