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中国国務院、春節需要に対する野菜の安定供給に向けて        緊急通達を発表 (中国)

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最終更新日:2013年2月7日

 中国国務院は、1月28日、各省・自治区等に対して、「近日中の野菜市場の供給と価格の基本的安定の保障に関する緊急通達」(国弁発明電(2013)4号。以下、「緊急通達」という。)を発表。2月10日から始まる春節(旧正月)期間前後における野菜を初めとした農産品の安定供給と市場価格の抑制を図った。
 中国では、昨年の冬以来、強い寒気等の影響により、野菜価格が上昇基調にあり、社会的な関心が高まっている。そこで、弁公庁は1月11日の「流通経費の低減・流通効率向上の総合対策法案」(国弁発(2013)5号)に続いて、本通達を発表することで、人民政府が、「菜藍子工程(買物かご政策)の市長請負制」(※1)の調整・管理に注力し、対象を絞り込んだ措置を講ずることで、効果の発現を目指した。
たまねぎ
CPI
 緊急通達は、(1)市場供給の保障 (2)市場流通の活性化 (3)市場価格の調整制御機能及び市場に対する監督管理の強化 (4)生活困難者への基本的生活の保障 の4項目で構成されている。
 当通達により、生産量や市場流通量の確保、市場流通の活性化や流通コストの削減を通じた商品の流動性の向上に向けて、政府主体で取り組む姿勢が明示された。これにより、実体的に効率的な物流・流通が促進されることで、流通コストが削減され、市場価格の鎮静化が図られていくものと期待される。また、当通達の波及効果として、消費者においては、通達内容の実施により、需要期である春節においても、野菜を中心に農産品の品薄感と高騰感が和らぐことが期待される。
(緊急通達の主な内容)
1.市場供給の保障
 (1)野菜生産の確保
  ・北方地域では、温室やビニールハウスを補強し、施設野菜の防寒・保温を図る。
  ・南方地域では、水路排水を徹底することで、病虫害を防止し、育苗の防寒保温を図る。
  ・野菜の出荷調整の実施し、供給の安定を図る。
 (2)備蓄食品の適時適切な放出
  ・北方地域の人民政府は、緊急時対応計画を制定し、気候災害が発生した場合や旧正月
   期間中には、備蓄野菜を適時適切に放出して、市場での供給量を増やす。
  ・市場の供給状況に応じて、豚肉、牛肉、羊肉の備蓄も放出する。
 (3)生産地の積極的活用
  ・大都市の人民政府は、流通企業による生産地での野菜調達を推進するとともに、既存の
   調達契約が確実に履行されることで、流通企業の供給義務が果たされることを監督する。
  ・野菜取扱業者に対して産地の出荷情報を速やかに伝達し、野菜の地域流動性を高める。 
  など

 2.市場流通の活性化
 (1)流通の効率化
  ・都市の人民政府は、都市近郊の野菜生産地による直接販売拠点の設置や卸売市場による
   流通改善の取組みを支援する。 
 (2)流通コストの削減
  ・関連部門は、『流通体制改革の深化と流通産業発展の加速化に関する国務院の意見』
  (国発(2012)39号)ならびに『流通経費の低減・流通効率向上の総合対策法案』
  (国弁発(2013)5号)を確実に実行に移す。
  ・野菜の価格上昇率が高い地域では、旧正月前後に卸売市場や農産物自由市場等の入場費・
   場所代の減免を積極的に行うこととし、料金を減免した市場や農産物コールドチェーン物流、
   市民のための野菜市場、直営野菜店等に対する補助金制度を実施する。
 (3)緑色通道政策(※2)の確実な実施
  ・車両全体に生鮮農産物を合法的に積載した車両については通行料を徴収せず、優先的に
   通行させる。確認効率を引き上げ、農産品輸送車両の通行を恣意的に妨げたり、無秩序な
   罰金を厳しく禁止する。   
  など

 3. 市場価格の調整制御機能及び市場に対する監督管理の強化
  ・市場価格情報のモニタリングと警報発令の強化(便乗値上や風説の流布の防止、取り締まりの
   強化)
  ・災害発生時には、緊急時対応業務計画を速やかに実行に移し、監督管理を強化し、市場価格の
   維持を図る。   
  など

 4. 生活困難者への基本的生活の保障
  ・関係部門は、旧正月前に生活困難者に対する一時的な生活補償費用を支給する。各地域は
   社会救済基準や保障基準を物価上昇に合わせ、物価臨時手当を支給する。
  ・国による学校援助政策を実行し、苦学生の基本的生活を保障する。
  など

   ※1 都市住民の食料への基本的な需要に対し、生産基地や卸売市場の整備、生産・流通
     における税制面での優遇政策等の実施を通じて、責任をもって供給の確保を図ること
     とする政策。米や小麦等の主食は各省長、 野菜等の副食は地方政府の市長の責任に
     おいて実施されるもの。
   ※2 公的手続の簡素・省略化により、利用者の負担軽減を図るもの。この政策の1つと して、
     農産物積載車両の有料道路使用料の免除がある(有料道路の料金所において‘グリーン
     レーン’(緑色通道)を設置し、生鮮品の積載運搬車両に対し、合法的に通行料を免除)。


【山ア 博之 平成25年2月7日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9534